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2024年01月20日09:22

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ディビッド・バルダッチのThe Edge を読んだ

ディビッド・バルダッチのThe Edgeを読んだ。
やはり彼のミステリーは面白い、絶対のお薦めです。
トラビス・ドヴァイン(The6:20 Man)のシリーズ2作目でNYT ベストセラーに6週間連続登場したばかりの新作です。

いきなりジュネーブからミラノへのアルプス山脈シンプロン・トンネルを走る列車内での2人の男に襲われる場面からスタートします。二人のカザフスタン人を格闘の末殴り殺し、もう一人の女性の首を絞め、気絶させたうえで途中下車し飛行機に乗り帰国します。

そしてバージニア州の陸軍に戻ると、スイス、イタリアの両国からアルプス列車内の事件について抗議があった旨将軍から告げられます。女性の殺し屋は逃げて行ったことを知ります。
しかし陸軍でも何故カザフスタンの殺し屋がトラビスを襲ったのかは分かりません。しかし将軍はトラビスに「常に背後を注意しろ」と警告し、特別な組織が雇われ彼を襲ってくるだろうと言われます。

トラビスの新たな指令はメイン州で射殺されたCIA女性捜査官の事件の真相を探ることでした。
地元メイン州に帰ったジェニファー・スクエル捜査官が射殺された事件です。

メイン州の元上院議員の娘で、優秀なCIA捜査官だったジェニファーが地元パトナムという人口250人余りの田舎町で殺されたのです。
地元きっての名門家の娘が殺されたのですから大騒ぎのはずですが、意外に誰もふれたがらないのです。

彼女は地元に帰ったものの、目的はちょっとやり残した仕事をするためと母親に告げただけだったのです。母親や兄妹には何も告げていなかった。
ジェニファーはポリマー製の薬莢のスナイパー銃で頭を撃ち抜かれて死んでいるのを漁師によって発見されていたのです。
130ヤード余り離れた場所に薬莢が落ちていたのです。この薬莢は軍の中でもスナイパーのみが使用しているものです。ブラス製の薬莢に比べ非常に軽くスナイパーには最高のポリマー製薬莢の銃弾だったのです。これはごく限られた軍人にしか供与されていないもので、小さな会社で製造されていた。

彼女が発見された場所は絶壁の下で、漁師が岩の上から彼女を発見するのは不可能で理解できないものだった。
夜中に散歩していて発見したのだが、事件当夜は雨が降り視界も悪かったのだ。そのうえ、漁師は老人で体を曲げて下を覗くことも無理だと分かったのです。
しかし地元警察の署長、検死した医師は間違いないと言うのです。彼等は明らかに何かを隠しているとトラビスは考えます。

小さな町パトナムは過疎化が進み、何とかリゾート地で再開発しようとしていたのです。
ジェニファーの兄ダクは、パトナムでタトゥー店を経営し多角的な事業も計画し、元上院議員の父親の邸宅売却も計画しているとも噂されていた。それをジェニファー、妹アレックスの反対があったという可能性も考えられた。
ダクは上官の妻と不倫して不名誉除隊していた過去もあり、表向きには活躍する人物にも見えたのだが、トラビスは不信感を持っていた。

地元にとっては政府関係者の存在は目障りでもあったのです。小さな町は他人、政府関係者に街を荒らされたくない、過去のリゾート地としての栄光も引きずっているのです。

しかし雨と風の夜中ではスナイパーライフルとはいえ、絶壁の上にいる彼女を狙撃することは困難だとトラビスは思います。
おそらく他の場所で殺され、発見現場に運ばれたのだと。
漁師が雨の真夜中に散歩も怪しい。しかも彼の妻が昔ひき逃げ事故で死亡していたことも分かります。
その上彼の息子夫婦も自宅の失火で死亡していたのです。
アレックスが海岸の絶壁で何者かに襲われた事件もあったのです。
漁師の息子夫婦は襲われたアレックスを救助していたのですが、その数日後に夫婦が失火で死亡したことも分かります。
15年前の漁師の妻、息子夫婦の不審死をなぜうやむやにして地元警察が長年放置していた謎が深まります。

ジェニファーの妹アレックスは15年前に単純に襲われただけではなくて暴行されていたのです。しかし彼女は以後引きこもり気味で、以後一切そのことを何も話さないのです。

おまけに警察署長は巡査長時代にアレックスの暴行被害の証拠を最後に確認した後、証拠そのものが消えていたのです。
ジェニファーの検死をした医師の弟はジェニファーの同級生であることも分かったのだ。

トラビスはジェニファーが射殺された場所が、アレックスが襲われた場所と同じところであったのではないかと気がつきます。
ジェニファーが「やり残した仕事とはそのことではないか」と捜査を進めます。
なぜジェニファーとアレックスの襲われた場所が同じ場所なのか、それが謎を解くカギになるのではと思われます。

すると何者かがトラビスを宿泊先の窓越しに狙撃銃で狙いますが彼は運よく助かります。今回の銃はブラス薬莢で、ジェニファーとは違う人物なのか分かりません。
ポリマー薬莢ではなかったのです。

それからもトラビスは町で二人組の暴漢に襲われますが、彼等を殺し助かります。今回はアルプス列車の殺し屋組織の仲間のアジア系だったのです。しかも列車の女性の姿は見えませんが声を耳にしたのです。
彼等がどうしてトラビスに絡むのか、この事件とどう関係するのか分からない。
複雑に絡んだ過去の事件と、ジェニファーの事件との接点が分からないのです。
そこへまた新たな事件が起こります。

エビ漁師のパーマーが自殺をしたのです。明らかに偽装首吊り自殺で、誰が殺したのか同一人物の犯行なのか、一家全員を殺したのは過去を引きずる問題があるのか、ジェニファー射殺とどう繋がるのか。
そして東洋系の殺し屋は何者で、ジェニファー殺しと関係があるのでしょうか。

果たしてどういう展開になるのか、楽しんでください。小さな過疎のリゾート地で起きた殺人事件を複雑にからませています。
400頁の長編ですが、一気に読めます。

余談:
*本編は続編が出ると思います。ジェニファー殺しは判明します。しかし謎の女性殺し屋から最後に「2度目を逃れても3度目も助かると思うな」というメッセージを受け取って終わるからです。
*バルダッチは現在後8作の契約があるそうです。1996年のデビュー以来物凄い勢いで書き続けています。年に2冊以上書き、世界で1億8千万部の売り上げは流石です。9つの人気シリーズと単独小説等を書きメジャー映画、TVシリーズも持っています。ハードカバーは全てNYT ベストセラー上位ランクに登場は凄い。

*ミラノからジュネーブへ向かうシンプロン・トンネル内でのアルプス列車内の格闘は、昨年のマーク・グリーニ―Burnerでも同じような列車内格闘シーンがありました。どちらも昨年のNYT ベストセラーでした。

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