春の訪れを
間近に感じて
夜風が温もりを
纏い始めたら
もうじっとしてなんて
いられなくて
家を飛び出し
ただひたすら
夜に駆けていた
行くあてなんて
なかったのに
気がついたら
いつも同じところを
目指していた
会いたかったわけじゃない
ただ届けたかっただけ
胸にしまい込んでも
ずっと知らない振りは
できそうになかったから
すぐそばまでは
行きつくのに
ぎりぎりにところで
引き返してた
会ってどうする?
会ってなんて言う?
そんな弱音が
響き渡る
どんなに届けたくても
自分に正直になりたくても
自我と彼我の境界線は
越えられなかった
そんなことを
繰り返すうち
だんだんと
見えてくるものがある
届けたい想いは
気持ちだけで突き進んでも
届けられないってこと
木の芽時の
夜風が温もりを
纏い始める頃は
しまい込んだ想いが
飛び出してくる
想いを抱いて
夜に駆けても
信号が点滅して
赤に変わったら
それを合図に
引き返すだけ
それがどれだけ
届けたかった
想いだとしても
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