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2024年02月18日04:22

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【病と生きる】映画『夜明けのすべて』

 
2月14日(水)昼、大和郡山で鑑賞。観客34人は女性が大半だった。
翌日、整骨院の受付さんに「昨日、シアター内でお見かけしました」と言われた。


公式 https://yoakenosubete-movie.asmik-ace.co.jp




気づかなかったが、監督は『ケイコ 目を澄ませて』の三宅唱。
主演は『カムカムエヴリバディ』の上白石萌音と松村北斗。自然な演技だった。
特に松村はイケメンオーラを封印し、「とっつき悪い兄さん」になり切っていた。



PMSは女性ならある程度知っていると思うが、あれほど酷い症例は初めて見た!
「大雨に全身を打たれながら、夜にバス停のベンチでフテ寝している」だなんて…。
「警官に職質されたら、カバンの中身を1個ずつ投げ捨てていく」様子にも驚いた。
上白石が鬼気迫るほどリアルな演技で、冒頭から度肝を抜かれた。

かかりつけの婦人科で、「お母さんが血栓症だからピルは処方できない」と言われて
本当に気の毒だった。で、代わりに処方されたのが「アルプラゾラム 0.4mg」。
ソラナックスだ! 私も服用したことがある。とってもよく眠れる抗不安薬だ。

こんな薬を、精神科とか心療内科ではないクリニックが処方して良いものなの??
てか、藤沢さんは、心療内科に紹介した方が良い患者では…と、見ていて怖かった。
案の定、勤務中にアルプラゾラムを服用した彼女は、会議室で傾眠してしまう。
他にも怒り発作で上司に食ってかかるなどしてしまい、居たたまれず希望退職。
ちゃんと職場に相談できれば良かったんだろうけど…。とても可哀想だった。



それから5年後、学習教材を製造販売する栗田科学で、藤沢さんは働いていた。
年上の同僚は皆いい人達だったが、同世代の山添だけは「感じ悪い奴」だった。

藤沢さんは年齢こそ20代だが、マインドは「おばちゃん」だった。
やたら同僚にお菓子などを配る癖がある。気遣いというか、お節介というか…。
また、彼女は礼儀にもウルサかった。
PMSで感情コントロールが難しかった日、職場を取材する中学生達に無愛想な山添に
「なんで挨拶しないんですか!」と盛大にブチ切れていた。
かと思えば、後日お詫びにと漬物を差し出す。不器用な藤沢さんが愛おしかった。



山添くんも訳アリだった。前の職場でパニック障害を発症し、復帰を焦っていた。
元上司が良い人で、自死遺族の会で知り合い人柄を信頼した栗田科学の社長に頼み、
彼を預かってもらったのだった。こんな上司や社長、ちょっといないと思う。

職場で山添くんが落としたアルプラゾラムを偶然見つけた藤沢さんは、瞬時に察し、
まさに過呼吸発作を起こしていた山添くんの元に走っていって薬を渡した。
(みんな優しく介抱していたけど、過呼吸の時は口に袋を当ててやらなきゃ…)



その後、2人の距離は徐々に縮まる。でも、恋愛関係にならないのが非常に良い。

内面「おばちゃん」の藤沢さんは、山添くんのアパートを見舞い、彼が散髪するところと知ると強引に上がり込んで髪を切った。いきなり失敗。山添くんは笑い転げ、和んだ。


2人は打ち解けても「心地よい距離感」を自然に保っていた。
お互いの病気を学び、自分にできる「さりげないサポート」を心がけていた。

山添くんの部屋で「これ、もらっていい?」と聞いた藤沢さんが、プリングルスのかけらをラッパ食いする様子を見て、清々しいほど飾らない関係だな!と思った。笑

また、PMSで激しい怒りが湧き上がる藤沢さんを「ここで独りで怒っていてください」と洗車で昇華できるよう誘導した山添くんはグッジョブだった。

帰省した藤沢さんが山ほどお守りを買って、山添くんのアパートに届けた帰り、偶然会った山添くんの彼女にも「1つどうですか」とお守りをあげたのも、いいなと思った。
彼女は「あなたのような方が彼のそばにいてくれて良かったです」と感謝していた。

(余談だが、暴露療法は素人考えでやると危ない。電車チャレンジは無謀だった)

山添くんが藤沢さんからもらった自転車で、遠路スマホを届けに行く場面も良かった。
少しずつ、彼が元気になっているのが分かった。



やがて、栗田科学は移動式プラネタリウムの鑑賞会を企画する。
脚本担当は山添くん、ナレーターは藤沢さんが任命された。2人は協力して働いた。
(かつての山添くんは「同僚と協力して働く」なんて考えられなかった!)

山添くんは倉庫で古い録音テープとノートなどの資料を発掘し、研究し始めた。
それは、社長の弟の遺品だった。その魅力的な解説で、元は興味のなかった星の世界に
だんだんのめりこんでいく山添くん。(藤沢さんの方が星に詳しかった)

イベント準備を進めながら、藤沢さんは転職活動をしていた。
母一人子一人の藤沢さんは、脳梗塞で歩行が不自由になった母を介護するため、帰郷すると決めたのだ。親友(『ブギウギ』のたいこちゃん)も応援してくれていた。
転職が決まると、彼女は社長に辞表を渡し、心から感謝を述べていた。


ついに、イベント当日。
山添くんの元上司や、藤沢さんの転職エージェント親子が来ていた。
山添くんが練り上げた解説も、藤沢さんの丁寧なナレーションも、深く心に染みた。
あの「夜についてのメモ」を、もう一度じっくり聞きたいなと思う。
「夜明け前が一番暗いけれど、そこから明るくなっていく」希望が語られていた。

「この世界は動いている。ここにしかない闇と光。全ては移り変わっていく。
 新しい夜明けがやってくる」



藤沢さんが会社を去る日が来た。
他方、山添くんは栗田科学に腰を据えると決めた。
前を向いた彼の報告を聞き、元上司は(彼はもう大丈夫)と嬉し泣きしていた。

PMSもパニック障害もケロッと全快はしないが、気長に付き合っていけるはず。
そうやって生きている人は多いから、周りはそっとサポートしてあげてほしい。

別れのシーンはサラッとしていたが空気感は温かかった。
ラストは栗田科学の昼休み風景。のんびりした明るさの中に、山添くんもいた。


丁寧に描かれた優しい世界に心和んだ。ぜひ劇場で。



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見たところ女性のレビューがほとんどないため、使命感で書く。笑

劇場で予告編を見た瞬間、絶対観ると決めた。PMSとパニック障害はホットトピックだから。私が行ったのは水曜午後だが、女性客で大入りだった。

傷つきを抱えた優しい人たちが、ゆるやかに繋がり、そっと支え合いながら生きていく物語。
10代後半から重症のPMSに苦しむ20代女性・藤沢。2年前にパニック障害を発症した20代男性・山添。そして身内を自死で亡くした上司達。
学習教材会社の同僚女性はよく気遣いのできる人だった。他の男性社員達もほのぼの系で、人々のほどよい距離感が心地よかった。いいなぁ、こういう世界。

物語もことさらに起承転結を作らない感じが今っぽくて好印象だった。
絵面がパッとしない、若者版『PERFECT DAYS』だなと感じた。



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