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2025年10月20日23:45

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「おーい、応為」感想

 これは、伝説の浮世絵師、葛飾北斎の娘で、葛飾応為の名でも知られるお栄の生涯を描いたドラマ。
 原作となるのは、飯島虚心の「葛飾北斎伝」、杉浦日向子の「百日紅」から「木瓜」「野分」が相当すると言う。
 出演は長澤まさみ、永瀬正敏。監督は「MOTHER マザー」の大森立嗣。
 フォト
 江戸時代末期の1921年。天才浮世絵師として名を馳せた葛飾北斎の娘・お栄は、ある絵師に嫁ぐが、すぐ離縁となって父の下へ出戻り、紙屑の散らかった長屋で二人暮らしをする事になる。
 そんな長屋に出入りする、美人画で名を馳せる絵師で悪友でもある善次郎との友情、兄弟子・初五郎への淡い恋心、そして愛犬のさくらとの日常……やがて、お栄も絵筆をとるようになり、父からはいつも“おーい!”と呼ばれることから、葛飾応為の名を授かるが……

 葛飾応為は、謎の多い人物で、北斎をも凌ぐ画才の片鱗を示しながらも、その名が残る絵は現在4点を数えるだけだとか。そんな応為だが、北斎の絵の一部(美人画や花の絵など)は彼女が手掛けたとされており、長年の師弟関係があった、とされている。
 本作は、そんな応為の半生を描くものとなっている。
 物語と内容に既視感があったのは、本作が杉浦日向子の「百日紅」からエピソードを流用している事で、これを原作としたアニメ映画「百日紅 Miss HOKUSAI」と印象が重なる部分がかなり多いように感じた。
 長澤まさみの長身を活かした“漢らしい”お栄が、颯爽と江戸の町を闊歩するのは格好よく、如何にも江戸っ子な威勢のいい台詞回しも様になっているし、紙屑だらけの長屋で生み出される繊細なタッチの北斎の浮世絵、と言うのを実写にしているのも興味深い……だが、この映画、褒められるのはそこまでだ。

 映画としては、先に挙げた「百日紅 Miss HOKUSAI」の感想と同じ「映画としてはいささかまとまりに欠ける印象」に尽きるのだ。
 応為と善次郎の友情も、淡い恋も、そして最も重要な、お栄が絵筆をとった動機も、彼女の絵の才も、さらっと触れられるだけでしかなく、物語の中心は、父・北斎との関係に終始する――確かに、「おーい」と、彼女に呼びかけるのが父・北斎だけ、と言う事からも、これが父と娘の物語である事は確かなのだろう。であればこそ、その父娘関係に語るべき何かを見出して欲しかった所なのだが、この映画は、そこが少し物足りず、結果として、お栄の人生を、判る限りでなぞっただけのように思えた。
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