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2024年02月24日22:27

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2024年ウクライナ軍とロシア軍の戦い 軍事侵攻から丁度2年(前編) 上川陽子大臣のキーウ訪問、飛行機撃墜事件、ウクライナ軍の越境攻撃 ポーランドの新首相トゥスク氏

    <2024年 ロシア軍とウクライナ軍の戦い>

ロシア軍によるウクライナ侵攻からちょうど2年を迎えた。2023年以降戦況は大きく動かず、ロシア軍がウクライナ領土の20%程度を制圧した状態である。2024年以降の両軍戦いと共に、外交関係についても探っていく。

前回1月28日付 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986858765&owner_id=32437106

 以下 ポーランドのウクライナ産穀物の輸送についての日記

2023年10月12日付け https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986117295&owner_id=32437106


  第1章 双方の軍事予算 ミサイル攻撃の応酬

2024年1月1日

 ロシア軍による軍事侵攻が2年目を迎えた。戦況が長引くたびに、犠牲者数と共に、インフラ被害も拡大する。経済的にも厳しさを増す。ウクライナは、国家予算で軍事費に占める割合が半分以上に達した。歳入1兆7680億フリブニャに対して、歳出3兆3550億フリブニャである。歳出のうち、国防・安保費は1兆6296億フリブニャに達した。

 海外からの支援金が滞った結果、公務員の給料未払いや、公共サービスの低下など、市民の暮らしを直撃する。

 交戦国のロシアは、11月17日に下院において2024年の予算案を可決した。国防費は、2024年初頭の見積額の2倍となる。10兆8000億ルーブル(日本円18兆円)国家予算の3分の1になる。ロシアの新聞RBKは、ソ連解体以降、初めて国防費が、社会保障費を上回ったと報じた。

 2024年1月1日、ロシアのプーチン大統領は、モスクワの病院を訪れ、戦いで負傷した兵士達にねぎらいの言葉をかけた。12月29日のベルゴロド市でのミサイル着弾について、「(ウクライナ軍の)テロ行為」と非難し、報復を示唆する発言をした。

 翌2日、首都キーウと第二の都市ハルキウで、ロシア軍の大規模ミサイル攻撃があった。同日夜、ゼレンスキー大統領はビデオ演説において、死亡者5人、負傷者130人と明らかにした。

 戦時体制の中、行政には正月休みがなく、常に緊張状態に陥っている。唯一といえる明るいニュースは、1月3日に、UAEの仲介で、最大規模の捕虜交換が成立したことである。ウクライナ兵224人と民間人6人の計230人、ロシア兵248人の身柄が解放された。捕虜交換は、2023年9月以来、5ヶ月ぶりになった。

 捕虜の処遇について、ウクライナ国防省は人道的に扱っていることを強調するべく、施設内部を公開した。捕虜たちは、集団で寝起きし、日中は軽作業に従事する。戦闘時の怪我に備え、医療施設もそろえていた。2023年12月、鉄条網を巡らせたコンクリート塀に囲まれた施設敷地内では、寒空の下、100人ほどの男が後ろで手を組み、食堂に向かうため整列させられていた。
 傷病者の棟では松葉づえをつくなどした捕虜が集まっていた。余暇として、テーブルで向かい合い、チェスを楽しんでいた。左脚を失ったアレクセイさん(41)は「プーチン大統領の命令だから従うしかなかった」と悲痛な胸のうちを明かした。確かに刑務所のように、捕虜たちは監視され、規律正しい生活を送ることを義務付けられる。ウクライナ側は、捕虜虐待を否定し、食事を与え、余暇を設けることにより、人道を重んじていることをアピールする。国際法に則った対応をすることにより、西欧へ支援を求めていく。

 写真=チェスを楽しむ捕虜 2023年12月 場所非公開 共同通信より
掲載元 北国新聞 2024年1月6日付 https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/1282897
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 ロシア国防省は9日に、国境沿いのベルゴロド州ベルゴロドにて、ウクライナのミサイル攻撃があり、迎撃したことを明かした。先月30日のウクライナ側の攻撃により、ベルゴドロ州にて民間人を含め25人の命が失われていた。既にベルゴロド州政府も住民の安全面に配慮して、疎開へ向けて支援を表明している。5日付でベルゴロド州のビャチェスラフ・グラトコフ知事は、ビデオメッセージを発した。「怖い、安全な場所に行くのを支援してほしいという書き込みをソーシャルメディアで目にしている。もちろん支援は惜しまない。既に数世帯を疎開させた」

 前日の4日にも一晩通してウクライナの砲撃が続いたことを危惧していた。長距離ミサイルを使って、ウクライナ側が越境攻撃を仕掛けているとみられている。

 写真=グラトコフ知事 2023年6月3日付ロイター通信より
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 以下 Reuters 2024年1月9日付 https://jp.reuters.com/world/ukraine/MC2PWXYE7VLVHNRBFURSNR5AMI-2024-01-08/

 ロシア側は8日、ウクライナ全土へミサイル攻撃を実施していた。ウクライナ当局によると、住宅地や商業施設などが被害を受け、少なくとも4人が死亡、38人が負傷した。
当局者によると、西部フメリニツキー州で重要インフラが攻撃され、少なくとも2人が死亡。南東部ドニエプロペトロフスク州のクリブイリフは9発のミサイル攻撃を受け、商業施設のほか多数の民間住宅に被害が出た。
ドニエプロペトロフスク州のセルヒイ・リサク知事は対話アプリ「テレグラム」に「ロシアは再び民間人を攻撃した。ミサイルが民間人に向けられた」と投稿した。
ロシア国防省はこの日、ウクライナの軍事産業目標を海と空から攻撃したと発表。「ウクライナの軍産複合体の施設を標的に、極超音速弾道ミサイル『キンジャール』を含む高精度・長距離兵器による多重攻撃を行った」とした。
ウクライナは51発のミサイルのうち18発を防空ミサイルで迎撃したと発表。迎撃できたミサイルの数が通常より少なくなっていることについて、放物線状の軌道を描いて着弾する弾道ミサイルをロシアが多用しているためと説明している。

                             <引用終わり>

 撃迎率の低下により、ウクライナの市民の命が脅かされる。厳しい電力事情により、人々の暮らしが脅かされた。



       第2章 上川大臣がキーウ訪問へ、ゼレンスキー大統領の外交

ウクライナ全土で緊張感が高まる中、1月7日に、日本の上川大臣が首都キーウを訪れた。同国のクレバ外相と会談で、「対無人航空機検知システム」を供与すると表明した。支援額の3700万ドル(約54億円)を北大西洋条約機構(NATO)の信託基金に拠出する。2023年7月に岸田文雄首相がNATO首脳会議に出席した際に、防空システムとなるドローン検知器を供与すると明かしていた。冬場の攻撃に備え、上川大臣は新たに追加分として与える。

 会談後に両国の外相は、共同記者発表にのぞんだ。上川氏は「ロシアが年末年始もキーウを含めた各地へのミサイルや無人機による攻撃を継続していることを強く非難する。「ウクライナを支え続ける」と明らかにした。クレバ氏は「防空システムの支援によって、われわれは今後も戦うことができる」と決意を語った。上川氏は、2月に東京で開く「日ウクライナ経済復興推進会議」に向け、クレバ外務大臣に必要な物資の調達に向けて、聞き取りを行った。戦闘の長期化で欧米の支援疲れに釘を刺すかのように、上川氏は先人を切って、復興へ向けて、経済的に援助を続けることを誓った。

 詳細 上川大臣とクレバ外務大臣の会談 JlJl.com https://www.jiji.com/jc/article?k=2024010700121&g=pol

上川大臣は、クレバ外相に続き、7日の夜、1時間に渡って、ゼレンスキー大統領と会談にのぞんだ。冒頭でゼレンスキー大統領から、元日に発生した能登地震に対して、お見舞いの言葉をいただいたという。ゼレンスキー大統領は、「日ウクライナ経済復興推進会議」に期待を寄せていた。上川大臣は、会談に先立ち、シュミハリ首相に、「復興推進会議」では10本以上の協力文書をまとめることを目指す考えを明らかにした。ゼレンスキー大統領には、クレバ外相との会談と同じく、支援を続けていく意向を伝えた。

 写真=上川大臣とクレバ外務大臣
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 ウクライナのキーウでの滞在時間はわずか半日、翌8日は、隣国のポーランドへ入った。同国は、ウクライナ産穀物へ輸入規制をかけて、時刻の農作物を保護していた。ウクライナの輸出物が滞る事態を受けて、2023年秋にゼレンスキー大統領から「連帯を装っている国がある」と間接的に非難された。ウクライナ支援から次第に身を引きつつある。

 上川大臣は8日夜に、同国の首都ワルシャワで、シコルスキー外務大臣と会談にのぞんだ。上川大臣は、前日にキーウでの訪問の内容を伝えたうえで、ウクライナ避難民の受け入れ体制を評価した。ポーランドは、2023年10月15日に、ウクライナの支援のあり方が争点となった議員総選挙( 上院100議席、下院460議席)が行われた。12月11日には、第3次モラヴィエツキ政権(2023年11月27日に発足)に対する信任投票を行い、賛成190票、反対266票の結果となった。反対票が上回ったことにより、モラヴィエツキ政権は不信任となった。新たに下院選挙で圧勝した野党勢力を率いたトゥスク氏が、9年ぶりに首相に指名された。したがって、モラヴィエツキ氏は、8年勤めた首相を解任された。トゥスク氏は、親EU派である。2024年1月22日に、再就任以来、初めてキーウを訪問した。前モラヴィエツキ政権の末期、穀物輸送問題を巡り、関係悪化が懸念されていた。トゥスク氏は、ゼレンスキー大統領との会談で、支援継続を表明したという。隣国ポーランドの力は、ウクライナの戦後復興においても不可欠だった。

 詳細 ポーランドの選挙について JESTRO https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/12/38da86441abca8d4.html

 写真=トゥスク新首相
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上川大臣は、8日に現地にて日本情報工科大学の学生と意見交換し、ウクライナから避難した親子を含む8人と対面する。祖国を追われた避難民に労いの言葉をかけ、戦後復興の支援について協力する姿勢を明確にした。

 一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、早くから旧ソ連内で、EUへ接近していたバルト3国の訪問を開始する。10日にリトアニアの首都ビリニュスに入った。過去に遡ると、ゼレンスキー大統領は、昨2023年7月にもベルギーの首都ブリュッセルにあるNATO本部での会議に備え、リトアニア入りしていた。同国に対して、加盟申請の後押しを要請していたのである。2023年7月11日から12日までの2日間に渡った会議にて、ストルテンベルク事務総長は、将来ウクライナの加盟を歓迎していた。正式メンバー入りには、加盟国全会一致の条件から、ウクライナを仲間に入れることのメリットを強調し、ロシアとの戦いで支援を続けることを誓った。同会議にて、ウクライナと設けている協議体をこれまでの「委員会」から「理事会」に格上げし、ゼレンスキー氏を招いて軍事作戦について意見交換する。ゼレンスキー大統領は、西側の民主主義を守るため、ロシアを押さえつける必要性を説いた。参加国からは、演説に対して、賞賛の声が上がった。

 詳細 NATO 首脳会議 日本経済新聞 2024年7月7日付  https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR07BFJ0X00C23A7000000/

 2024年1月10日、NATO入りを目指すゼレンスキー氏は、ビリニュスの広場にて、ナウセーダ大統領と横並びで歩いた際、聴衆から惜しみない拍手を送られた。
独キール世界経済研究所のデータによると、リトアニアからウクライナへの支援額は国内総生産(GDP)の1.4%。GDP比ではノルウェーに次ぐ世界2位に位置している。
 
 詳細 ゼレンスキー氏のリトアニア訪問について CNN.co.jp 2024年1月10日付 https://www.cnn.co.jp/world/35213701.html
 

11日には、エストニアとラトビアを同時に訪問した。エストニアは2027年までに12億ユーロ(約1900億円)の支援を約束し、ラトビアも追加軍事支援を表明した。次の訪問地はスイスである。15日から19日まで5日の日程で、世界経済安定フォーラム、ダボス会議が開かれている。80カ国の国と国際機関が参加し、今年で4回目を迎えた。ロシア軍によるウクライナ侵攻も議題に登った。参加したウクライナのイェレマーク長官は、「ロシア軍の撤退」、「領土の一体性」、「核の脅威を取り除く」、「安全な食料の輸送網の構築」を盛り込んだ10項目の和平案について説明した。インド、南アフリカ、ブラジルを含むグローバル・サウスと呼ばれる国々にも理解を求めたものの、意見の隔たりは大きかった。ロシアと関係が深い中国は参加を見送っている。イェレマーク長官は、領土を支配された状態では、停戦に応じないと、改めて示した。

 写真 掲載元 読売オンライン 2024年1月15日付 :ロイター通信より
https://www.yomiuri.co.jp/world/20240115-OYT1T50215/
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ゼレンスキー大統領は、2日目の16日に登場し、ロシアのような専制主義国家の脅威を排除するべく、西側諸国の結束を求め、経済支援を求めた。ロシアは、2022年2月24日の侵攻開始当初からあらゆる部門で経済制裁の対象になっているとはいえ、原子力部門は外れている。エネルギー供給が行われていることにより、戦闘継続を可能にしているとみられている。ゼレンスキー氏は、ロシアに対する制裁を強化する必要を説き、ウクライナ支援が、西側諸国の安全に繋がると訴えた。出席していたNATOのストテンベルク事務総長と共に、EUのフォンデアライエン委員長が、賞賛した。

 詳細 REUTERS 2024年1月17日付 https://jp.reuters.com/world/ukraine/VF7SRS6GMJNXXHB2ZD6VRRHKUE-2024-01-16/

 ウクライナ軍は、兵力や弾薬不足を補うべく、遠隔攻撃に徹する。ウクライナのニュースサイト「ウクライナ・プラウダ」などは1月18日に、ロシアの主要都市サンクトペテルブルクの石油貯蔵施設を無人機で攻撃したと発表した。実のところ、ダボス会議の4日目となる18日に、ウクライナのオレクサンドル・カミシン戦略産業相が、1250km飛行する国内産ドローンの存在を明らかにしていた。
 一方、露国防省は18日、サンクトペテルブルクが属するレニングラード州上空でウクライナ軍の無人機を迎撃したと発表した。


     第3章 ウクライナのミサイル攻撃

 以下 2024年1月21日 REUTERSより 引用文
https://jp.reuters.com/world/ukraine/BGUX65CBQJITXI7J6JT746Y5GE-2024-01-21/

ロシア天然ガス大手企業ノバテクは21日、サンクトペテルブルク西方約170キロのフィンランド湾で運営している巨大製油輸出ターミナルの一部の操業停止を余儀なくされたと発表した。ウクライナのメディアによると、ドローン攻撃に伴い火災が発生したという。
このターミナルは、天然ガスコンデンセートを軽質ナフサ留分や重質ナフサ留分、灯油、軽油などに分離精製処理し、国際市場向けにタンカーへ積み込む施設。操業停止がいつまで続くかや、停泊中のタンカーの隻数、今後の市場への影響などは現段階では分かっていない。

 1月21日、ロシア天然ガス大手企業ノバテクは21日、サンクトペテルブルク西方約170キロのフィンランド湾で運営している巨大製油輸出ターミナルの一部の操業停止を余儀なくされたと発表した(2024年 ロイター)
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サンクトペテルブルク周辺の地域では、当局が重要インフラへの攻撃に対する厳しい警戒態勢を敷き、治安部隊や警察などはいかなるドローンを検知した場合でも破壊するよう命令された。
インタファクス・ウクライナ通信は複数の関係筋の話として、ターミナルの火災は、ウクライナ側が実行した特殊作戦が原因だと伝えた。関係筋の一人は「このターミナルは敵にとって重要な施設だ。燃料が精製され、ロシア軍にも供給されている。そうしたターミナルへの攻撃成功は敵に経済的な打撃を与えるだけでなく、ロシア軍の燃料補給にも重大な支障を生じさせる」と説明したという。

                      <引用終わり>

現地時間1月21日には、ドネツク州のロシアの実行支配地域にて、ウクライナ軍の砲撃があった。州のトップに君臨するプシーリン氏は、死亡者27人、負傷者25人と明かした。ロシア側が勝手に市長に任命したアレクセイ・クレムジン氏は、ウクライナ軍が店や市場が集まる地区を砲撃したと主張した。ウクライナのゼレンスキー大統領は夜間のビデオ演説で、ロシア軍の攻撃による被害状況について訴えた。1日の間に9州の100以上の市町村が砲撃を受けたという。とりわけ、ロシア軍が全域制覇を狙うドネツク州での攻撃が「特に激しかった」と述べるにとどめた。

 一方現場からもメッセージが発せられている。南部地帯のウクライナ軍はフェイスブックへの投稿で、同部隊によるドネツク攻撃への関与を否定した。改めてドネツク州は、ウクライナの一部であることを宣言した。

 詳細 REUTERS 2024年1月22日付 https://jp.reuters.com/world/ukraine/XRDZAGZBTNMBPD5VDLBU7POJCI-2024-01-21/
 
 ドネツク州の親ロ地域は、2024年のクリミア政変の混乱に乗じて、勝手にロシア人により国家宣言が行われた。国際社会は、ドネツク州とルガンスク州の国家宣言を認めていない。2022年2月24日から始まったロシア軍による侵攻の口実は、ウクライナが否定する2つの州の親ロ地域の住民保護にある。ウクライナ国家の行方を左右したともいえる。

 ロシア側も、ウクライナからの領土獲得や親ロ派地域維持には、犠牲を伴う。2023年5月にドネツク州バフムトの制圧に貢献した民間軍事会社ワグネルのように、刑務所から囚人を勧誘している。刑期と引き換えに、半年間の兵役につくことを条件にしたのである。勧誘したのは推定5万人、2023年6月のワグネルの反乱により、指導者プリコジン氏が消息を絶つと、代わりにロシア国防省が任務を引き受けた。ワグネルの残存部隊は「ストームZ」、または「ストームV」と呼ばれ、偵察隊として最前線に立つ。ロシア正規軍の中でも、規律違反を犯すと、同じ部隊に送り込まれる。ロイター通信によると、バフムトの激戦地に送り込まれた一つの部隊は120人の隊員のほとんどが死傷し、無事だったのはわずか15人とみられている。米紙ワシントン・ポストによると、侵略を開始した22年2月に約42万人いた露国内の受刑者は、2023年10月には約26万人まで減ったという。囚人や規律違反を犯した兵士を盾にすることにより、ウクライナの防衛線を強行突破しているとみている。ウクライナ国防省が入手した資料によると、悲壮な現実が明らかになった。ロシア軍はザポリージャ州とへルソン州の占領地で、現地のウクライナ人を拉致して、同じように最前線の弾除けとして動員しているという。戦争犯罪を規定するジュネーブ条約では、占領地での住民の徴兵を禁じている。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは住民を拘束して従軍を強制している行為を「戦争犯罪だ」指弾した。ロシア軍は、内部の情報を隠している。

 以上 読売オンライン 2024年1月24日付 https://www.yomiuri.co.jp/world/20240123-OYT1T50161/

 第4章 ロシア内部の情報統制 ウクライナ人捕虜を乗せた飛行機が墜落する

ロイター通信によると、ロシア南西部のバシコルトスタン共和国の町で17日、有罪判決が出た活動家の解放を求めるデモ活動が拡大し、数千人の群衆と警察が衝突した。詳しい場所は、モスクワから南西へ140kmのバイマク市。裁判所が地元の活動家フェイル・アルシノフ氏に民族憎悪を扇動した罪で禁錮4年の判決を言い渡した。ロシアの中央政府の意向を汲んだ判決に、抗議する住民が一致団結して押し寄せた。裁判所を取り囲み、判決を覆すように訴える。SNSの映像では、催涙ガスから逃げる人々や出動した警察が群衆を警棒で殴る様子をとらえていた。

 詳細 読売オンライン 2024年1月18日付 https://www.yomiuri.co.jp/world/20240118-OYT1T50232/

 ロシア政府は、ウクライナへの特別軍事作戦にあたり、反対者を厳しく取り締まる。プーチン大統領自身も、侵攻開始当初の目論見が外れ、神経質になっていた。

  1月22日に、国連安全保障理事会では、ウクライナを巡る緊急会合が開かれた。ロシアからはラブロフ外相が出席した。
会合において、ドネツク州の親ロ地域にて、2024年1月21日、市民27人が死亡した事件に触れた。ウクライナ軍が市民を巻き込んだと主張し、武器供与を続ける欧米諸国の責任を問うた。ラブロフ外相は自らの発言後、およそ10分だけ議場に残り、中国の国連大使の発言が終わると退席した。

ロシア軍による軍事侵攻を非難するアメリカのウッド国連次席大使は、ウクライナ支援国を代表して、正当性を主張する。「ウクライナの自衛のための正当な支援が、ロシアの侵略戦争を長引かせていると主張するのは最上級の皮肉だ。この戦争を長引かせているのは、ウクライナを消滅させ、ウクライナ国民を服従させようとするプーチン大統領の一貫した追求だ」と指弾した。

このほか欧米各国や日本や韓国などからは、ロシアが北朝鮮から供与された弾道ミサイルをウクライナに対して使ったのは安保理決議に違反すると非難する意見も相次いだ。

 詳細 NHK NEWS WEB 2024年1月23日付 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240123/k10014330571000.html


戦況が長引く中、西側からの支援が滞っているウクライナ軍も、東部地域を中心に攻勢を強めるロシア軍も疲弊を隠せない。

1月24日に、大きな事件が起こった。ウクライナと国境を接するロシアのベルゴロド州にて、航空機イリューシン76輸送機が墜落した。搭乗者には、65人のウクライナ人捕虜が含まれているとされている。パイロットや軍の乗組員を含め、搭乗者74人全員が死亡したと、ロシア当局は発表した。ロシア軍は、越境攻撃を繰り返すウクライナ軍の仕業だと、国際社会に訴える。一方ウクライナ側は、捕虜が搭乗していたことは知らされていなかったと、潔白をアピールした。26日に国連緊急会合が開かれ、航空機撃墜事件について、両国の代表団は、互いに責任をなすりつけて、事態の解明には程遠かった。31日にロシアのプーチン大統領は、アメリカ製地対空ミサイルで撃墜されたと、主張した。ロシア側もウクライナ側も国際調査を求めている。真相は闇に包まれたままだった。

 写真=イリューシン76が墜落した瞬間に炎上 ベルゴロド州でソーシャルメディアからの動画。(2024年 ロイター)REUTERS 2024年1月25日付 
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 国際社会の緊張を緩和するべく、1月31日には、大規模の捕虜交換が行われた。国営ロシア通信は、UAEが仲介を引き受けたと報じている。ウクライナのゼレンスキー大統領は、兵士207人が帰還したことを明かした。一方プーチン大統領は、互いに195人の兵士が自国に戻ったと発表した。続く2月8日には、双方100人ずつの捕虜交換を行う。ゼレンスキー大統領が、テレグラムにて、報告した。1月31日を含めて、直近2回の捕虜交換にて、帰還を果たしたウクライナ兵士は、国境警備隊を含め、マリウポリのアゾフ連隊も含まれている。プーチン大統領も、航空機墜落事件以降、捕虜交換には前向きに応じる姿勢を示している。


 2024年2月7日 EUのボレル外相がキーウを訪れている最中、ウクライナ全土にミサイル攻撃があった。18階建て集合住宅では火災により、4人が死亡し、39人が負傷した。対応したキーウ市長のクリチコ氏はボレル氏に対し、強い口調で支援を求めたことを明かした。ボレル氏自身も、空襲警報の発令に伴い、地下シェルターで一時避難した。ウクライナ軍が迎撃したミサイルの破片が、住宅に突入したことによる火災が原因とみられている。

 詳細 朝日新聞DEGITAL 2024年2月9日付 https://www.asahi.com/articles/ASS2903Z2S28UHBI02V.html?iref=pc_international_top

 写真=2月7日のキーウのミサイル攻撃にあった集合住宅
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なお同日、ウクライナ南部や北東部でも攻撃による死傷者が出た。ハルキウ州の警察当局者は専門家の分析として、州内に発射されたミサイル5発のうち2発は北朝鮮製だったとの見方を明らかにした。

後編へ続く。
 

 
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