これは、阪元裕吾監督の「ベイビーわるきゅーれ」シリーズ第3弾「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」の撮影現場に密着したドキュメンタリー。
監督・撮影・編集は、「増蝕細胞ヒミコ GENOM-H」の高橋明大。
映画は、クランクイン前日の高石あかり、伊澤彩織の2人の表情を捉える所に始まり、宮崎県でロケを行った「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」の制作現場に密着、国際的にも注目されるアクション監督、園村健介のアクションが生まれる舞台裏を明らかにする。
さらにカメラは、体力と精神力の限界まで追い詰められる出演者や、その結果とも言える怪我や体調不良による撮影の遅延、予想外の事態に妥協を迫られる阪元監督らの苦悩など、映画作りの裏側を写し出して行く……
このドキュメンタリーだが、これは本作単体と言うよりも、映画「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」とセットで観られるものだろう。
ただ、映画本編を観ていると、これはなかなか興味深い。映画がどのように作られるのか、カメラを引いて、その裏側まで写して行くのは興味深く、「ベイビーわるきゅーれ」のファンだけでなく、映画好きを惹きつけるものは持っていると思う。
アクション練習から、スタントパフォーマーによる段取り確認と模範演技を見せ、それを細かくカット毎に分割しながら俳優の演技に置き換えて行く、と言う段取りは興味深く観られたし、その中で俳優の意見も入れてシーンを完成させて行くのには物づくりの面白さがある。
また、スタントダブルを使わない、と言うのが本シリーズのウリだが、実際、冬村かえで役の池松壮亮以外にスタントダブルはなく、俳優本人が演じているのにはあらためて感心した。
そんな俳優の頑張りと言えば、やはり池松壮亮が見事……相当のハードなアクションもこなし、スタントダブルを使っているのは危険な跳躍や殴られるシーンで多くのシーンを実演している。撮影一日目から自ら現場の泥を身体に塗り付けて汚しの完成度を高め、途中股関節を痛めたらしく、最後の戦いのシーンでは休憩時に関節をアイシングしながらの撮影だったのには感心したし、そんな彼が、インタビューで訊かれた一番きつかったシーンは?との問いに「(倒れてる)女性の腹を蹴るシーン。あれはもう勘弁してくれって」と答える優しさも印象的だった。
また、本作はW主演の高石あかり、伊澤彩織の2人を中心に組み立てられており、事実上、2人のアイドル映画としても観る事が出来るだろう。
そんな興味深く、魅力的な映像を数多く収めている本作ではあるのだが、ドキュメンタリー映画としては、完成度が高くない。撮影の対照が「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」に絞られて世界が広がらないのは物足りないし、作品に繋げて綺麗にまとめた最後も、むしろ作為的なものを感じてしまった。
現状では、「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」のソフト販売時、特典として添付するには文句のない内容ではあるが、単体で劇場公開するのには疑問を覚える、そんな内容だ。
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