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2024年11月17日17:16

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「室井慎次 生き続ける者」感想

 これは、1997年から放送された大人気ドラマ「踊る大捜査線」シリーズのスピンオフ作品で、室井慎次を主人公とする劇場版2部作の後編。
 出演は、TV版より室井慎次を演じる柳葉敏郎、共演は福本莉子、齋藤潤。
 監督は、本シリーズでTV版演出と劇場版監督を務めて来た本広克行。

 秋田の村を離れた山中の家で、タカとリク、そして杏の3人の里子たちと共に暮らしていた室井慎次の家に不審火があり、車庫が全焼……村で死体が発見されて以降、増設された防犯カメラには車庫に火を放つ少女の姿があったが、室井は事を公にせず、杏を責める事もなかった。
 更に、刑期を終えて出所したリクの父親が、息子を引き取りたい、と尋ねて来て……

 この「室井慎次」二部作ですが、室井が作った“家族”のあり様を描く前編、事件の謎を解き解決に導く後編、と思っていたのですが、これが何と後編になっても、映画は室井の“家族”の物語に終始……そして、事件の方は、事もあろうに犯人が捜査本部に用もないのに電話をかけて来て人物特定されてあっさり逮捕と言うオチで、しかも、事件と来たら“トクリュウ”犯罪グループの仲間割れと言う小さな事件で、秋田まで本庁が出向いて来るようなものではなかった、と言う酷さ。
 これなら、殺人事件など描かず、室井の“家族”の物語として1本にまとめた方がまだ納得出来たように思う。

 しかし、その“家族”の物語も杜撰で浅い……村の寄り合いにも出ず、孤立していた室井が一言二言話しただけで室井の“家族”が受け入れられる、と言うのもあんまりだし、杏にかけた母の洗脳が猟銃1発の試し打ちで解けてしまうなど、前編で深刻に描いていた問題があっさり解決するのは終劇に向けたご都合主義とは言え、さすが受け入れ難い。タカの彼女が親から一言だけで別の男に乗り換えると言う展開、リクにDVをする父親が障碍者、と言う設定など、君塚良一脚本にありがちな女性や障碍者への偏見と差別も認め難いものがある。
 また、このシリーズで描かれる室井慎次のダメ人間ぶりと言うのはどうなのだろう……躓いた仕事は放り出す、子供は叱らない、他人とのコミュニケーションもとらない……青島との約束を果たせず、初老と言われる年齢となって、室井もまた「踊る大捜査線」シリーズがさんざ茶化して来た、ダメな大人になってしまった、と言う事なのだろうか……それは、室井の約束を果たそうと室井に代わって改革を進めようとする新城と対比した時、はっきりとするように思う。

 それでも、シリーズのファンならずとも、そんな室井の最期には涙するのだろう……だが、そんな室井の“死亡フラグ”を、その死の後に見せる展開の悪質さ、村の人がみないい人になって3人の里子を村に迎え入れる、夢物語的なエピローグにも白けるし、最後の最後に青島を出し「シリーズはまだ続く」としたのには、正直呆れるしかなかった。
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