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2025年05月13日22:05

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「新幹線大爆破」感想

 これは、1975年公開の同題の東映映画を、「日本沈没」、「隠し砦の三悪人」の樋口真嗣監督が、現代版として新たに映画化したもの。
 主演は「日本沈没」で樋口監督とタッグを組んだ草なぎ剛。他、のん、要潤、斎藤工、尾野真千子ら、豪華キャストが揃った。

 青森発東京行の東北新幹線「はやぶさ60号」に爆弾を仕掛けた、との脅迫電話が入る。爆弾は、列車が100km/hを超えると起動、再び100km/h以下にすると爆発する、と言う。
 同様の爆弾を仕掛けられた貨物列車が爆発し、JRは電話を真実だと判断、「はやぶさ60号」の車掌の高市に事態を伝え、「時速100km/h以下に落とすな」と指示をするが……

 これは「シン・ウルトラマン」を手掛けた樋口真嗣の監督作品であり、本作に対し、一部では「シン・新幹線大爆破」ではないか、と言われはするが、過去作を“なかったこと”とする、一連の「シン〜」作品群に対し、本作は、1975年の「新幹線大爆破」の50年後を描く、リメイクと言うより、続編のような内容となっている。

 そして、さすがはNETFLIX作品と言う事か、国鉄(当時)の協力が得られなかった1975年版に対し、本作はJR東日本の完全協力、実車(貸し切りの特別列車を7往復させた)や駅構内の撮影は本物だし、セット撮影でも内装品などは実物を使ったと言う。しかも、車掌と運転士役は、実際にJRで研修を受けて所作を身につけたと言う。
 そうして、リアルさを追求する一方、樋口監督はオタク気質の拘りを見せ、指令室には壁一面の総合表示板(数年前にデジタル化されて撤去された)を設け、それを双眼鏡で見る、と言う、1975年版を彷彿とさせるシーンを生み出すなど、様々なオマージュも見られるのが楽しい所だ。

 映画は、1975年版とは異なり、犯人サイドの描写が後半までほとんどないのが特色だ。その一方で、故障車両を回避するための上り線への遷移など、1975年版と同様のサスペンスで盛り上げる部分もあり、中盤まではテンポ、緊張感もなかなかだ。
 だが、後半、犯人が明らかになり、その描写が増えるにつれ、物語が停滞する感があるのはちょっと残念な部分――まぁ、これは1975年版でも犯人のバックグラウンドを描く辺りで感傷過多となってテンポを削ぐ傾向があったのだが……

 犯人についてのネタバレは避けるが、1975年版との繋がりを持たせた物語には感心もしたものの、設定にはいささか無理も感じた。
 また、これは、JRの協力があるからこそ描けなかったのだと思うが、爆弾を何処で仕掛けたのかが判然としないのはちょっと気になる所だ。

 高倉健と言うビッグネームを犯人役に起用した1975年版に対し、犯人が後半まで明らかにならない本作で、主人公となるのは車掌の高市を演じた草なぎ剛。また、1975年版では、千葉真一が汗臭く演じていた運転士役がのん、と言う所に令和と言う時代を感じる。

 物語は、犯罪の全貌が明らかとなり、犯人と対峙する辺りでもたつく感じがあるのが残念だし、樋口監督の弱点でもある人間ドラマの希薄さは、作品全体を薄っぺらいと思わせてしまう。だが、最後にもうひとつ見せ場を作るなど、最後までサスペンスを盛り上げ、スペクタクルを見せる展開はなかなか。
 鉄道マニアならずとも楽しめる美しい映像と、迫力のあるVFXは、やはり大スクリーンで観たかったなぁ、と言うのが正直な所だ。
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