今回は、「色絵 唐獅子・牡丹文 輪花形小皿」の紹介です。
この小皿も、一昨日の古美術品交換会で落札したものです。
写真1: 「色絵 唐獅子・牡丹文 輪花形小皿」の表面
全面甘手ですが、比較的に薄作りです。
唐獅子と牡丹が描かれていますが、色絵部分の各所にかなりの釉剥げが見られます。
写真2: 「色絵 唐獅子・牡丹文 輪花形小皿」の釉剥げの目立つ部分の拡大
唐獅子の右前足、左後ろ足、尾の部分の色釉薬がかなり剥げ落ちています。
特に、唐獅子の左後ろ足部と尾の部分の色釉薬が大きく剥げ落ちていることが分かります。
なかでも、尾の部分の釉剥げが大きく、一見、何が描かれているのかと迷うほどです(><)
また、牡丹の上方の茎部分の色絵も剥落してしまい、牡丹の蕾部分が空中に浮いているように見えてしまいます(><)
ところで、このような状態がどうして生じてしまったのかと、その原因を考察してみました。
皿の角度をあちこちと変え、いろんな角度から日にかざして見てみますと、色釉薬の部分が、ちょうど鏡が割れたような状態になっていました。
薄く小さな色ガラス片を多数張り合わせて唐獅子の文様を作り出したかのような状態になっていたわけです。
経年劣化で、色釉薬の部分がピリピリと、無数のガラス片に割れてしまったわけですね(~_~;) そして、そのガラス片の幾つかが剥がれ落ちてしまい、釉剥げになってしまったのですね。
また、側面から見ますと比較的に薄作りなものですから、小皿なのに、かなりの歪みが見られます。
写真3: 「色絵 唐獅子・牡丹文 輪花形小皿」の裏面
高台内銘:二重角福
なお、この裏面を見て、「あれっ?」と思いました。
あまりにも状態が良すぎますし、綺麗過ぎるんですよね。
それで、「この小皿、もしかして、後絵物!」と思ったわけです。
でも、生地の状態、色絵の状態やタッチなどの状態、それに、造形的に比較的に薄作りで厳しい作りであることから、江戸時代前期の作であることに間違いはないように思えるわけです。
そこで、もう一度、ジックリと再点検してみました。
表面には大きな釉剥げが見られますが、それは、使用によって生じたものではなく、どうやら、経年劣化で、自然に生じたように思われました。表面に、ほとんど使用擦れが見られないからです。
結局、この小皿は、ほとんど使用されることなく、いわば、デッドストックされてしまったのではないかと考えたわけです。そうであれば、ましてや、裏面など日光に当たることもなく経過したわけで、裏面の色絵も綺麗な状態で残ったのではないかと、、、。
ということで、この小皿の製作年代は、江戸時代前期として紹介いたします。
生 産 地 : 肥前・有田
製作年代: 江戸時代前期
サ イ ズ : 口径14.8cm 高さ2.2〜2.4cm(歪みがあるため) 底径9.0cm
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