少し、私が体験した「同性カップルのリアル問題」を書かせていただきます。
私は「７０年一緒に暮らしたレズビアンカップル（画家同士）」の養女です。
彼女たちが８０代半ばの頃から介護が始まり、養母は９８、パートナーは９９まで生きました。
私と夫で介護しましたが、夫は当時年の半分以上海外出張、日本に居ても平日は「朝星夜星」のハードワークなので、実質は「私ひとりで２人分介護」です。
辞めるわけにいかない仕事をふたつ抱えながらの介護でしたから、当時私はいったいいつ眠っていたのか、正直記憶にありません。
途中で「介護保険制度」が始まりましたので、介護ヘルパーさんを頼むために役所に行きました。
これで少しは自分の負担が減る、というよりも、仕事を抱えている身ではどうしても介護の質が落ちてしまうので、「とにかく養母たちが受けられるサポートありませんか？」という一心でした。
が、あっさり門前払いされました。
同性カップルの場合、それぞれきちんと介護保険料を納め続けていても
住居に介護ヘルパーが入る場合、関わってよいケース
「同居者が『夫婦・兄弟姉妹・親子孫など直系親族』である場合に限る」
の法規定の枠から漏れてしまうので、婚姻・血縁関係のない者同士で共有している
「玄関・通路・キッチン・リビング・トイレ・バスルーム・洗濯コーナー・ベランダ、一緒ならば寝室も」
が「ノータッチ」になってしまうのです。
つまり、「共同下宿」、今で言う「シェアハウス」扱い。
養母たちの場合、それぞれのアトリエ（絶対人を入れたくない空間）以外「ゼロ」です。
「同性パートナーシップ」の自治体が増えているので、今現在それぞれに、少しづつでも現状に応じて改善されてきてはいるのでしょうが、基本「政府・厚生省が作った法のモノサシ」では、そうなります。
ですから同性カップルの場合、介護ヘルパーは炊事も掃除もお風呂沸かすのもダメ、買い物を頼んでも食べ物は１人分で相手の分はダメ・トイレットペーパーもダメ、結局できることがありません。
（あのとき役所の窓口で「事実婚と同じなんです！認めてください！」と食い下がるねばりがあれば良かったのかもしれませんが、とにかく介護保険がスタートしたばかりで、窓口は介護認定申請者でラッシュアワー状態、「お話聞きました、ダメです、お帰りください、ハイ終わり！」でした。）
もうひとつ、老人ホーム問題があります。
養母とパートナーは最終的に別々の距離的にも離れた老人ホームに入居し、その後会うことはかないませんでした。
７０年一緒に暮らしたのですから、とても悲しかったと思います。
（リモート通話どころか、携帯電話もほとんど無い時代でしたし）
当時老人ホームの絶対数がとんでもなく不足していたのが大きいです。
今は「夫婦で入居OK」のホームも増えました。
でも「同性カップルで入居」というのはどう運営者側に解釈されるのか…
「運営側としては理解できるけれど、他の入居者さんたちが…」
というケースも起こり得る、というか、きっと多いのでは？と思います。
まあ、故・阿部元総理のお母さんのように「入居金１億超え超高級老人ホーム」とかなら、あるいは融通効かせてくれるかもしれませんが、みんながみんな「総理の身内」とか「一生かかっても使い切れないほどのウルトラお金持ち」とかじゃありませんし、ね。
日本国憲法では「第 13 条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」とあります。
「幸せに生きること」を追い求める、その形はひとそれぞれ。
偉くなりたい人もいるでしょう。お金をたくさん稼ぎたい人も。勝って勝って勝ち抜きたい人も。
でも「好きな人と心寄り添わせて、共に生きる幸せ」を願うのは、「人間の一番ベーシックな幸せの追求」ではないでしょうか。
それは、男女でも、男同士でも、女同士でも、一緒なのだと思います。
人は人 我は我 されど仲良き
お互いの立場を理解し合い、容認しあえる社会になってゆくと良いですね。
偏見の色眼鏡なしに、積極的に解りあえる人たちが増えていってほしいです。
それが「多様性社会」だと思います。
少なくとも男性議員だけで集まってきれいなお姉さんにチップ口移しするのが「多様性のお勉強」とは、私は思えないものですから…（笑）
もうちょっと、なにか他のお勉強できなかったのかしら？
■一刻も早く結婚認めて＝同性婚訴訟、原告ら願い―東京、札幌で１４日に判決
(時事通信社 - 03月13日 07:31)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=7784965
ログインしてコメントを確認・投稿する