これは、3D映像技術により異星の世界を創造、全世界歴代興行収入記録を塗り替えたジェームズ・キャメロン監督によるSF大作「アバター」の第三弾。
前作「ウェイ・オブ・ウォーター」直後の時間軸から始まる続編でもあり、出演は、サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガーニー・ウィーバーらが続投となっている。
アバター技術により、地球から遠く離れた星、パンドラの先住民ナヴィの一員となったジェイクは、森の部族の娘、ネイティリと結ばれ、子供たちと共に暮らしていたが、クオリッチ大佐率いるコピー・アバター部隊に追われ、海の部族の下に身を寄せていた。だが、ジェイクは、海の部族と特別な関係があるトゥルクンを狩る人間たちを撃退した事で、またしても追われる事になってしまう。
迫る危機に、ジェイクは、共に暮らす人間の子、スパイダーを森の基地に帰す事を決断、空の商人・トラリム族の船で森へと向かう。だが、その旅路の途中で、故郷を火山で焼かれ“灰の部族”として盗賊を生業とするマンクワン族の襲撃を受けて……
モーションキャプチャーによる非実在キャラクターのリアルな動きと、3D映像技術に驚嘆した「アバター」も、これで3作目ともなるとさすがに衝撃は薄れているものの、映像技術としては相変わらず素晴らしい、としか言い様がない。今回はIMAX・3Dでの鑑賞だが、これまでのアバターよりも、よりくっきりとしたコントラストの強い映像で、粗が見えてしまうのでは、と思ったのも杞憂でしかなく、隙のない映像美には感嘆するばかり。
とにかく、197分と言う長尺を、パンドラ世界にどっぷりと浸れる映像体験は価値あるものと思う。
そうした素晴らしい映像に比べて、物語の弱さを感じるのも、これまでの「アバター」と同じ……映像の見事さで圧倒されるので見過ごし勝ちにはなるのだが、物語は冗長、かつ焼き直しの感覚があり、映画評の中にも「これまでと同じじゃないか」と言うものも見られる――はらも、本作のクライマックスは、2作目のリメイクで、展開としては1作目の焼き直しじゃないか、と思ったり……正直な所、トラリムやマンクワンを省いて、前作と合わせて1本に整理した方がよかったんじゃないか、と……
タイトルの「アバター」の意味も失われ、パンドラの対照である地球の描写もなく、惑星地下に張り巡らされた根と菌糸による有機コンピューターこそがエイワの正体で、パンドラの核心なのだ、と言う壮大なSF設定もまた深く語られる事がなく、恩讐の戦いと、親子の絆ばかりを強調するエピソードに終始する展開には、正直、物足りなさを覚えます。
「アバター」は5部作になる、と発表されており、次作は2029年公開……サブタイトルが「トゥルクン・ライダー」だとすると、次もまた海の話か……「森」に始まり、次は「海」、「火と灰」となって、後は「土」、「風」と世界を広げるのか、と思っていたが、キャメロンはどうやら「海」に深入りするよう……最後は、これまたキャメロンの得意な「深海」で締める、と言う事になるのではないだろうか?
PS
前作「ウェイ・オブ・ウォーター」も同様だが、今回もトゥクルン狩りの描写を「鯨漁批判だ。ジェームズ・キャメロンは日本人を攻撃している、これは反日映画だ」と怒るのもどうかしていると思う……トゥクルン狩りの描写の真意は、外見や文化の異なる知的生命体を攻撃する様を描いて、「多様性の排除」に警告を鳴らすものであり、もっと普遍的な内容を含んでいるものと思うのだが。
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