土曜は、午後から映画。
まずは、横浜ブルク13で、
「パスト・ライブス 〜再会」。
これは、離れ離れになった幼なじみの再会を描く大人のラブストーリー。
監督・脚本は、本作が長編映画デビュー作となるセリーヌ・ソン。
ソウルに暮らす12歳の少女ノラと幼馴染のヘソン。いつも一緒にいた2人だったが、ノラが海外移住することになり、離れ離れになってしまう。
12年後、24歳になったふたりは、オンラインで再会を果たし、メールのやり取りをするようになるが、ニューヨークとソウルで歩む、それぞれの人生が2人を何時しか遠ざけてしまう。
その12年後、36歳になったノラは作家のアーサーと結婚している。ヘソンはそのことを知りながらも、ノラに会うためにニューヨークにやって来る。24年ぶりに再会したノラとヘソンだったが……
タイトルの“パスト・ライブス”とは「前世」の意味で、輪廻転生の概念のない西欧では、馴染の薄い言葉であるらしい。映画の中では、そうした前世からの”縁――ユリョン”が運命を導くのだ、と説明される。
映画は、正に“運命じゃない人”との出会いと別れを描くもの、と言えるだろう。
24歳の時点で、その事を悟ったノラと判らないヘソン……そんな2人の再会と別れを、映画は繊細に描いている。
それは、ドラマティクでもなければ、殊更に感動させるようなものでもなく、そうした点で、物足りないと思う人もいるかも知れないが、監督自身の経験に基づく物語は静かに心を捉える。
また、最後の長回しの水平移動シーンは、正に映画ならではのものであり、唸らされた。
これがデビュー作だ、と言うのだから、セリーヌ・ソン監督、恐るべし。
本日はもう1本……だが、これが時間の合う映画館がなかなかなく、川崎まで移動し、チネチッタで、
「ブルックリンでオペラを」
これは、「シラノ」のピーター・ディンクレイジによるロマンティック・コメディ。
監督は、あのアーサー・ミラーの娘で、ダニエル・デイ=ルイスのパートナーでもあるレベッカ・ミラー。
ニューヨーク、ブルックリン。現代オペラ作曲家のスティーブンは、スランプに陥り、鬱状態で作曲に手がつかないでいた。そんなある日、妻で精神科医であるパトリシアから「気分転換に」と、愛犬と散歩に送り出されたスティーブンは、バーでタグボート船長のカトリーナと出会う。誘われて彼女の船に乗り込んだスティーブンは、強引にベッドを共にする事になってしまい――そこからの帰路、突如、創作のインスピレーションがスティーブンに舞い降りるのだった。
そして、その出会いが、やがてスティーブンと、周囲の人々の人生を劇的に変えてゆくことになるのだった……
この映画、原題は「She come to me」で、直訳すれば「彼女が来た」……これだって、何のことやら判らないけれど、まだ邦題よりマシな気がする。
これは、ある出会いが運命を変える物語なのだ。
映画としては、スクリューボールコメディの類で、主人公を巡る三角関係のドタバタに周囲が巻き込まれて……と言うものなのだが、そこはさすがレベッカ・ミラー。トランプ政権以降の現代アメリカに蔓延る、復古主義的な保守派の台頭、悪しき男らしさの発露、と言う問題に、虐げられる女性や子供、それに有色人種やブルーカラー労働者と言う弱者が手を取り合って一杯食わせるのがクライマックスとなる――これは全く予想外の展開で、これはスクリューボールどころか大暴投ではないか、と思ったりもしたけれど、それでも収まるところに収まって大団円を迎えたのは見事と言う他はない、これは面白い映画だった。
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