mixiユーザー(id:124952)

2025年10月18日12:59

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「リライト」感想

 これは、法条遥の同題青春SFミステリー小説を、「ちょっと思い出しただけ」の松居大悟監督、劇団ヨーロッパ企画主宰・上田誠の脚本で映画化したもの。
 主演は、池田エライザ。共演は、阿達慶、倉悠貴、そして、橋本愛。

 高校3年の夏、美雪は、謎めいた転校生の保彦と出会う。彼は300年後の未来からタイムリープしてきた未来人だと言い、彼の世界で失われた小説を探してこの時代を訪れた、と言う――そんな秘密を知った美雪は、保彦と時間を重ねていくうちに恋に落ちた。
 そして、保彦が探す小説を未来の自分が書いた、と知った美雪は、保彦から貰った薬でタイムリープし、未来の自分から出版された小説を受け取ると、戻って保彦に渡し、彼は未来へと戻って行った。
 10年後、小説を出版した美雪は、その本を手に帰郷、10年前の自分を待つのだが、いくら待っても高校生の自分は現れない。
 何故、来ない?――謎を追う美雪は、同窓会でクラスメイトから隠された真実を知り……

 本作は、映画「時をかける少女」のオマージュ的なものとなっている――もっとも、原作小説は「時をかける少女」のカウンターとして作られたものであり、その展開はかなり残酷なもので「SF史上最悪のパラドックス」とまで言われたものと言う。(残念ながら未読)
 そんな原作を、この映画は、原作のアイデアなど仕掛けをそのままに、ポジティブな描写に反転させているのだ。
 物語だけではなく、舞台も映画「時をかける少女」の尾道に変えており(原作小説の舞台は静岡)、坂道と瀬戸内の海の織り成す風景を映しながら、それでも尾道三部作とは異なる表情の、夏空の下の尾道を見せるのもいい。

 出演者は何れも高校生時代と、その10年後をひとりで演じている。
 タヌキ顔でロリータ入った池田エライザの制服姿にほとんど違和感がなかった一方で、美人顔の橋本愛は制服姿がさすがに厳しいか……

 物語は「10年前の自分が来ない」と言うミステリーに始まるが、あの夏の真相が明らかになる同窓会での「つじつま合わせ」に至っては、そのあまりの無茶さに苦笑い――面白かったけど、これはクラス全員にまでしなくとも、女子全員くらいの方が無理なくてよかったようにも思ったが……
 更に、その先で明かされる、その後の保彦と来なかった自分の謎が明かされる部分で、保彦がいたディストピア的未来を「変える」可能性に触れ、「時をかける少女」への裏返しの返歌だった原作を、さらにひっくり返し、その上で「希望」の物語に変えた、そのポジティブさと、それが原作小説のタイトルでもある「リライト」に嵌まり込む見事さ……これは、見事なアレンジであり、映画化であると言えるのではないだろうか。
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