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2023年11月06日21:42

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テナガザル科の進化の道筋、我々ヒトとの共通点。昆布に異変 国立科学博物館クラファン9億円

 国立科学博物館は、ネットで寄付を募るクラウドファンディングにおいて、目標の1億円を大きく上回り、9億円に達したことを明かした。資料を保存するため、温度調節に伴う管理費用に加えて、博物館運営による人件費に充てる。文教費が削減される中、日本各自治体は、博物館や祭の開催費用を捻出するべく、クラウドファンディングを行うようになった。少子高齢化や円安も、運営においては無視できない問題になっている。日本経済の先行きの不透明感が、自治体の財政を大きく圧迫した。後世に貴重な資料や文化を残すため、正念場を迎えている。

■国立科学博物館クラファン 会見で館長「予想をはるかに超える支援 感謝している」
(TBS NEWS DIG - 11月06日 09:19)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=266&from=diary&id=7624968

 本日のテーマは動物関連のニュースである。一つ目は、北海道に水揚げされた昆布に付着した微生物、2つ目は、同じ北海道の釧路動物園で飼育されているテナガザルについてである。2023年は、夏の異常な暑さで、山に自生する果物が少なかった影響により、平地でのクマ出没情報が多く寄せられた。秋の行楽シーズン、一団と警戒感が高まっている。

 前回動物関連ニュース 2023年10月25日付 動物に関するトラブル 秋田県のクマ処分について、島根県で保護施設内にてシカによる死亡事故
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986205567&owner_id=32437106

動物の進化関連の日記 キリンの進化の道筋
2023年10月5日付 秋田県の民家に居座ったクマ3頭、兵庫県神戸市王子動物園のリニューアル、イリオモテヤマネコとツシマヤマネコ、キリンの祖先
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986068339&owner_id=32437106

 (1)昆布に付着した微生物


 詳細 朝日DEGITAL 2023年11月6日付 https://www.asahi.com/articles/ASRC6571KRBZIIPE00N.html?ref=mixi

夏の異常な暑さにより、我々の食生活にも影響が出ていた。北海道では、高い水温の影響により、昆布漁に大きな障害が出た。夏場以降、コンブの表面に「ヒドロゾア」と呼ばれる糸のように細長い生物がべっとりと付着するしているケースが多くなったという。

 ヒドロゾアは、イソギンチャクなどと同じ刺胞動物である。食用にする上で害はないとはいえ、見た目の悪さから消費者に敬遠される傾向にあるという。漁師たちは、素手でとる作業をするものの、手間隙がかかり、作業能率を大きく低下させた。漁師の余計な手間により、出荷量が減れば、その分販売価格は高くなる。この2年で、我々の食糧事情は大きく悪化した。


 (2)テナガザルについて

 本日の最大のテーマは、我々ヒトと共に、類人猿の一種テナガザルである。名前のとおり、外見では手の長さが特徴的である。密林の中での生活に適応し、腕渡りで移動を繰り返す。体が小さく、樹上での動きは、軽やかである。

 日本でも動物園で飼育されている。このたび、北海道の釧路市動物園では、シロテテナガザルの最高齢、オンと名づけられたオスが死亡したことを明かした。65歳だった。

 テナガザルは、実のところ、進化生物学において、我々ヒトのルーツを知る重要な手がかりが隠されている。


 動物界で最も知能が発達した類人猿は、大きくテナガザル科、ヒト科(オラウータン亜科とヒト亜科)に分類される。動物分類学上、テナガザル科とヒト科の2科から成るヒト上科の共通の祖先は、1800万年前にアフリカで暮らしていたプロコンスルである。

 写真=プロコンスルの頭骨 撮影者:私 2014年1月19日(日)国立科学博物館より
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 詳細 発想法 - 情報処理と問題解決 - 3D 国立科学博物館「人類の進化」(1)2020年8月11日付 https://tanokura.blog.jp/archives/82710630.html

 プロコンスルから住む環境に応じて進化を遂げてた。1800年前にテナガザルの祖先が分岐した。体は小さく、軽業師のように、樹上を移動する。次に推定1400万年前に、ヒト科の祖先の中で、オラウータンの祖先が分かれた。

アフリカで暮らすゴリラの祖先は1300万年前に分岐する。我々ヒトとチンパンジー・ボノボの祖先は、700年前まで共通する。実のところ類人猿で、我々ヒトと、チンパンジー・ボノボが遺伝子的には最も近いのである。二足歩行する人類は、外見上類人猿の中でも特殊な存在に見てしまう。遺伝子ではチンパンジー・ボノボとは兄弟、ゴリラ、オラウータンとは親戚のような存在だった。テナガザルとも遠戚のような関係だった。

 日本モンキーセンター霊長類和名編纂ワーキンググループ (2018) によると、テナガザル科は、さらに下位分類において、4属に分けられる。フーロックテナガザル属(2種)、テナガザル属(7種)、クロテナガザル属(6種)、フクロテナガザル属(1種)である。

 多くの種は、頭胴長 45-65 cm、体重 5.5-6.7 kg、対してフクロテナガザルは、他種より2倍ほど大型だった。頭胴長 71 - 90センチメートル。体重は10 - 12キログラムである。

 テナガザルの体調について 詳細 ウィキペディア https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%8A%E3%82%AC%E3%82%B6%E3%83%AB

 写真掲載元 Quora https://jp.quora.com/%E4%BD%95%E6%95%85-%E7%8C%BF%E3%81%8B%E3%82%89%E4%BA%BA%E9%96%93%E3%81%AB%E9%80%B2%E5%8C%96%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E9%80%94%E4%B8%AD%E3%81%AE%E7%94%9F%E7%89%A9%E3%81%8C%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%84
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動物分類学上4属に分けられるテナガザル科の祖先は、密林で効率よく移動を行ううえで、手足が長くなる。姿が見えない仲間への伝達手段として、声を出すようになった。より意思を確認するため、状況に応じて、声の出し方を変えた結果、独特のリズムが生み出された。いわゆる「歌」の始まりである。実のところ人間の言葉は、テナガザルのように歌を歌うことから始まったともいわれている。テナガザル科の生息域は、インドネシアのスンダ大陸棚を形成するアジア本土とその周辺のスンダ列島全域に及ぶ。密林の中に生息するため、腕が長く、木登りの技術や跳躍力を獲得した。類人猿でも最も成功した種類といわれている。テナガザル科の一種フクロテナガザルは、家族性社会で、群れの絆は最も深い。生まれた子供は、大人のオスに3歳まで面倒を見てもらうと、6歳になる頃には成熟し、血の繋がった兄弟と仲良くなる。8歳頃に、立派な大人となり、父親とケンカして、追い出されてしまう。父親と別れた子供は、縄張りの外に出ず、母親に振り向いてもらおうと、鳴き声を上げる。母親か、群れの中にいるメスに呼び寄せられると、生まれた群れに残ることが可能になる。哺乳類で家族性社会を築く動物は、母系社会でメスが生まれた群れに留まる。アフリカのサバンナに住む大型のライオンは、メスが群れに残る。対して、オスは2歳になると、放浪の身となる。大型草食動物のゾウも、メスが群れの中に残り、オスは成熟すると去っていく。

 以下の写真は、フクロテナガザル 2013年12月23日(月・祝)愛知県犬山市モンキーパークに生息する個体 撮影者:私
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テナガザルの場合、オスか、メスか、どちらが生まれた群れに留まるのか、決まっていないのである。食料採取は、常に群れ全体で行い、個体同士の距離間を10m以内に保つ。他のテナガザルは、果実が実った場所では、餌を取り合い、接近する。逆に餌が不足すると、群れ同士が散らばって夢中になって探す。フクロテナガザルは、規則正しく、群れの個体同士の距離を10mに保ち、30m以上離れることはないという。縄張りの意識も強く、常に隣の群れを警戒する。餌探しの最中他の群れに出くわすと、大人のオスとメスが一致団結し、叫び声をあげる。オスとメスの声帯が若干異なり、まるで音楽のように独特のリズムが生まれた。一日に平均すると、テナガザルの合唱は、一群れで一回15分、頻度は一日に2回から5日に1回まで、種によって異なってくる。

逆に、インドネシアのスマトラ島のムンタワイ諸島のみに生息するクロステナガザルの場合、一夫一妻制で、オスとメスがデュエットで歌うことはなく、叫び声をあげて、縄張りを主張するという。25haから35haに上る遊動域のうち、3分の2の割合で縄張りがある。残りの3分の1の面積は、他の群れとの縄張りの境界線になる。夜明け前にオスは、縄張りの境界線で歌うことが多くなる。1回の歌は10分から2時間にも及ぶ。まず口笛の音のような鳴き声を出すと、次第に音域が一オクターブ程上がり、ビブラートを響かせる。素手で争いをせず、合唱することによって、自分の居場所をアピールし、他人を遠ざけようとしていた。

 写真 掲載元 スマトラ島の観光案内 https://indonesia-corner.com/sightseeing/sumatera/index.html
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メスのクロステナガザルは、陸上生物の中で最も歌声が美しいと、霊長類学者の中で評判になった。メスの歌は20フレーズ程あり、一フレーズは平均30秒程で、ビブラートを交えながら低音と高温を使い分けて歌う。遊動域の高い木の天辺で歌い出し、クライマックス(大きなビブラートをさせた高い叫び声を出す)に入ると、隣の木へダイビングし、葉っぱをひきちぎり、枯れ枝を放り出す。メスが、歌を歌いながら移動する最中、子供はしっかりとお腹にしがみついている。クロステナガザルが暮らすムンタワイ島は、最後の氷期が終わった1万年前に、大陸から切り離された。他のテナガザルと接触を阻まれ、独自の進化を歩んでいる。

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