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2024年01月10日00:27

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ちょっと気になる医療と介護権丈善一勁草書房 2017年1月28日

https://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=5160461&id=4185752
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000121030843&owner_id=5160461

p.121
都道府県が、市町村毎の納付金を決定する際、「年齢構成の差異を調整した医療費水準」を元に算定することになっていますし、都道府県の裁量に基づいて、納付金の算定に際して都道府県内では市町村1毎の医療費水準を反映しないことも認められています。
p.123
そして今、次回こそは負けじとがんばっているのが、介護保険における加入者割から総報酬割への転換でしょうか。でも、どうせいずれは導入せざるを得ない総報酬割の話などはさっさと終えて、彼らとの交渉にあたるのに莫大な労力を費やす官僚に、もっと意味のある仕事のために働いてもらう方が、この国にとっての人的資源の有効活用になると思うのですけど、そう簡単にいかないのが、僕が昔から言っている「政策は、所詮、力が作るのであって、正しさがつくるのではない」――世の中というものなのでしょうかね。
p.126
2008年より前の医療費の将来試算は、年齢階級別医療費をベースにして、人口構成の将来の変化を反映させるという方法で行っていましたが、第4章で説明したように、2008年の国民会議の時に、あるべき医療、あるべき介護という姿を先に描き、つまり、「あるべき医療はこうだ」、「あるべき介護はこうだ」という姿を先決して、そこに単価を掛けることによって総医療費、総介護費用が幾らになるという方法に切り替えたわけです。
p.127
　医師需給分科会でやっている今回の試算では、次の図表44にみるように、例えば今の労働時間はあまりにも長く、これを減らしたらどうだろうかという、3種類の労働時間の調整ケースを想定して、最も労働時間を減らしていくケースでは医師数の需要は相当大きくなり――というような試算結果が得られているわけです。
p.130
今までは――これは医師需給分科会に参加されている神野正博先生のお言葉ですけれども――バケツに水を入れていき、バケツから溢れたところが地方に回っていくというような状況でしたので、バケツから溢れ出る水を待つ地方は、バケツの水とは豊富さが違う。
p.133
そういう環境変化が起こった中で、1973年の一県一医大構想の大学入学のところをずっと自由化していると、地域の人たちが当然、地方のほうが10月ぐらいまで運動会をやっていますので、都心の進学校に入試の段階で負けていきます。
p.134
医学部卒業後の定着率を高めるためには、医学部のある地元の高校の校区とか2次医療圏毎に地域枠を設けることです。
p.136
例えば医師不足が強く言われていた頃に僕が何をやっていたかというと、まず、「医療事故」というキーワードで新聞を検索します。
p.140
2015年医学部入学定員は9,134人。同年の推定出生数100万8千人。2015年の出生千人あたり医学部入学定員は9.06人。
p.149
　図表52、54にある5種類の給付内容にしても、施設サービスと居宅サービスは、まぁ、この名前はサービスの内容なんだろうなと、なんとなく想像ができると思います。
p.150
　これは、2005年の介護保険改正時に導入された制度です。
p.151
　厚生労働省の説明によると、「小規模多機能型居宅介護は、利用者が可能な限り自立した日常生活を送ることができるよう、利用者の選択に応じて、施設への「通い」を中心として、短期間の「宿泊」や利用者の自宅への「訪問」を組合せ、家庭的な環境と地域住民との交流の下で日常生活上の支援や機能訓練を行います」とあります。
p.152
介護保険では、こうした実践が先行して、後に、制度化がついてくるというケースがあります。
…
　こうした要件をみたしている小規模多機能居宅介護を利用する際には、図表55の金額を自己負担することになります。
p.155
　①「全国一律の予防給付（訪問介護・通所介護）を地域支援事業に移行」というのは、社会保障制度改革国民会議報告書の次の文章に対応したものです。
…
　介護保険給付の要支援を、地域支援事業に変えることについては、国民会議報告書に対する批判として、けっこう、メディアで取り上げられていました。
p.164
ここは皆さんには是非、日頃の頭の体操として、もし財源があればどこを増やすか、それはなぜ？　そして財源がなければどこを減らすか、それはなぜ？　というように、増やすと減らすの両方を考える思考の訓練をはじめてもらえればと思います。
p.175
そうは言っても、もし利用者が予算を立てた段階での見込を超えて市町村の負担が急増した場合、障害者の人たちにも、そして事務を担当してくれる市町村の人たちにも、障害者福祉を担当する厚生労働省という国側の担当機関は、それは市町村の問題でしょうと言っておくわけにはいきません。厚労省は、支援費制度によって障害者福祉も措置制度から事業者と利用者が対等な契約制度に変わる、また、在宅サービスを自由に利用できるようになるのだから施設を出て地域(在宅)で暮らすことができると繰り返し宣伝していたわけですから、市町村が混乱する様子を傍観しておくことは道義的にできるはずがありません。
p.176
　実際には、厚労省全省的に、厚労省内部の政策判断で柔軟に縮減できる裁量的経費を、制度を所管する障害保健福祉部に供出したり(要するに、障害者福祉担当が他の部署に財源を求めて頭を下げて回ったり)、翌年の制度改正――つまりは、しっかりと歳出をコントロールする仕組みを導入するという条件――を財務省に担保に出し、極めて異例なこととして裁量的経費に補正予算を打ったりして自治体に追加補助をしていました。…
…
　それでも、(市町村と都道府県で財源が枯渇した結果として)支援費制度で求められる国の補助率が100%にはならないことに加え、省内で資金をやりくりするために使節の整備補助金を減らしたり、支援費制度の施行前に当初予算でも一定程度の努力をしておこうとして、当時、障害者を施設から地域に移行することを推進していた人たちの拠点的な事業であった地域療育等支援事業(サービスコーディネート事業)を廃止していたりしたことから、入所施設を是とするグループと地域移行を是とする相対立するグループ(ほぼすべての障害団体)を厚労省は敵にまわし、厚労省のビルが障害者の「人間の鎖」で囲まれるという事態に陥ってしまいました。
p.181
なお、民主党政権下の2012年6月に、障害者自立支援法から「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援する法律」(障害者総合支援法)に名称を変更する法律が成立し、2013年4月から施行されていますが、自立支援法の骨格は変わっていません。
p.183
　この文章に、少しでも、ふ～んっと思われる方がいらっしゃいましたら、権丈(2015 Ⅶ巻)391頁の知識補給で紹介している、読売新聞論説委員林真奈美記者のコラム「あってよかった介護保険」や、本書の知識補給「医療保険と保険者の政治」(274頁)などもご覧ください。
p.188
　そして、社会的アンバランスの解決として、彼は、企業の宣伝や広報活動を通じて「私的財貨に対する欲望がでっちあげられるにつれて⁴³」、公的部門の充実をはかるための税収が増える付加価値税を唱えることになります。
p.190
収入は全てが課税対象となるわけではありません。
p.192
　ここをクリアーできた人は、次の図表67「所得税の税率区分ごとの税収」をみてください。…
…
出所：財務省作成資料(2012年11月9日「参考資料　所得税の税率構造の見直しについて」19頁)。

　この図は2011年度のものですから、累進税率は5%～40%の6段階となっています(7段階目の45%は2015年4月に設けられました)。
p.193
そして40%の税率区分に位置する課税所得を納税者の数だけ合計したものが総課税所得で、それは約3.8兆円になります。その右横には、仮に税率を40%から41%に1%ポイント上げるとすれば増収は約380億円であると計算されています。この約380億円は、総課税所得約3.8兆円に1%をかけた値ですね。そして図の右端は40%の税率区分の対象納税者数が約30万人で、それは全納税者の0.6であることが（）内にあります。
p.195
のみならず、10%以下の所得税率区分には日本では83%の人がいます。対して、アメリカでは27%、イギリスでは3%、フランスでは39%ということらしいです。
p.199
　ところが、この消費税から得られた税収で社会保障の財源をまかない、国民ひとりひとりの所得水準とは無関係に1人当たりGの額だけ社会保障の諸サービスが給付される場合には、消費税の評価は変わってきます。
p.203
　世の中には、全部の問題にかかわっているものがあります。
p.205
この公的年金の積立金の相当部分は国債で運営されていますので、二〇歳以上のみなさんは、もれなく国債の関係者であるとも言えます。
　ところで、次の図表75は、国の財布を表す「一般会計」というところの支出項目と収入項目を示しています(国の財布の中では歳出と歳入と呼ばれます)。
p.206
2つ合わさった国債費は、元本と利子の両方を含めた「元利払い費」と呼ばれています。
p.207
頭蓋骨のサイズが一定のところに、脳の中の悪性腫瘍が大きくなってくると、他の健康な細胞が圧迫されます。
p.209
先に国債費を脳腫瘍に例えたのですが、そうした脳腫瘍が大きくなると、健全な細胞は圧迫されて圧縮されます。
p.212
そうしたなか、一体改革では、せめて1％分は、新たに社会保障の機能の強化をはかるということをやっていました――いや、本当は基礎年金にすでに投入されていた消費税1％分の国庫負担が恒常的に消費税から賄われることになったから、社会保障の機能強化分は消費税の2％分と表現しても良いはずなんですけどね。
p.213
　ですけど、やはり、世の中からは、「国に騙されるな、増税した分が社会保障の給付増になっていない」という観点から批判されていました。
…
　給付先行型福祉国家でスタートしたら増税分のすべてが社会保障給付の増加に回らないという制約がある上に、いつもその他様々な状況が重なってしまうもので、そうした現象を紐解いて理解することを国民に求めることはおそらく無理だと思います。
p.217
　僕は、世論7割の壁と呼んでいるのですけど、消費税増税先送りも、2015年末の軽減税率導入の決定も、2009年の政権交代総選挙も、2005年郵政選挙も、そして、2004年年金改革の時も、世論の7割は後に後悔をする選択をしているようです。
p.218
　ところで、2012年になされた三党合意⁵⁰というのは、奇跡のような話でした。
p.220
　と言っても、2013年からr＜gが成立したのは、いわゆる三本の矢のうちの第1の矢「大胆な金融政策」(つまりは日銀が国債を大量購入」と第2の矢「機動的な財政政策」(要は公共支出増)によるものです。
p.222
　そうした日本よりもはるかに後輩のFRBに、大先輩の日本がなにか学ぶことがあるのかなっという感じでしょうか。
p.227
なお、僕自身は、知識も技術も生活水準も成熟社会の仲間入りをしている日本では、労働市場での一次分配の改善を図り、所得の再分配を強化し、今よりも社会サービスを充実させるほうが、わずかにでも成長力を高めるとは考えています。…
…僕は、三田での社会保障論の講義で、「マルサス、リカードと社会保障とかかわる経済学の系譜」というのを、何週間もかけてやるわけでして――、その内容の大まかな話だけでも、ここに書かせておいてください。…
…
　第1章に登場したマルサスは、ケインズよりも100年も前に有効需要という言葉を使っていた経済学者でして、彼は、次のような言葉を残しています。
p.228
そして第1章で紹介したスミスの資本蓄積論や、セイの法則と言われている「供給はそれ自らの需要を創る」が成立するのならば、貯蓄は多ければ多いほど、それが投資に回って生産力が増強され、生産されたものは売れていくことになります。
p.229
　世の中の所得は平等に分配したほうが経済の活力が高まるのか、不平等に分配したほうが経済の活力は高まるのか――みなさん、どう思われますか？
　スミス以来続いてきた信念は、ケインズの言う「資本の成長は個人の貯蓄動機の強さに依存し、われわれはこの成長の大部分を富者の余剰からの貯蓄に仰いでいるという信念⁵⁶」であり、それゆえに〈高所得者から低所得者への所得再分配は資本の成長を阻害するために望ましくないとする思想〉が支配的でした。
p.232
ただ、たまったものではないのが、そういう経済学の世界とはまったくかかわりのない人たちです。
p.234
そしてそうした財・サービスが消費者の間に行き渡り、需要が飽和すると、経済成長は鈍化してしまいます。
p.239
所得分配を不平等にして、高所得者に多くの所得を持たせるという形で貯蓄を効率的に行って投資をするんだっという社会をつくったら、国内で需要が不足してしまった。したがって、資本は軍旗のもとでの輸出を展開していくというような「帝国主義論」、後にレーニンに影響を与える論をつくっていきます。
p.243
まぁ、そんな入門書が世の中に1つくらいあってもいいかなって感じでしょうか。
p.257
　報告書におけるこのあたりの記述は、大島伸一委員(国立長寿医療研究センター総長・当時)の発言によるものです。

大島委員　高齢者に対する医療というのは何かというと、いわゆるQOLの維持・改善を目指すものです。生活の質をいかに改善させるか。そして、もう1つ踏み込んで言えばQODです。Dというのはデスです。死に向かうときの満足度をいかに高めるか。こういう医療が求められてくるのです。……ところが、現実は20世紀型のあり方をずっと踏襲してきて、その延長上にあるものですから、国の政策としては地域包括ケアとか、あるいは病院から地域へという非常に大きな政策展開をしようとしているにも関わらず、現場がそれにキャッチアップできていないという状況になっている⁶⁴。
p.258
[社会保障制度改革国民会議で]大島先生がQODの話をされたとき、私は病理学者で、東大総長や日本病院会会長もなされていた森亘先生の「美しい死」という文章を想い出していました。
p.260
病院完結型から地域で治し・支える地域完結型への医療が目指されるにあたって、QOLとともにQODについても、国民的合意を形成していくために広く議論がなされる時代になっているのだと思います。
p.266
「第三次中間まとめ」で積極的支援群の医療費は不参加群に比べて1人当たり年間約5000～7000円低いとしていますが、積極的支援群の介入費用(「特定保健指導のコスト」、国庫補助の基準単価)は1人当たり約18,000円であり、上記医療費「節減」額を大幅に上回ります。
p.277
そして、2013年にまとめられた社会保障制度改革国民会議報告書には、次の文章があります。
p.283
　ここで、Cochraneのシステマティック・レビューとは、英国人アーチボルト・コクランが根拠に基づく医療(Evidence based medicine)のためにはじめたコクラン共同計画の中で、ランダム化比較試験(RCT)を中心として、臨床試験をくまなく収集、評価、分析するシステマティック・レビュー(sytematic review)を行っているものです。
p.284
　そして、第8回医師需給分科会では、僕が医学部入学の地域枠は、地元枠でないとダメだという話をする際によく用いるhomecoming salmon仮説――鮭は生まれた川、母川に回帰するという仮説――という言葉が使われた論文も紹介してくれました。
p.286
医局の派遣機能もあったのでしょうが、私は恐らくこの構想は、医師の地域偏在を緩和する面でかなりうまく作用したのだと思います。
…私は「地域医療崩壊」が強く言われ始めた2006年頃、「恐らく医学部の偏差値がバブル崩壊の頃から急上昇しているだろう」と考えました。
p.287
　それもありますが、バブル崩壊後の医学部進学熱の高まりには、もう1つ大きな要因があると思います。
p.289
　日本では、地域枠の入学者よりも地元出身者のほうが、臨床研修修了後、大学と同じ都道府県に勤務する割合が高いというエビデンスもある(知識補給図表4)。
p.290
　地元出身者が地域枠の100％となれば定着率は高まりますし、同時に、国が今後「慎重に精査する」と言っている2017～19年度の医学部追加増員についても、「その分は地元枠に限るように」と提案したい。
p.305
　いま、追加的に1単位(たとえば1万円)という所得を受け取った時、そのうちのどれだけが貯蓄に回されるかという割合を「限界貯蓄性向」と呼び、一方、追加的な1単位の所得に対して消費に回される割合を「限界消費性向」と呼びます。
p.311
　ノーベルの死後1905年、第5回ノーベル平和賞は、ベルタ・フォン・ズットナー女史が受賞――ノーベルが平和賞を設けた理由を、私は、それはそれで素敵な話ではないかと思っている。

20170330
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=5160461&id=647914
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986733519&owner_id=5160461
20170705
元朝日新聞論説委員　梶本章さんによる書評
http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/170701junpo_review.pdf
　日本の医療介護は、2018 年にその姿を大きく変えようとしている。
　まず診療報酬と介護報酬が同時に改定される。国民健康保険はその財政単位が都道府県に移行される。それだけでない。地域医療構想を反映した地域医療計画、地域包括ケアの推進を盛り込んだ介護保険事業計画も、それぞれ新たに策定される。
　本書は、関係者の間で「惑星直列」とささやかれるこのエポックを、分かりやすく説明してくれる恰好のガイドブックだ。時にジョークを交え、時に経済理論も援用。厚労省の説明より分かりやすい。
　この壮大な改革プログラムは、社会保障制度改革国民会議が 13 年にまとめた「報告書」で打ち出された。著者は会議のメンバーで、報告書の医療介護分野の起草者。本書が分かりやすいのは当然だろう。
　著者は 01 年に『再分配政策の政治経済学』を出して以来、年金や医療について骨太の論考を世に問うてきた。が、そこでも「勿凝学問」という軽妙なコラムを織り込む浮かれ心を忘れない。一連の大著は航空母艦、本書は「飛び道具」というが、短いエッセイに改革の要点が手際よくまとめられている。
　その一つが現在進行中の地域医療構想だ。著者はこの構想を「データによる制御」と性格づける。こうやって地域の実情にあった「ご当地医療」が形作られると展望する。これまでほとんど自然発生的に“整備”されてきた日本の医療提供体制に、初めて改革の道筋が示されたと、評者も思う。
　しかし、社会システムには慣性の力が働く。急激な人口減少が進めば病院は過剰になり、機能分化を通じて統合を図らねば共倒れになりかねない。病院関係者も早晩、合理的な選択に至ると思う。だが、上に政策あれば下に対策あり。また医療界の政治力に圧され厚労省が思わぬ手抜きをしないとも限らない。筆者にはしっかり目を光らせてもらいたい。
　もう一つは、保険財源による財政調整拡大の動きだ。著書は「社会保障って、どこまでも財源調達」と言う。まさにその通りだ。
　被用者保険から後期高齢者医療制度への支援金、介護保険への納付金の総報酬割り。また 18 年には国民健康保険にリスク構造調整に基づく標準保険料が導入される。いずれも報告書のプラン通りの改革だが、負担増となる保険者らの反発は大きい。しかし、産業や人口の構造が大きく変わる昨今、評者もやむを得ないと考える。
　しかし、社会保険の枠内であれこれ工夫することも大事だが、ここはやはり当初のプラン通り、欧州に比べ桁違いに低い消費税率の引き上げが必要だと思わざるを得ない。
　著者は本書の中で税・財政分野にも触れ、「消費税を福祉目的税にすれば、その規模を拡張していくと、所得分配の不平等指数であるジニ係数が小さくなり、格差を緩和する」と指摘している。膨大な国の借金の返済が求められる中、新たな給付拡大が困難な状況なのに、直ちにそうした効果が現れるのか疑問だが、注目すべき論点である。と同時に報告書とセットで提起された消費税 10％の引き上げを、道半ばで先送りした安倍・自民党をどう評価するのか。聞きたいところだ。
　こうして著者は縦横無尽に社会保障の問題点を論評してくれる。だが、残念ながら仮に25 年をターゲットとした報告書の内容を実現しても、先はまだ続く。むしろ団塊の世代が 85 歳となり、団塊ジュニアが高齢者に近づく時期が胸突き八丁なのではないか。著者には次の構想に向け航空母艦の出動を期待したい。　　（元朝日新聞論説委員　梶本　章）
権丈善一　著
『ちょっと気になる医療と介護』
勁草書房　定価 2000 円（税別）
27 社会保険旬報　No.2680 2017. 7. 1

■患者紹介をデジタル化する地域医療連携システム「medigle」がシードラウンドの資金調達。1年で200病院導入
(Techable - 01月17日 12:11)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=160&from=diary&id=7264195

地域医療の連携システム「medigle（メディグル）」を提供する、メディグル株式会社はベンチャーキャピタルのANOBAKAとEast Venturesから、総額5,000万円のシードラウンドの資金調達を実施しました。
設立1年で導入病院が200を突破
「かかりつけ医受診促進」「紹介患者獲得」「逆紹介推進」という病院を取り巻く課題解決を実現するmedigle。地域医療連携における顧客情報の一元管理ができるCRMをベースとしたサービスは、地域の基幹病院を中心に導入が進み、2022年12月、200以上の病院へ導入を達成しました。
医療者がコア業務に集中できる環境づくり

今回の資金調達は、導入病院の増加に伴うサポート体制の強化と地域医療連携業務のDXを支援する新サービスの構築を目的としています。

病院や診療所における患者紹介の業務は、アナログが根強く、共通で利用できるシステムも整っていないため「電話対応やFAX確認に追われる」などの負担があります。患者側においても、「予約確定までの待ち時間」が長いなどの負担が発生しています。

medigleでは、患者紹介時の手続きをデジタル化し、医療者の負担軽減、患者のスムーズな受診をサポートします。
各社のコメント
今回の引受先の一つ、ANOBAKAの代表取締役／パートナー、長野泰和氏は以下のようにコメントしています。
「ANOBAKAは実は医療関連領域のスタートアップが多いのですが、各社順調に伸びていて、この領域のDXニーズが非常に高いことを日々感じています。その中でもmedigleはものすごいポテンシャルのあるスタートアップです。このシードフェーズにも関わらず多くの病院へ導入されていて、今後の地域医療連携の核となる存在になっていくと思います。日本の医療現場の発展においてインフラ的な存在になっていくポテンシャルのあるmedigleに最初に資本参加させて頂く投資家となることは光栄であり、ワクワクしております。」
メディグル株式会社の代表取締役、中嶋秀樹氏は以下のようにコメントしています。
「日本は世界に類を見ない少子高齢化の道を突き進んでいます。
医療業界においては、担い手が少なくなるにも関わらず、患者数は増加し続けており、既に需要と供給のバランスが崩れています。このような背景があり、政府は医療の機能分化を軸とした地域医療連携を推進していますが、まだまだ多くの課題が残っています。

私たちは、これから日本の医療にとって非常に重要となる地域医療連携をアップデートし、医療者の方々の業務負担の軽減はもちろんのこと、患者のスムーズな受診体験までをサポートしていきます。

もちろん、医療介護の課題は、地域医療連携だけで解決できるものではありませんが、すべての人が迷うことなく適切なタイミングで医療を選択できる社会の実現にむけて、医療介護におけるあらゆる課題にしっかり向き合い、課題解決に取り組んで参ります。

今後も【医療者と共に「医療の仕組み」をよくする】のミッションのもと、より良い未来を創造できるように邁進して参ります。今後のメディグルにご期待ください。」
PR TIMES

（文・優花子）