〜「そして、バトンは渡された」などで知られる人気作家・瀬尾まいこの同名小説を、「ケイコ 目を澄ませて」の三宅唱監督が映画化した人間ドラマ〜
〜PMS(月経前症候群)のせいで月に1度イライラを抑えられなくなる藤沢さんは、会社の同僚・山添くんのある行動がきっかけで怒りを爆発させてしまう。転職してきたばかりなのにやる気がなさそうに見える山添くんだったが、そんな彼もまた、パニック障害を抱え生きがいも気力も失っていた。職場の人たちの理解に支えられながら過ごす中で、藤沢さんと山添くんの間には、恋人でも友達でもない同志のような特別な感情が芽生えはじめる。やがて2人は、自分の症状は改善されなくても相手を助けることはできるのではないかと考えるようになる〜<映画.comさんより>
当初、観賞を迷っていたんですが、旧twitterで、皆さん、泣いていらっしゃって・・・。
何より凄いなって思ったのは、悪いレビューが全くない!こんな作品って、最近では珍しい。
というわけで、これは観なきゃとなりました。
いやあ〜、私好みでした。
何から書こう。あれこれ書きたい。
夜景が何度か出てくるんだけど、あれが、どこか、ほっこりとした宇宙に見える。
電車はその宇宙を駆け抜ける、流れ星の如く。
PMSを抱える藤沢さんとパニック障害を抱える山添くん。
互いにそれぞれの病気を知った時の会話。(おぼろげ)
藤沢さん「お互い、頑張ろうね」
山添さん「えっ、あっ、でも、違いますよね。PMSとパニック障害って・・・」
藤沢さん「何?レベルが違うって?そっか、PMSもはやく追いつかないとね」
ここ、なんか、リアルだったなあ。すぐに距離が縮まるわけじゃないのもいい。
メインの2人の周りの人物。
藤沢さんの母親はある時から、介護が必要となるように(血栓症が悪化?)
(警察に藤沢さんを迎えに来て、ペンを落としていたのがサインだった?)
栗田科学の社長は、弟を亡くしている。
山添くんが以前勤めていた会社の上司辻本は妻を亡くしている。
栗田社長と辻本が知り合ったのは、身内を亡くした者たちが集う会。
山添くんを栗田科学に勧めたのは、辻本だったということだろう。
栗田科学で働いている人たちが、皆、皆、優しい。
その中の一人、住田さんの息子は、中学校の放送部所属で、その活動の一つとして、別の女子と一緒に栗田科学の人たちにインタビューをするっていう設定も上手い。
観客に会社の説明もできるし、社長(従業員)の人柄、これからの予定等、上手く、こちらに伝えてきた。
藤沢さんが山添くんの髪の毛を切ってあげた(切ってしまった)あたりから、徐々にお互いの垣根が下がっていった2人。
このシーンで、藤沢さんが山添くんの部屋に入って、最初にしたことが、カーテン全開。
これが個人的に好きだった。
それぞれが別々のクリニックに通っていて、薬を処方してもらっている。
藤沢さんがPMSだと知って、山添くんはクリニックの先生が貸してくれた関係書籍を読むように。
栗田科学で、藤沢さんにその症状が出そうになった時、山添くんが藤沢さんを外に連れ出して「ここでしばらくひとりで怒っていて下さい」と洗車の道具を渡すところが最高だった。
その後、一緒に、洗車する流れは、泣きそうになったぞ。
2人は変われる・・・。助けて、助けられて。
人は人を助けられるし、人は人から助けてもらっていい。
藤沢さんが具合が悪くなって会社を早退し、スマホを忘れていったので、山添くんが自転車で届けてあげるというシーンが、ひとつのハイライトだったかもしれない。
というのも、まず、山添くんは、当初、自転車は持っておらず、部屋でフィットネスバイクをこいでいた。
それが、ある時、藤沢さんが勝手に自転車を持ってきて・・・。
で、山添くんは、それまでは、会社の名前入りジャケットをただ一人着ていなかった。
(この会社にどっぷり染まるのが嫌だったためと思われる。当初は以前働いていた会社に戻りたかった)
それが、このシーンでは、いきなり羽織って出かけている。
そして、藤沢さんの部屋に向かう時の、山添くんを包み込む日差しの優しさったら。
原作では「栗田金属」だったらしいが、映画の「栗田科学」は、教育教材を作っている会社。
移動プラネタリウムということもやっている。ところどころに、宇宙や星の話が出てくる。
オリオン座の話が出てきた時に、ふと気づいたこと。
中央の3つの星は、藤沢さん、山添くん、そして社長なのでは?
そして、まわりの星たちが、栗田科学の従業員のように思えてしょうがなかった。
パニック障害で、食べ物がまるで美味しく感じられないと言っていた山添くんが、藤沢さんと肉まん(あんまん?)を食べながら帰る時の「美味しい」に、ウルウル。
藤沢さんがいなくなった後、今度は山添くんが、皆にたい焼きを買ってくるのは、分かりやすい変化だったわ。
※予告編
https://youtu.be/_wdULFYanYs
この作品で、何より感心したのは、藤沢さんと山添くんが、潔いほど、恋愛関係にならないこと。
広くない山添くんの部屋に2人でいる時も、撮り方が上手かったせいか、かなり近くにいても、まるで、そういう雰囲気は出ない。
ただ、2人がくつろいでいるのは、伝わってくる。
BGMが、控えめながら、ポコポコしてて(←観た人、わかって〜)、これまた優しい。
坂道だったり、トンネル、公園、ちょっとしたロケーションも上手く活かされていた。
雨から始まり、雨で終わる。
救いようのない冷たい雨から→最後には人肌のような温かな雨。
これからも障害は続くのかもしれない。それでも、2人は何か、手ごたえを感じているに違いない。
時間はかかるかもしれないけど、きっと大丈夫。
毎日の水やりを欠かさなければ、きっと大丈夫。
本当、好きな作品でした。三宅唱監督、お見事でした!

4.2☆
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