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2024年08月27日00:02

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「マミー」感想

 これは、「和歌山毒物カレー事件」を事件発生から四半世紀を経て検証するドキュメンタリー。
 監督は、テレビドキュメンタリーを手掛けてきた二村真弘で、これが初の映画作品となる。

 1988年7月、和歌山の海沿いにある集落の夏祭りで提供されたカレーに猛毒のヒ素が入れられ、67人がヒ素中毒を発症し、小学生を含む4人が死亡した。犯人と目されたのは、近くに住む林眞須美。彼女は容疑を否認したものの、2009年に死刑が確定。
 事件発生から四半世紀を過ぎ、本作では最高裁判決に異議を唱え「目撃証言」「科学鑑定」の反証を試み、眞須美の夫・林健治が自ら働いた保険金詐欺事件との関係を読み解いていく。
 二村真弘監督は、捜査や裁判、報道に関わった者たちを訪ね歩き、なんとか突破口を探ろうとするが……

 この映画、先日公開された「正義の行方」と同じ、死刑判決の出た事件を再検証するドキュメンタリーなのだが、その印象は大分異なる。警察、司法、メディア、加害者遺族と、事件に関わる双方の関係者の声を紹介し、多角的に事件を掘り下げた「正義の行方」に対し、本作は、取材そのものを拒否された事もあるが、林眞須美死刑囚の長男を中心に、再審を求める弁護士など、林一家サイドに偏り、客観性を敢えて捨てた印象を受ける。
 勿論、再審請求の根拠となる、「目撃証言」「科学鑑定」への反証と、その中で明かされる事件捜査と裁判の杜撰さは、確かに問題とすべきものだし、当時の社会が、事件の衝撃の大きさから、その解決を強く求め、その中で、林眞須美を犯人に仕立て上げて行った――「正義の行方」に倣えば、社会が、そして市民が「おまわりさんになってしまった」のが、この「和歌山毒物カレー事件」裁判であったのだ。
 同様な事は、後に松本サリン事件でも起き、こちらは後に冤罪だと明らかになったが、凶悪犯罪に対し、早期解決を望む市民感情が時に捜査と判決を歪める事がある、と言う事は、市民の声がより大きく響くようになった現在においてこそ、あらためて考える事が必要ではないだろうか。

 映画としては、まるでコメディのような軽いノリで語られる保険金詐欺事件の実態や、二村真弘監督自身の暴走をも自ら映画に取り込んでいるなど、見所も多いのだが、それでも、観終わった後に物足りない印象を受けるのは、やはり、多角的とは言えない偏った内容と、それでいて、真犯人と事件の実態に関する事が仮説としてさえ提示出来ずに終わった事があるように思う。
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