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2025年05月02日16:38

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「ドマーニ!愛のことづて」感想

 これは、戦後の荒廃したローマで逞しく生きる女性たちの姿を描き、2023年イタリア国内興行収入ランキング1位を記録した、イタリアの国民的コメディエンヌ、パオラ・コルテッレージによる監督デビュー作。
 主演は、パオラ・コルテッレージ自身が務めている。

 1946年、戦後まもないローマで、3児の母デリアは家族とともに半地下の家で暮らしている。
 夫イヴァーノはことあるごとにデリアに手を上げるし、義父オットリーノは寝たきりで要介護。夫の暴力に悩みながらもデリアは日々家事をこなし、いくつもの仕事を掛け持ちして家計を助けている。そんな母に不満な、長女のマルチェッラは、裕福な家の息子ジュリオから求婚されるが、デリアは娘が自分のようにならないか心配で仕方ない。
 忙しい日々の中、唯一息をつけるのは、デリアに好意を寄せる自動車工のニーノと過ごす時間だけだった。
 そんなある日、デリアのもとに一通の手紙が届き、彼女はある決意をする……

 デリアは夫と同時に起きただけで、「愚図」と寝床で殴られ、家事だって立派な労働なのに無能扱いされ、日にいくつも掛け持つ仕事は「女性だから」という理由で対価が低い――男たちからは「女だから」と蔑まれ、男の意に沿わないと「女の癖に」と殴られる……映画は、そんな日常を描いて行く。
 約80年前の事とは言え、余りに男社会で、家父長制なイタリアの家庭像に驚くが、それは日本とてあまり他人事でもないのではないだろうか?
 本作で監督・主演を務め、コメディエンヌとして名声もあるパオラ・コルテッレージは、本作を基本はコメディとしたいようで、理不尽な暴力はミュージカルシーンとされ、悲鳴も流血も消し去られているが、この演出には違和感を覚えた――勿論、パオラ・コルテッレージが描くのも演じるのも嫌だった、と言うのは理解するのだが……

 映画は、幾つものエピソードを重ね、女性が人間として生きられない社会の不条理と戦い、その連鎖を断ち切る為に、何が必要かを描くのだが、それを徹底的にミスリードさせるのが、この物語の特色となる。
 この映画、終盤まで、この地獄のような日常から、愛する男と共に逃げ出すのがゴールと思わせて、最後にそれをひっくり返すのだ。
 逃げるのではなく、戦う――この地獄を、娘に繰り返させはしない為、社会を変える……それに必要なものは何か、を指し示し、社会が変わる空気がイヴァーノの拳を下げさせるラストシーンは確かに痛快で、これが大ヒットした、と言う所にイタリア社会の健全さを感じる。


PS
 この映画をランキング1位に押し上げたイタリアの、メローニ首相が女性でありながら強く右傾化しトランプ大統領に迎合する人物である、と言う事には何とも複雑な思いにさせられる。
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