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2024年11月24日22:59

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「チネチッタで会いましょう」感想

 これは、40歳にして世界三大映画祭を制覇したイタリアの名匠、ナンニ・モレッティ監督が、製作・脚本・主演も兼ねたコメディ。
 共演は、モレッティ監督作常連のマルゲリータ・ブイ、フランスの俳優・監督マチュー・アマルリック。
 フォト

 映画監督ジョヴァンニは、プロデューサーの妻と40年に渡り公私共に良好な関係を築いて来た。
 そして、チネチッタ撮影所で5年ぶりの新作の撮影が始まったのだが、妻は別の若手監督のプロデューサーを務めていて不在。撮影が始まると主演女優と演出で衝突、フランス人プロデューサーには資金がなく、詐欺で逮捕されて、映画制作は頓挫してしまう。
 しかも、妻からは突然別れを切り出され、自分が世間からも家族の気持ちからもズレていたことに容赦なく気付かされたジョヴァンニだったが……

 映画を作る映画は大抵が傑作、と思っているのだが、これは何ともつかみ所のない映画、と言う印象を受けた。

 本作の中で、撮影中の映画が資金難で暗礁に乗り上げたジョヴァンニ監督をモレッティ監督自身が演じるのだけど、このジョヴァンニと言う人物が徹底的に鼻持ちならない人物として描かれている。極めて保守的で、様式やルーティーンに拘り、それを他人にも強要する……それが家庭だけならまだしも、仕事先の撮影現場でも同様で、事もあろうに、妻がプロデュースしている若手監督の現場に乱入し、演出論を振り回して撮影を止めてしまうのだ。しかも、シネフィルが好む映画言語を使い、それも、自身ではなく著名な知人にそれを言わせる(マーティン・スコセッシが出て来たのには苦笑)と言う卑劣さ。
 これは、自らを老害だとする自己批判なのか、現在の映画に対する苦言なのか、とその真意を図りかねていると、最後、
 「イタリア共産党は、ソヴィエトの覇権から離れて、社会主義ユートピアを実現、今も我々を幸せにしている」
 と出て来て、漸く何となく理解――これは、保守強硬派は政権につき、今や「共産主義者」と言うと「ロシア人のこと」と思ってしまうイタリア人に向けた、反体制左派として知られるナンニ・モレッティ監督ならではのメッセージなのだろう。
 だからこそ、ジョヴァンニは自己批判の結果、生き方と行動を改めなければ改めなければならない保守的な人物として描かれたのだ――右傾化した今のイタリアもまた自己批判して、進む道を改めなければならない、と……そんなメッセージを、あんな風に楽天的に描いてしまえるのは、さすがはイタリア、と言う感もあるが、それでも、はっきりとそれを言えず、いささか判り難い語り口となっているのも、それもまた現実のイタリアならではの事なのか、とも思ってしまった。


PS
 これは、川崎チネチッタで鑑賞……やはり、このタイトルだもの、チネチッタで観ないと。
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