これは、「チェンソーマン」の藤本タツキが、コミック配信サイト「ジャンプ+」に発表した同題の青春物語をアニメ化したもの。
監督は、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」などに主要スタッフとして携わってきた押山清高。声の出演は、「あんのこと」の河合優実、「あつい胸さわぎ」の吉田美月喜。
小学4年生の藤野は、学校新聞で4コマ漫画を連載し、クラスメートからは絶賛を受けていた。
ある日、先生から不登校の同級生・京本の4コマを載せたいと告げられ、彼女の絵を見た藤本はその画力に打ちのめされる。だが、京本は藤本の描くマンガの熱狂的ファンだった。二人の少女は漫画へのひたむきな思いによってつながり、中学・高校の6年を共に漫画を描いて過ごし、卒業後は漫画週刊誌への連載も決まった。
だが、京本は、更なる絵の高みを目指して美大へ進学、そして、ある日、すべてを打ち砕く出来事が起こる……
これは、絵描きの物語であり、本作製作に集結したのは日本でも屈指のアニメーターたち。その画力には圧倒されます――なにしろ、藤本タツキの絵が動く、躍動感が凄い。特に、京本に初めて会って、思いを伝えられた藤本の走りは特筆するに値するでしょう。また、藤本タツキ自体の画力も相当なもの、と思えたのは、回想シーンで使われた止め絵でさえ動いている、と錯覚させられるほど。正に絵描きによって命を吹き込まれた絵がそこにあります。
物語は、熱く、ひたむきな青春もの……ただし、これは前述したように絵描きの話であり、そこで少々観る人を選ぶかもしれない――自分も、中学〜高校にかけて、白紙の自由帳何冊も習作をしており、痛いくらいに感情移入してしまったのだが……
藤本にとって、京本はライバルにしてファン、絵描きにとってかけがえのない存在であると共に、親友でもある。そんなふたりを襲った悲劇には胸が痛くなる。それでも、
「ふたりの過ごした時間を”意味がなかった”ことには出来ない」
だから、藤本は再びペンをとる。描き続けるしかない、と言う感動の物語なのだ。
この悲劇だが、京都アニメーション放火殺人事件を連想する人も多いだろうし、作者も明確にそれを狙っている……それを非難する向きもあるが、クリエイターが衝撃を受けたなら、それを語るのは作品なのだ。批判はあるだろうが、これは藤本タツキ、そして押山清高と言うクリエイターの事件に対する声として、これを受け止めた。
映画は58分しかない(なので、特別料金¥1700円)、でも見応え十分、むしろ間延びさせる事なく、物語本来の間合いまで形にした製作姿勢を評価したいと思う。これは傑作だ。
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