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2025年05月22日13:06

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「異端者の家」感想

 これは、英国の名優、ヒュー・グラント主演のホラー映画。
 共演は、「ブギーマン」のソフィー・サッチャー、「フェイブルマンズ」のクロエ・イースト。
 監督・脚本は「65 シックスティ・ファイブ」のスコット・ベックとブライアン・ウッズ。

 森に囲まれた一軒家を、モルモン教の布教活動で訪れたシスター・パクストンとシスター・バーンズ。
 一家の主はリードと言う気さくな男性で、妻が在宅中と聞いて安心した2人は、雨宿りを兼ねて家の中で話をすることにする。
 早速、布教の為の説明を始めたふたりのシスターだが、リードは豊富な知識と巧みな話術で、「どの宗教も真実とは思えない」と持論を展開し、ふたりは圧倒されてしまう。
 不穏な空気を感じたふたりのシスターは帰ろうとするのだが……

 本作は、ヒュー・グラントが悪役として新境地を開いたとされる、脱出ミステリー型のホラー映画。閉じ込められる2人のシスターを演じるのは、ソフィー・サッチャーとクロエ・イーストで、彼女たちは実際に、モルモン教(末日聖徒)の信徒だったと言う。
 このモルモン教は、19世紀のアメリカで生まれたキリスト教系の新興宗教で、キリスト教では、エホバの証人、統一協会、そしてモルモン教を、「現代キリスト教の三大異端」と呼んでいる……この辺りの知識がないと本作は理解し難いものになると思う。
 邦題の「異端者の家」にはいささか問題ありで、これだと家主であるリードが異端だ、と決めつけるようになってしまうが、原題は「HERETIC(異端)」であり、これは、モルモン教徒と、リード氏の何方が異端であるかを問う、サスペンスでもあるのだ。

 映画は、リード氏がふたりの若いモルモン教のシスターと宗教論争をするのが面白い。まぁ、相応の宗教についての知識と、知的論争を楽しむ素養は必要だろうが、ゲームや音楽を例えに出し、心の安寧と魂の救済を唱える様々な宗教が、同じ事を違う語り口で言っているのに過ぎないのではないか……と言う展開を、基本は軽妙な語り口ながら奇妙な圧迫感で語るヒュー・グランドの演技は、確かに新境地を開いたと言えるのではないだろうか。
 ただ、映画は中盤以降、リード氏が、2人のシスターを暴力的に監禁しよう、となる所で面白さを失速させて行く。
 前半の宗教論争の延長で、家の地下にリード氏が思う宗教的なユートピアを見せ、それに2人のシスターが心揺さぶられる、とした方が、原題の「HERETIC」から想起される、「宗教とは」、「異端とは」と言うテーマを鮮やかに描き出すように思うのだが……
 本作が後半で見せた、暗がりの中で暴力的な男に若い女性が追い回されるなど、掃いて捨てる程あるホラー映画と大同小異のものであり、これには失望した。

 それでも映画としては見るべき所はあり、ヒュー・グラントの新たな一面を見せたし、2人のシスターを演じた若い女優も魅力的。その2人のシスターの関係性が逆転する事で、リード氏への反撃の道が開かれるなどの人間関係の描写もなかなかだ。
 それだけに、中盤以降の失速が勿体なく思えた。
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