これは、中国の人気WEBアニメシリーズである黒猫の妖精・小黒(シャオヘイ)の冒険を描くファンタジーアニメの劇場版第2弾。
監督は、原作ならびに前作で監督を手がけた木頭(MTIJ)と、前作では副監督だった顧傑の共同となる。
https://luoxiaohei-movie.com/2nd/
小黒が無限(ムゲン)の弟子となり、小さな村で修行の歳月を重ねるようになってから2年の後、とある妖精会館が襲撃される事件が発生。無限は館の長老らに呼び出される。
襲撃者は人間であり、尚且つ襲撃者の中に無限らしい人物がいたとして、長老らは人間でありながら妖精界で執行人を務める無限を容疑者として拘束、無限は哪吒(ナタ)の監視下に置かれる事になってしまう。
一方、小黒は館で姉弟子の鹿野(ルーイエ)と出会い、無限の潔白を信じてひとり真犯人の捜査に乗り出すと言う彼女と行動を共にする事となって……
前作「羅小黒戦記」が日本で劇場公開されてから、早くも5年……久々に観る無限と小黒の師弟コンビだが、これがよい意味で変わっていない事が、懐かしく、また嬉しく思えた。
絵柄としては、前作を観た時にも感じた、比較的シンプルな描線による、宮崎アニメ風の絵柄なのだが、ここまで来ると、これはもうMTIJアニメ、と言える世界を構築している、と言えると思う。
また、一見かわいらしい、ほのぼのアニメ的キャラクターに、思いっきり激しいアクションをさせるのが、この「羅小黒戦記」なのだが、この第二弾でも、その資質と美点は変わらず。宮崎アニメ的なリアルかつ小気味いい動きのリズム、跳躍や飛翔と言うダイナミックな動きの中で視点移動も併せて行う、全盛期の庵野秀明にも匹敵する圧巻のアニメーションとカメラワーク……これは目の肥えた日本のアニメファンをも唸らせるものだと思う。
ただ、今回、旅客機に関わるスペクタクルシーンがあるのだが、このシーン、CGで描かれた旅客機と、セルアニメ的に描かれたキャラクターとの質感差が大きく、この仕上がりは残念に思えた。
物語の方は、妖精界と人間界と言うふたつの世界を描きつつも、妖精同士の争いを描いた前作に対し、本作は、冒頭から人間との戦いを描いて、異種族、つまり他者と同じ世界を生きる上で、共存と競争、どちらが望ましいあり方なのかを問う、現在社会においても重要なテーマを浮かび上がらせた事……その上で、本作では「力」を誇示した無限と、「正しい」道を選ぶと言う小黒……提示したテーマへの答えは未だなく、これは自作以降で語られる事になるのだろうが……ちょっと物足りない印象だった。
また、小黒の能力をマクガフィンとし、対立する勢力の奪い合いで、一種のロードムービーでもあった前作に対し、会館襲撃の犯人を追うミステリー要素の強い本作は、抱えた謎故に、難解と言うか、物語が迷走しているような印象を与えるようにも思えた。
何れにしても大迫力の高速アクションに、ほのぼの系のギャグ、そして、愛嬌のあるキャラクターたちと、相変わらずエンターテイメント性は申し分なく、本作でも最終盤で、鹿野が“過去”に一区切りをつける、思わず目頭が熱くなるようなシーンもあって、本作も満足度は極めて高い。
今回は、オリジナル音声の字幕版で観たのだけど、絵と動きを堪能すべく吹き替え版でも観たくなった。
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