週報(24/02/19〜) 登戸研究所<後>

行った日は土曜日という事もあり、週一のガイドツアーが開かれていた。
展示物を長く見ていた事もあり、たまたま開始時刻の13時になってしまったこともあり、ついでなので参加する事にした。
(このため、スーパー銭湯へ行く予定をキャンセルした)
集合場所である、中央校舎へ移動した。
　
生田キャンパス内にある登戸研究所の跡を見て回る事になった。
最初は「動物慰霊碑」である。
生物実験を行った動物に対する慰霊碑である。
今の明治大学も農学部があり、生物実験を行っていることもあり、戦時中に建てられた由来もしらず「動物慰霊碑」という事もあり間借り的に使用してきたとの事。
　
登戸研究所というのは通称であり、「陸軍技術本部第九研究所」というのが正式な名称である。
しかし、この石碑の裏面には「陸軍登戸研究所 建立」と書かれているのが特徴である。
戦後にありとあらゆる物を焼却破壊してしまったため、文字として唯一残る痕跡である。
1943年に東条英機から陸軍技術有功章の副賞(当時の金額で1万円)で使われて建てられたものである。
「陸軍技術有功章」は、どのような事象に対して贈られたのかは不明である。
判明しているのは、第三科の生物兵器に対する賞であることは判明している。(賞状もある)
　
次に入口から入ってきた時に非常に気になっていた神社である。
「大学キャンパス内にある神社」というのも非常に珍しい。
現在は生田神社、戦時中は弥心神社と呼ばれた神社である。
新宿区戸山ヶ原にあった陸軍科学研究所の「八意思兼神(やごころおもいかねのかみ)」という研究の神が分祀されて祀られている。
研究中の事故による殉職者も祀られている。
　
明治大学がキャンパスを払い下げられた時に、一緒に付いてきてしまったとの事。
こちらも由来がよくわからないので、生田神社という名前に変えたとの事。
明治大学は神仏絡みの事はせず、ただ管理だけをしているそうである。
ただし、痛みが激しくなってきたので、お社の上に雨風除けの屋根をつけたらしい。
　
1988年に登戸研究所で働いていた人達が、歴史を残すために「登戸研究所跡碑」の石碑を建てている。
この碑の裏側には「すぎし日は　この丘にたち　めぐり逢う」と彫られている。
この文面は、登戸研究所で働いていた人達が多数決で決めたとの事。
登戸研究所で働いていた人達が公に出来なかった歴史。
建立された時で40年経っているのだが、ようやくこの地で振り返る事ができたという思いが綴られている。

資料館へ向かって歩いていく途中にあったのが、当時の消火栓である。
旧陸軍の五芒星のマークが付いた消火栓が残っている。
現在は工事中の箇所(ヒマラヤ杉並木も残っていた場所)が新たなキャンパスの建設地になっていて入れないので、今見られる場所としては唯一の場所である。
なお、ヒマラヤ杉並木は倒木の危険性があるため切られてしまった。
　
最後に、資料館の裏手にある「弾薬庫」である。
こちらは資料館の方で受付をすると中まで入らせてもらえるのだが、今回は外観だけである。
由来がよく解らないので、通称「弾薬庫」と呼んでいたらしい。
資料館開始までは、大学の部室倉庫的に使われていたようである。
なお実際には、弾薬庫ではなく、薬品庫として使われていたとの事。
　
近くには、偽札印刷工場、第三科倉庫も2000年代まで残っていたのだが、建物の老朽化により取り壊してしまった。
ただし、建物の資材は資料館に運ばれて、一部展示を行っている。
ここまでで既に14時半である。
　
資料館の館内に入り、最初は資料館の開館にあたってのビデオを見る。
その後に、個々の部屋でのガイドツアーとなった。
前編で先に書いた内容の大半は、このガイドツアーで語られた内容が含まれている。
このツアーが終ったのは、16時半であった。
ツアーは2時間半と書かれていたのだが、3時間半行われていた。
なお資料館は16時までだったのだが、今回は館長が実施するツアーだったので大幅な時間延長になった模様である。
　
飲まず食わずで6時間という長時間、一つの施設に居続けるという、想像以上にハードな見学となった。
その分、想像以上の日本の戦時中の裏歴史というのを知る事が出来たという収穫もあった。
開館から14年弱となるのだが、この施設が話題になっていないのが信じられない様な濃密な展示の数々であった。
　
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写真: 動物慰霊碑(裏面)、生田神社・登戸研究所跡碑(裏面)、消火栓(図書館前)