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2026年01月23日00:05

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「万事快調<オールグリーンズ>」感想

 これは、第28回松本清張賞を受賞した波木銅の同題青春小説を「猿楽町で会いましょう」の児山隆監督が映画化したもの。
 「愛されなくても別に」の南沙良、「か「」く「」し「」ご「」と「」の出口夏希がW主演。共演は、「ルックバック」の吉田美月喜、「見はらし世代」の黒崎煌代、「ゴールド・ボーイ」の羽村仁成と、注目の若手揃い踏み、と言う感じ。

 朴秀美は、学校にも家にも居場所がなく、鬱屈とした感情をラップで吐き出す日々を過ごしていた。
 一方、陸上部のエースで、社交的でスクールカースト上位に位置する矢口美流紅も、人には言えない破壊衝動を抱えていた。
 未来が見えない村で暮らすどん詰まりの日々の中、朴秀美は、ある事件をきっかけに大麻の種子を手に入れた。秀美と美流紅は、漫画好きな農家の娘の同級生・岩隈真子を引き入れて、園芸同好会「オール・グリーンズ」を結成し、学校の屋上で栽培に乗り出すが……

 映画の舞台となるのは、茨城県・東海村。ご存じ、日本の原子力開発の中心だが、原発政策の行き詰まりで停滞する東海村は、正に現代日本の縮図、と言う所だろうか……映画は、そんな東海村に暮らす、高校生を主人公に据える。ラッパー、映画マニア、漫画家志望、更に同性愛者とオタクを引き込み、家に帰れば、シングルマザーの貧困家庭、DVに高齢者、農家の後継者問題、と日本の問題を凝縮したような人間模様なのだ。
 主人公の彼女らの「こんなの全てブチ壊して逃げ出したい」と言うのも納得出来るし、そんな状況だからこそ、違法だろうが何だろうが関係ない、大金掴んで逃げおおせて見せる、と言う彼女らを自然に応援したくなる――ただ、それが日本の現状を示している事にうすら寒い思いをさせられるのだが……

 目を隠した前髪で感情をも伏せた南沙良演じる秀美と、生きる発火装置みたいな出口夏希演じる美流紅のガールズフッドの関係性もよく、これに吉田美月喜演じる真子を加えたトリオは、幾らでも観ていられそう。

 大麻で大金を掴んでハッピーに、と言うのは、さすがに映画内ではあり得ず、終盤、秀美は、その落とし前をつけなければならなくなる……だが、ここで青春映画としてはギリギリレベルの攻めた描写で、文字通り“ブッ飛ばして”くれるのは痛快だし、その後、「アメリカングラフティ」的に締めた映画をひっくり返すのもこの映画らしい。
 こんな面白い青春映画は久々に観た。

PS
 エンドクレジットを見ていたら「協力:神奈川工業高校」って……母校じゃん、って思ってしまった。まぁ、40年経ってるので全然わからなかったけど。
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