これは、今や“香港映画界のレジェンド”となったアンディ・ラウ主演によるディザスター・ムービー。
監督は「ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件」など数多くの作品で撮影を務めたアンソニー・プン。
香港郊外のゴミ処理場で火災発生……それはただの火災と思われたが、現場から放射線が観測され、処理場には違法に蓄積された医療器具に含まれる放射性セシウム他、危険物が多く存在する事が判明。
政府は環境汚染の専門家ファンを招集、消防隊の精鋭部隊と共に、対策を講じる――だがその頃、熱帯低気圧が香港に迫り、大雨が予報されていた。処理場内に放置されたナトリウムと水が触れると大爆発が起こり、放射性セシウムを香港に広く拡散させると言う未曾有の危機に直面する。
都市消滅まで残された時間は90分。絶体絶命の中、彼らは最終手段の“爆破防壁作戦”を実行に移すが……
これは、香港映画には珍しい、災害パニックもののディザスター・ムービー。
どうなるものか、と思ってはいたが、これは思いの他、良かった。
CGで描く大災害の惨状は決してちゃちなものではなく、まるで「シン・ゴジラ」のように、行政側の様々な動きを描き、そこと現場を、アンディ・ラウ演じるファンが行き来して、物語を動かして行く、と言う展開には感心した。また、香港映画らしく、演者が身体張る部分もあって、災害スペクタクルとしてはなかなかの出来とは思う。
惜しいのは、香港映画ならではの情感あるシーンが活劇としてのスピード感を削いでテンポがちょっと悪いのと、物語の設定とかをあれこれ邪推してしまって……
この映画の背景に、香港の中国返還前の1996年に、香港が、輸入する産業廃棄物の無検査引き受けをした、と言う史実を元に、
「こんなとんでもない事をそのまま続けていたら、こんな大変な事になった」
と、後に廃棄物受け入れ厳正化を図った中国政府は正しかった、だから香港は返還されてよかったのだ、と言うプロバガンダが透けて見えるからだ。
(現在の中国では北京政府に批判的なものは作れない)
現実では、廃棄物引き受けをしていたのは中国の方で(香港は中継のみ)、実際に中国のあちこちでこのような大災害ではないものの、廃棄物による様々な被害が生じているのを、香港を悪者にして描いた、と言う、そんな背景を考えてしまったのも、これを楽しめなかった要因と思う。
また、この映画、フィクションではあるのだが、現実と繋げるように、関係者のその後をエンドロールで見せている。そこに、日本の劇場公開版では、カットされた内容があって、そこでは、放射能汚染域の現場に臨場した消防士らは放射線症で悲惨な末路を辿るという事が描かれているらしい……これは、なかなか出来ない事だが、放射線の怖さをきちんと描いていると言う点において、評価すべき姿勢と思った。
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