これは、トム・クルーズ主演で実写映画化もされた桜坂洋の同題のSF小説を、スタジオ4℃でアニメ映画化したもの。
監督は、「漁港の肉子ちゃん」の演出を担当した秋本賢一郎。
声の出演は、「不死身ラヴァーズ」の見上愛、「鬼滅の刃」主演の花江夏樹。
外宇宙から千葉に落下し、巨大な植物型生命体に成長した”ダロル”の調査と除去に従事するボランティアスタッフのリタ。
ある日、ダロルから現れた生命体に襲われたリタは、死んだ、と思った次の瞬間、記憶はそのままに、その日の朝に戻っていた。
それが繰り返され、リタはタイムループに閉じ込められた事を知る――やがて、リタは同様にループに閉じ込められた気弱な青年・ケイジと出会って……
原作小説は、所謂、ライトノベルでありながら本格的SF作品でもあり、星雲賞候補にもなるなど高い評価を受け、後に漫画化、さらにハリウッドで実写映画化もされた。
だが、このアニメ版は、原作小説は勿論、漫画版や映画版とも違う、独自のアレンジを加えており、全くの別物、となっているのが特徴――そうした、作家性の強さや、所謂”アニメ絵”
とも“萌え絵”とも異なる、個性の強いキャラクター設定のせいもあって、本作はいささか厳しい状況での公開となった……恐らく大コケした「Chao!」の悪影響もあるのだろうが、全国11館、地元神奈川では1館と言う公開規模は、スタジオ4℃の新作としては寂しいものだし、ネットではビジュアルにも内容にも酷評に近い厳しい言葉が浴びせられている。
だが、主人公を原作のケイジからリタに変え、原作小説の(これはラノベなので仕方ないのだが)センチメンタルな部分をバッサリ切った事で、元々のテーマを先鋭化させたし、軍隊ではなく、ボランティアスタッフとした事で、主人公らが独自の行動を取る、自由度の高さを不自然でないものとした。
絵柄は個性的だが、ダロルのビジュアルも含め、全体的にポップな色調となっているのも好印象だ。
ループの仕組みなど、釈然としない部分はあるが、それでも本作品内のルールを曲げずに、力の入るクライマックスのバトルから綺麗にまとめたラストには「こう来るか」と唸らされた。
これは、原作を見事に仕立て直した映画と思う……まぁ、それだけに、既存作品を好きな人には受け入れられないものではありそうだが。
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