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2023年10月16日23:07

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笠間日動美術館の藤田嗣治展(๑˃̵ᴗ˂̵)

 これは美術ファンとしては絶対に行かねばならぬ展覧会ですね(๑˃̵ᴗ˂̵)

 日本ではファインアートの絵画について洋画と日本画とに大きく二分するのが普通です。もともと「日本画」という考え方は明治になって「日本独自の絵画」という意識が強まって生まれたとされているし,その後も西洋の絵画から優れた点を積極的に取り入れて発展してきたので,この両者をあながちに対立させて考えることは必ずしも妥当ではないようですが,それでも「油絵具を使う洋画,岩絵具を使う日本画」という捉え方は非常に判り易い上に作品の特徴をかなりの程度的確に表してもいるので恐らくはそうした区分法は今後も用いられ続けることでしょう。僕も絵画を観るときにまず「これは洋画か日本画か」という点に注目することは珍しくありません。
 しかしその日本の洋画,特に西洋ではあまり高く評価されてはいないのだと指摘する向きもあります。医師で美術収集家としても名高い高橋龍太郎氏は著書「現代美術コレクター」(講談社現代新書)の中でそのことを指摘しています。曰く,日本の洋画は西洋から遠い日本ではそれなりに評価されても西洋では「欧米の美術の模倣」としか捉えられていない,と。高橋氏は料理を例に出し「同じく西洋の模倣から始まった日本洋食は今や西洋料理とは異なった食の一ジャンルとして確立しているが,日本洋画は残念ながらそうしたオリジナリティの確立に成功していない」とも。僕としては高橋氏から多くのことを学びつつも,日本洋画に対する否定的な評価については意見を異にしておりますが。しかしその日本洋画を評価しない高橋氏も唯一「藤田嗣治を例外として」と留保をつけていたことが印象に残りました。日本洋画に否定的な人物ですら,藤田嗣治についてだけは例外的に高く評価せざるを得ないということです。

 藤田嗣治だけが優れているとは僕は全く思いませんが,しかし一方で「藤田嗣治が非常に優れた洋画家である」という点については何の異論もありません。コロナ禍前の2018(平成30)年に東京都美術館で開催された企画展「没後50年 藤田嗣治展」では彼の特徴とされる乳白色などに注目しながら100点以上の作品に触れることが出来,非常に充実した美術体験が叶いました。「藤田の作品に触れられて良かった。またこうした機会があれば,是非観賞したい」と感じさせられたのをよく覚えています。
 どうやらその願いをかなえられる機会がやって参りました。茨城県笠間市の笠間日動美術館で2023(令和5)年9月30日から12月17日まで「没後55年 藤田嗣治展 FOUJITA in Paris & Villiers-le-Bacle」という展覧会が開催されていることを知りました。展示作品は約60点と残念ながら5年前の東京都美術館の展覧会には敵いませんが,それでも軽井沢安東美術館や「平野政吉コレクション」などの協力を得て見応えのある企画展を実現させたようです。

 これは是非観賞したい。日本洋画に否定的な高橋龍太郎氏ですら敢えて留保をつけてまでその高い評価ぶりを認めざるを得なかった藤田の作品に浸れる展覧会です。それだけでもわざわざ笠間まで足を運ぶ価値は充分にあると言えるでしょう。更に言えば同じ笠間市の茨城県陶芸美術館では12月10日まで企画展「皇室と近代の陶磁 三の丸尚蔵館名品展」と12月3日までテーマ展「江戸の粋、極上の縞 浅野榮一の江戸小紋」とが開催されており,早起きして笠間に向かえば絵画・陶芸・テキスタイルの展覧会をハシゴすることも可能です。
 これはもう,絶対に笠間に足を向けるしか無いでしょう。秋の1日を笠間で美術三昧,僕も是非堪能してみたいし,皆様にも強くお勧めしたいと思います♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪



「没後55年 藤田嗣治展」 笠間日動美術館(茨城・笠間市)
https://yomiuri-townnews.com/fujita-exhibition/2023/10/07/
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