映画「スパイダーマン　ノーウェイホーム」

この作品は前後編の後編にあたる。本来ならば「ファーフロムホーム」を先に
見てから楽しむべきだ、と主張するところ。だがこの場合はそうはならず、
前編をスルーしても十分である。冒頭のダイジェストで全て見渡せる。逆に
前編のほうは後編ありきの作り方をしているので、見終えたあとは釈然としない
もやもやした気分に陥る。あの引き方で後編を見ないのは辛い。通常この
前後編で完成する作品には、同じタイトルでパート１パート２のように呼称する筈。

それはさておき、マルチバースを理由に歴代のスパイダーマン、ヴィランが
次々と登場しオールスター映画のような雰囲気になっている。年月を経ているのに
オリジナルのキャストを集めた成果は確かだ。繰り広げられるアクションの
向こう側に昔日の高揚感もある。落下するＭＪを、アンドリュー・ガーフィールドが
間一髪で激突から救ったシーンは熱い。思わず「今度は助けられた」と言葉が
出てしまった。

やむを得ず葬ってきたヴィランたちを救えたことで、大きなカタルシスを得られる
映画になった。過去は書き換えられ、ハッピーなまま物語が閉じてくれれば
文句はない。然し結末は厳しいものだった。苦い勝利だ。