これは、ロバート・リテルの同題小説を、「ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命」のジェームズ・ホーズ監督が映画化したもの。
主演は、「ボヘミアン・ラプソディ」のラミ・マレック、共演はローレンス・フィッシュバーン。
CIA本部で情報分析官として働くチャーリー・ヘラーは、IQ170の頭脳を活かし、情報分析や暗号解読で活躍していた。
だが、ある日、ロンドン出張中のチャーリーの妻がテロ事件で命を奪われ、彼の人生は一変する――「この手で妻を殺した連中に裁きを下す」と決意したチャーリーは、CIA幹部の不法行為をネタに、暗殺や破壊工作など、特殊工作員としての訓練を受けさせてくれるよう直訴――ただ、実戦能力のないチャーリーは、まもとに銃も撃てない有様で、指導官から「お前に人は殺せない」と言われてしまうのだが……
原作小説は、冷戦時代を背景に描かれたもので、既に1981年に一度映画化されている、と言う。それから半世紀近くの時を経た現代を舞台とする関係で、本作は原作を大きく改変しているものと思う――その中でも原作らしさを残しているのが、チャーリーの協力者が、転向した元KGBのロシア人、と言うような設定だろう。
なので、本作は古い物語の建付けを借りながら、味付けとしては現代風に仕立てた、と言うものになるのだろう。
本作は、物語としては復讐譚なのだけど、主人公が優しい、と言うか気弱なのが特色……妻を殺した憎い仇であるのに、殺す事が出来ない人物として描かれているだ。(実際、「罪を償わせる」のが目的で「殺す」とは言ってない)
でも、実際はそれがリアルなのだろう……如何に復讐心に燃えたとて、マッチョなヒーローのように敵をなぎ倒せる訳もない。であれば、自分のやり方で立ち向かう、と言うのは職業人である大人なら納得の行くものではないだろうか。
そして、そんな男を、ラミ・マレックは実に巧みに演じている。
映画の見所としては、4人のテロリストとどう立ち向かうのかになるが、本作はうち2人にどう決着をつけるのかを予告編で見せてしまっている。ただ、本作はテロリストを追うだけでなく、主人公が、CIA組織から追われる、と言う展開を見せる事でサスペンスを盛り上げているのもいい。
そして、クライマックスとなる最後のひとりとの対決で、チャーリーの復讐の形を見せるのも上手い、と思った――何も、ドツキ合いだけがクライマックスでもあるまい。この決着には納得が行くものだった。
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