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2024年03月09日18:22

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城里町立中学における部活動の改革,実に興味深いです

 とても興味深い取組です。中学生諸君の将来にきっと大きなメリットがあると思われてなりません。

 中学生時代というのは,人生で実に大きな意味を持つ3年間です。具体的には「大人としての原型を築く時代」だろうと僕は考えております。かく言う僕も今になって自分の人生を振り返ると「小学生まで」と「中学生から」とに大きく二分出来ると感じております。無論,同じ人間ですから根底にあるものや経験・記憶などは一貫しているに決まっていますが,それでも中学生になってからの自分は,自己に対する認識,対人関係の構築,社会の捉え方などについてそれまでとは大きく変容しました。そしてそこで築かれた僕という人間は,幾つかの重要な微修正を経つつも今も殆ど変っていないのではないか。仮に当時の僕がタイムスリップして現在の皆様の前に現れたとしても,恐らく皆様は「今日の打越は何だか若々しいな」くらいの違和感しか覚えないだろうと思います。もし当時と今との違いを挙げるとすれば,それは唯一「当時は何の興味も無く,また価値があるとも思っていなかった美術というものに,今では夢中になっている」という点だけではないでしょうか。

 そのような「大人としての原型を築く時代」の多くを過ごす中学校という場は,また生涯に亘る友人を作る場でもある。僕は今までの人生や周囲の人々の交友関係などを見て,そんなことを感じています。これは「中学時代の同級生は全員が親友になる」という意味ではないし,まして「中学卒業後にはもう友人が出来なくなる」という意味でもありません。しかし中学時代を共に過ごした人々とは,その後何十年を経てもお互いのことを知り尽くしたツーカーの仲を築き易いということだけは間違い無いでしょう。僕自身も中学時代を共に過ごした人たちとは,たとえ数十年の音信不通を経ていても,再び会えば相手が今何を考え何を言おうとしているか,言葉にせずとも大体のことは判ります。
 もしそのような人物たちと地縁も共通していれば,それは生涯における宝となるのではないか。実はこの点においては僕は残念ながらそうした友人は殆ど居りません。というのは,僕は地元の公立中学ではなく私立中学校に通ったからです。僕は少々頑張れば徒歩でも通える距離でしたが級友たちは全県から集まっていて,彼らの住まいは特定の地域に固まってはおりません。そのおかげで自宅から遠い地域にもツーカーの友人が存在するという望外の幸福を感じることもある反面「帰省して地元を歩けば中学時代の友に出会える」という幸せを味わうことは,ごく例外的な場合を除けばまず叶いません。僕は最高の中学生活を過ごすことが出来たと自らの幸せを強く感じる一方で「地縁からは縁遠くなってしまったな」という寂しさを時に感じないでもないといったところです。

 今回そんなことを思ったのは,こちらの記事を読んだからです。茨城県城里町には常北中学校と桂中学校という2つの町立中学校がありますが,全校生徒80名程度の桂中学校には5つしか部活動が存在しない一方,一方の常北中学校には280名程の生徒が居て部活動も9つ存在します。このためスポーツに堪能だが進学先に希望する部活動が無いという子には越境通学を認めていて,2023(令和5)年度には2年生4名・1年生3名が桂中学校の学区から常北中学校に通学しています。しかしこれでは桂中学校の生徒が減るばかりだと制度を変更し,2024(令和6)年度から「桂中学校の学区に住む子たちには桂中学校に入学してもらう代わりに,放課後には常北中学校の部活動に参加出来る」という形を取ることになりました。そのために4月から中学校間の移動に供するバスを導入するというニュースです。
 中学生,特に特定の分野に堪能な中学生にとって,自らの得意とする分野での部活動に参加して己の技術を磨き大会にも参加したいというのは当然の願いであるに違いありません。そのために希望する部活動のある学校に進学したいという希望は充分に理解出来ますし,その希望を叶えてきた城里町の教育行政は生徒本位の優れたものと大いに評価することが妥当だと思われます。しかしながら中学生活とは部活動のみのためにあるのではありません。仮にこのような希望に従えば,本来は桂中学校に進学する筈だった子たちは自分の地元ではなく,同じ城里町内とはいえ遠く離れた常北中学校の生徒と共に過ごすことになります。これではその子たちは僕と同様,地縁を獲得することが非常に難しくなってしまうでしょう。たしかに「自宅から遠い地域にもツーカーの友人が存在する」ということにもメリットは存在しますが,そうした友人が地元には居ないというのは,地縁から切り離された中学生活を送ったことに伴う一抹の寂しさを感じ続けている僕には少々デメリットではないかと思えなくもありません。
 これに対し「地元の桂中学校に進学し,部活動は大規模校である常北中学校で行う」という手法を取れば,今までは越境通学していた子たちも部活動を通じて自らの才能を磨くことを実現しつつ,地元の中学校で学ぶことにより生涯の宝ともなる地縁を得ることも叶うようになるでしょう。しかもそれに留まらず,部活動を共にすることで遠い常北中学校にも複数の友人が出来る。今すぐにはそのメリットをあまり感じなくても,彼らが将来30代になり40代になった時にそのことを大きな幸せと感じる日が来るのではないか。僕はそんな風に思われてなりません。

 現在は少子化が各地で進展し,複数の部活動を維持出来ない中学校も増えていると耳にしています。それによって優れた能力を持つ若者たちが才能を磨き活躍する機会を失わせること無く,生涯の宝ともなる地縁をも得られるようにする城里町の取組は非常に優れたものだと感じるし,もし成功すれば茨城県内外でも大いに参考にし模倣して欲しいところです。



茨城 城里町 中学校維持で他校の部活参加のためのバス導入へ
https://www3.nhk.or.jp/lnews/mito/20240301/1070023551.html
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