これは、松山市主催の坊っちゃん文学賞を受賞を受賞した敷村良子の同題小説を長編アニメ映画化したもの。
この小説は、これまでに映画とドラマ化されているが、アニメ化は初だと言う。
ボート競技の強豪校だった三津東高校では、その伝統と機材を活かして校内でボート大会を開催しているが、肝心のボート部は廃部になってしまった。
そんなある日、転校早々観戦したボート大会に感動した転校生の高橋梨衣奈は、同じクラスの佐伯姫と、その幼馴染の村上悦子を巻き込んでボート部復活に奔走。同学年の兵頭妙子と井本真優美も入部してフォア(四人艇)を走らせる体制が整った。
そして、何とか初の競技大会に臨むのだが……
この物語、1998年の磯村一路監督による田中麗奈主演の映画が傑作として知られている。
本作は、時代設定を現代に改めるなどしているが、基本的には同じ――まぁ、同じ原作なのだから当然だが……特徴としてはモーションキャプチャーを活用した3Dアニメである事で、これはボート競技と言う機械相手に繰り返し同じ動作をする映像作成には適していると思うし、リアリティとアニメ的ディフォルメのバランスもよく、完成度はまずまず。絵の方も、いささか鮮やかに過ぎる感はあるものの、綺麗に出来ていると思う。
いただけなかったのは物語の方で、「成長と共に挫折し、努力をしなくなった」と言う主人公・村上悦子の心境がどうにも理解出来なかった――まぁ、それが今の若者のリアルだと言われると、反論は難しいのだけど、自分的には、若者とはもっと「諦めが悪い」ように思うのだ。なにしろ、悦子は17歳で、70歳ではない。可能性の方が大きい未来ある17歳が、そんな老人のような事を言うか?と思ってしまった。
そんな悦子が、頑張り始めるのだけど、また些細な事で躓き、そして再び動き出す、と言う展開も、定石の展開ではあるが、この辺りにもどうにも上手く乗れなかった。
あと、気になったのは、悦子の声を当てた雨宮天はまずまずとして、その他の声優の声で、所謂“アニメ声”で、自分が日頃あまりアニメ作品を観てない事もあって聴き慣れていないせいでもあるが、このリアリティのある作品世界から、どうにも浮いていたような――あらためて、劇場アニメ映画で、声優ではない俳優を起用するのを理解してしまったり……
コンパクトにまとまった映画で、大きな破綻はないが、逆にインパクトもなく……これだったら、田中麗奈の実写版をリマスタリングして見せてくれた方がよかったんじゃないか、と思ってしまった。
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