これは、人間の体内の細胞を擬人化して描いたシリーズ累計発行部数1000万部超えで、既にアニメ化もされている同題漫画を実写映画化したもの。
監督は、「翔んで埼玉」の武内英樹。出演は、細胞役に、永野芽郁、佐藤健。人間側を芦田愛菜、阿部サダヲが演じる。
人間の体内には37兆個もの細胞があり、酸素を運ぶ赤血球や細菌と戦う白血球、その他、様々な種類の細胞たちが、人間の身体を形作り、生かすために日夜はたらいている。
高校生・漆崎日胡は、働き過ぎの上に不摂生な生活を送る父親の茂を心配していた。実際、不健康な茂の体内では、細胞たちがブラックな労働環境に悪戦苦闘していた――だが、皮肉な事に、病魔が襲ったのは健康と思われた日胡の方だった。そんな日胡の体内では、細胞たちがかつてない危機に直面していた……
本作の原作漫画は未読、アニメ版はお試しで1話のみ鑑賞した状態ですが、この物語を映画にしよう、と言う企画と、それを既存の施設や建物も利用しながら、実写化している、その工夫とアイデアはなかなかのものと感じた。また、これまでも漫画の実写化作品を多く手掛けている武内英樹だけに、キャラクターの再現度も高く、アニメ版の1話に相当する冒頭の展開は相当の完成度と感心をした。
更に、実写版の工夫として、体内だけでなく、人間の状態もどうなっているのかを描き、その行動や感情、そして健康状態が体内にどう影響を与えているのかを見せているのも面白い。
そんな見事な実写化や、描写の工夫もあって、前半はなかなかよかったのだが、後半、原作から離れて、日胡の病との戦いとなる所で、本作が描く“群像劇”としての細胞擬人化から離れ、個の戦いとがんばりを描くものとなってしまったのには疑問を覚えてしまった――これは、有名俳優を使っているが故の問題だろうか?
勿論、後半のシリアスさを評価する人もいるだろうし、医療行為が病原体を排除はするが肉体をも傷つけていく、と言う描写もまた有意義なものとは思う。だが、私としては、作品本来の姿から離れた後半の展開は、いささかやりすぎになっているのではないか、と思ってしまった。
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