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2025年12月14日08:20

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「ガール・ウィズ・ニードル」感想

 これは、第一次世界大戦後のデンマークで起きた実際の乳児連続殺人事件に基き、戦後の混乱と貧困に苦しむ女性の姿をモノクロの映像で描いた、重厚で様々な側面を併せ持つ人間ドラマ。
 監督は、「スウェット」のマグヌス・フォン・ホーン。主演は「ゴッドランド/GODLAND」のヴィク・カーメン・ソネ。

 第一次世界大戦後、デンマークの首都・コペンハーゲンで、お針子として働くカロリーネ。出征した夫は行方不明のまま戻らず、お針子の給与ではアパートの家賃が支払えなくなるなど困窮していた。
 そんな折、カロリーナは工場のオーナーに見初められて恋に落ち、妊娠するも、身分違いの関係は実らず、彼女は捨てられた挙句に失業してしまう。
 困り果て、自ら編み針で堕胎しようとしたカロリーネを助けたのは、養子縁組斡旋所を経営し、望まれない子供たちの里親探しを支援する女性ダウマだった。そして、カロリーネはダウマの下で乳母の役割を引き受けるようになるのだが……

 これは、徹頭徹尾、女性の苦難を描く物語。夫を亡くした妻の困窮、男に人生を翻弄される不幸、そして妊娠と出産と言う、女性と言う“産む性”が抱える業と言うか呪縛……それは、戦後の混乱期だけではなく、勿論、デンマークだからでもなく、女性なら何時直面してもおかしくない普遍的な問題なのだろう。物語の中で、主人公のカロリーネは、その全てを体験し、その上で、そうした苦難を人を捨てる事で克服しようとする者に相対する事になるのだ。
 裁判の場で、彼女が「女だから全てを背負い込めと言うのか。それを擲って何が悪い」と主張する事にも理がある、と思えてしまうのが、この物語の恐ろしさであるように思えた。

 しかし、この映画、主演のヴィグ・カーメン・ソネは正直、ミスキャストに思えた……その演技者としての力量とは別に、カロリーネを演じるには年齢も上だし、何よりも顔に迫力と凄みがあり過ぎるのだ。
 カロリーナは、少なくとも映画当初では純真無垢でないと、この物語は成立しないのではないだろうか?――慣れぬ貧乏暮らしに苦しみ、そこに付け込まれて男に遊ばれているのに無邪気にはしゃぐなど、もっと若い女優でないと似合わないし、そんな無垢な女性が、女の地獄巡りをした挙句に、巨大な悪に出会ってしまった、と言う、この物語の建付けが揺らぎかねないもので、これが最大の問題と感じた。
 (私は、あらすじとポスタービジュアルから、ヴィグ・カーメン・ソネが演じるのは殺人者の方だと思い込んでいたくらい)

 映画は、最後にカロリーネの“母性”の可能性を感じさせて終わる……だが、この悪夢的な物語の最後としてはいささか甘口にも感じた。
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