これは、カトリーヌ・ドヌーヴが、シラク大統領の妻であるベルナデット・シラクを演じる、大逆転コメディ。
共演は「12か月の未来図」のドゥニ・ポダリデス、「天国でまた会おう」のミシェル・ヴュイエルモーズ。監督は本作でセザール賞新人作品賞にノミネートされたレア・ドムナック。
ベルナデット・シラクは、夫のジャック・シラクを大統領にするため、常に影で支えてきた。その念願適ってシラクは大統領選に勝利、ベルナデットは、ファースト・レディとして自身に見合う地位を得られると思っていたが、夫やその側近、それどころか夫のアシスタントを務める実娘クロードからも「時代遅れ」と突き放され、冷遇されるようになる。
ベルナデットに宛がわれたのは、彼女自身、無能と見放した宮殿職員のベルナール・ニケのみ。だが、他に頼りのないベルナデットは、ニケのアドバイスに従い、地方議員として活動しつつ、メディアを味方につけて行く。やがて、時代と寄り添い、ポジティブに変化し発信を続けるベルナデットに、国民も支持を寄せ始めて……
この映画、政治家を描きながら、“政治”そのものを描かず、映画の中心となるのは、ベルナデット・シラクと言う、いささか古風で、保守的な考えを持つ女性が、自分らしく、と言うか自分の居場所を求めて生き方を変える物語となる。
そんな自己解放の物語を、大統領夫人――ファーストレディを主役に描く事は意外とも思えるが、同時に、有力者の妻のあり様を考えると、「〜の妻」と言う紹介自体が確かに、個人を軽んじるものだ、と言う事を思い知らされる……確かに、これは面白い着眼点だと思う。
また、フランスの大統領選の裏側や、正に宮殿のような大統領官邸、”エリゼ宮殿”の様子も興味深い。
ただ、この映画の最大の問題は、そのファーストレディを演じるのが、カトリーブ・ドヌーブである事だと思う。要するに、カトリーヌ・ドヌープの貫禄が「あり過ぎる」のだ。
映画冒頭、ベルナデット・シラク本人の姿が映るのだが、華奢で小さくて、育ちがよくて、これまで親にも夫にも逆らった事がないように見える……そんな女性が、最後に、
「夫の言う事なんて聞く必要ないわ」
と言うから痛快なのであって、それを言うのがカトリーヌ・ドヌープでは、こちらも「ええ、そうでしょうとも」としか思えない、と言うのが正直な感想だ。
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