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2025年03月20日00:12

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日曜は……

 日曜は、昼前から出かけ、ヒューマントラストシネマ有楽町で、
 「スイート・イースト 不思議の国のリリアン」(町山智弘氏解説動画付き上映)。

 これは、2023年のカンヌ国際映画祭で監督週間に選出された異色のロードムービー。
 監督は、福永壮志監督作「アイヌモシリ」などで撮影を担当したショーン・プライス・ウィリアムズで、本作が監督デビューとなる。
 主演は、「17歳の瞳に映る世界」のタリア・ライダー。共演に、「レッド・ロケット」のサイモン・レックス、「プリシラ」のジェイコブ・エロルディ。

 サウスカロライナ州の高校生リリアンは、修学旅行でワシントンD.C.を訪れた。だが、身勝手な彼氏、能天気な同級生にどうにも馴染めず、ひとり冷めた目で眺め、距離を置くリリアン。そんな彼女は、ホテルを抜け出して行ったバーで、陰謀論に憑りつかれた男による発砲事件に巻き込まれ、その場にいたパンク・ファッションの青年に導かれ店のトイレに逃げ込むと、鏡の裏に地下通路へと繋がる秘密の扉があって……

 この映画、少女が鏡の奥の見知らぬ世界に迷い込む、と言う展開から、「鏡の国のアリス」を元にしている事は明らか。そして、迷い込む“鏡の国”が、現代アメリカのアングラ世界、と言うのが特色となる。
 冒頭、バーでの発砲事件が、Qアノンの陰謀論が生んだ「ピザゲート事件」を引き写しているのに始まり、「ANTIFA」に「ネオナチ」、「独立系映画製作者」に「イスラム教コミュニティ」と様々な独自の価値観を持つ人間集団を、リリアンが軽やかに渡り歩いて行くのだ。
 描写としては、そうしたアングラ世界の知識を相当持っていないと判らない部分が多く、それに様々な映画のパロディや、カメラマン出身の監督らしく、往年の撮影手法なども盛り込んでおり、内容は酷くマニアック。
 自分が観たのは、町山智浩氏による解説動画付きの回だったのだが、大半は説明されなければ判らず、それどころか、町山智弘氏でさえ、ショーン・プライス・ウィリアムズ監督に説明されなければ判らないネタがあったと言うのだから……
 ただし、主演のタリア・ライダーはなかなかの美少女で、それを綺麗に撮っているし、カメラマン出身監督らしく、様々な技巧を凝らした撮影による映像は個性的で美しく、映像としては確かに見応えがあり、ロードムービーでもある本作は状況が常に流動的で、確かに退屈はしない。それでも、これは日本人には内容を理解して面白がるにはハードルが高すぎるものだろうと思う。


 その後、横浜に戻り、Kinoシネマみなとみらいで、
 「14歳の栞」。

 これは、中学校の3学期、2年生クラスの生徒35人に密着して撮影した青春リアリティ映画。
 監督は短編映画「ハロー!ブランニューワールド」で注目を集めた竹林亮。2021年公開の本作だが、ソフト化も配信の予定もなく、毎年卒業シーズンに合わせて限定上映されている。

 これは、春日部の中学校の3学期50日、2年6組の日常――そこには、劇的な主人公もいなければ、大きなどんでん返しもない……そこには、非行少年も、家出少女も登場しない。しかし、誰もが、今の私たちと同じように、わかりにくい問題にぶつかり、解決の仕方も曖昧なまま、前へ進んでいく……

 今回、2回目の鑑賞となるが、あらためて気づいたのは、本作はドキュメンタリーでありながら、商業映画としての作為と演出が色濃くされている、と言う事……細かなカット割りでイメージ映像的に音楽に乗せて見せもするし、同じシーンを中心となる人物を変える事で視点を変え、「羅生門」方式で見せるのも目立った。
 また、バレンタインデーのお返しに、と彼女の家に告白しに行くのを隠し撮りしているシーンは、彼に隠しマイク、彼女の家には撮影スタッフがカメラを回しているなど、「やらせ」とまでは言わないが「仕込み」はあるのは確かだろう。

 それでも、被写体に密着するようなカメラの近さは、映画を観る者に学級をリアルに感じさせる……それは勿論、かつての中学生活が映画描写を補足するからだろうが、正にリアルな中学生の毎日を感じ、今回も、最後にはしっかり感動してしまった。

PS
 本作がソフト化も配信もされないのは、登場する全員が実在の人物であり、その後の人生もあるので、特定したり、誹謗中傷などは止めて欲しい、と言う事。当たり前の事なのだが、そんな当たり前の事も出来ないのが現在、と言う事か……
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