これは、ホロコーストを生き抜いた父とNYで生まれ育った娘が家族の歴史を辿るロードムービー。
出演は、ドラマ「GIRLS/ガールズ」で製作・脚本・監督・主演を兼任したレナ・ダナム、「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」のスティーヴン・フライ。
1991年、NY生まれのルーシーは、両親が生まれたポーランドの地に降り立った。同行するのは、ホロコーストを生き抜き50年ぶりの帰郷となる父のエデク。
家族を顧みなかった父との関係改善をも目論むルーシーだが、自由奔放な父は次々とルーシーの予定を狂わせて行き、関係改善どころかルーシーの苛立ちは募るばかり。
アウシュヴィッツでは、初めて父の口から家族の最後の記憶を聞くが、それでもふたりの溝は埋まらず、その後、遂にルーシーは父を見限って帰国を決意するのだが……
この映画、観ているうちに既視感が――列車移動をキャンセルして予定が狂う、に始まり、墓地を訪れ、元の自宅に行き、そしてアウシュヴィッツ――これって、「リアル・ペイン 〜心の旅」?と思ったが、本作は、オリジナルではなくリリー・ブレットによる原作小説「Too Many Men」があり、「リアル・ペイン」はこの小説に影響を受けているのかも知れない、と思う。
また、物語はベルリンの壁崩壊後の1991年であり、戦中戦後の記憶がまだ生々しい時代……そんな時代だから語れる、ユダヤ人の強制連行の後、何が起きたのか、そして戦後のユダヤ人が直面した問題についても触れている……この辺りは興味深く観た部分だ。
そして、この映画は、父と娘のすれ違いによる、感情のもつれを解きほぐして行く物語でもある――娘は、父母が語ろうとしない過去と、そんな一家がそれまで歩んで来た証を欲する一方、父は、家族から妙に距離を置こうとする。
そんな父が最後に語る、強制連行時のトラウマと生き残った事への悔恨、それが家族との向き合う姿勢を歪めていた、と言う想いは、この映画が最も心揺さぶる場面となるだろう――ただし、”家族”への帰属意識の低い自分には、そんな父の想いにも、ルーシーが一家の生きた証を求める渇望も、納得こそすれ、感動には至らなかったのだが……
また、ホロコーストと言う20世紀最大級の悲劇を取り上げながら、映画は、それを、家族の物語として矮小化しているようにも感じられた。
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