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2024年09月04日05:22

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「マンガ家、堀マモル」感想

 これは、描けなくなった新人漫画家と、3人の幽霊が紡ぎ出す出来事を綴ったファンタジー。
 映画と漫画の連動企画、“CineComi”プロジェクト第1弾。映画同題漫画の原作、そして主題歌の「さよなら僕ら」を担当したのは、音楽活動を中心に、イラスト、エッセイを手掛けるseta。監督は「栞」の榊原有佑、本作が初監督となる武桜子、「光はどこにある」の野田麗未の3人による共同。

 新人賞を獲得したものの、それを超える作品を生み出せないでいる漫画家・堀マモル。彼の部屋には、何時しか海・樹・愛の3人の幽霊が居ついている。
 ある日、幽霊たちは「漫画を描かせてあげる」と、小学生の海は母に言い出せなかった想いを語り、中学生の樹は自分を救ってくれた教師への想いを語り、高校生の愛は一緒に夢をかなえようと誓った友への想いを語るのだった。
 そんな彼らの話を、三篇の漫画に描き上げる中で、マモルは、今はもういない春との過去に向き合い始めて……

 これもまた「ルックバック」と同じ、かけがえのないパートナーの死を乗り越えて「描く」話。
 盛り込まれたエピソードはなかなか感動的なもので、涙を誘われたシーンも幾度もあるし、漫画連動企画として、平行して作品を描き上げたのみならず、主題歌まで担当したsetaの多才さにも感嘆する。
 3人の幽霊は、春の死を受け入れられないマモルが引き起こした人格乖離による、別人格のマモルだ、と言うアイデアもなかなかで、そうして、過去と自分から逃げたマモルには人の心を打つ漫画は描けずにいた、と言うのも納得させられる。

 いただけないのはあまりに冗長な展開と、過剰な台詞……TVドラマの影響を強く受ける最近の日本映画の悪癖とも言える、“判り易い”描写に、むしろ心離れてしまった。
 あらためて、「ルックバック」の無駄がない、完成度の高さを思い知った感じだ。
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