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2023年08月20日09:11

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日本画に挑んだ精鋭たち ―菱田春草、上村松園、川端龍子から松尾敏男へ―

日本画に挑んだ精鋭たち ―菱田春草、上村松園、川端龍子から松尾敏男へ―
大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』第339回
師、岡倉天心が辞任し、弟子たちは殉教する。【東京美術学校事件】明治31年1898年、岡倉天心の東京美術学校辞職で学校に反旗を翻す、急進派として懲戒免職。横山大観ら14人は辞職する。1898年、岡倉天心は日本美術院を設立。岡倉天心のもとで、横山大観(1868〜1958)、菱田春草、下村観山らとともに日本画の革新を目指し、東洋の精神に西洋画の手法を取り込み、新しい表現様式を追求した。輪郭線を使わず、色彩の面的な広がりにより空気を描く技法を用いて、「朦朧体」と誹謗中傷された。【朦朧派】大観、春草、らは、朦朧体を用い、朦朧派と呼ばれ、貧苦に喘ぐ。横山大観は『流燈』1909で女性像を描き、新境地を拓くまで苦労した。『流燈』は、明治36年(1903)1月〜7月に菱田春草とともに派遣されたインド旅行の体験を踏まえ、日本美術院の五浦研究所において完成した。
【院展】創設されたばかりの日本美術院(院展)で、横山大観や菱田春草たちは、輪郭線を使わない技法「朦朧体」で空気を表現することに努める、実験的な試みを行い、日本画に新たな局面を切り開いた。
政府主導の官展や画壇の中心にいた院展に対抗する画家が、青龍社(東京)、国画創作協会(京都)など美術団体を立ち上げ、画壇に大きな旋風を巻起こした。
【国画創作協会】土田麦僊、村上華岳、甲斐荘楠音。村上華岳、甲斐荘楠音は、アジャンタ石窟、レオナルド『モナリザ』『岩窟の聖母子』から学んだ妖艶な女性像を生み出した。
【青龍社】川端龍子(1886-1966)は、修行のためにアメリカに渡り、帰国後日本画に転向、独学で日本画を学んだ龍子は院展の同人になる。独創的な発想と斬新な色使いで構成された巨大な作品を好んだ。院展を脱退。自らが主催する青龍社を立ち上げ、以後亡くなるまで青龍展で作品を発表し続けた。「昭和の狩野永徳」と呼ばれた。青龍社の第一回展《鳴門》1929は、希少な岩絵具の群青を多用、大胆な構図を構想した。川端龍子は「健剛なる芸術」の創造を唱え、大衆に訴える作品を描き続けた、従来の「床の間芸術」に対抗し、広い展示場での展示に耐える、「会場芸術」を追及した。
【千里の馬は常に有れども、伯楽は常には有らず】一日に千里も走ることのできる名馬は常に存在するが、それを見いだす伯楽は常に存在しない。世の中に有能な人はたくさんいるが、その才能を見いだせる人物は少ない。いつの時代でも有能な人材はいるが、才能を見抜く名人はいない。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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展示作品の一部
横山大観「波上群鶴」明治30年代、個人蔵
菱田春草《雨後》1907(明治40)年頃 絹本・彩色 山種美術館
土田麦僊《大原女》1915(大正4)年 紗本金地・彩色 山種美術館
川端龍子《鳴門》1929(昭和4)年 絹本・彩色 山種美術館
上村松園《牡丹雪》1944(昭和19)年 絹本・彩色 山種美術館
速水御舟《白芙蓉》1934(昭和9)年 紙本・墨画彩色 山種美術館
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参考文献
没後80年記念「竹内栖鳳」・・・竹内栖鳳「班猫」村上華岳「裸婦図」
https://bit.ly/3TkPJ0z
甲斐荘楠音の全貌・・・退廃の美薫る、謎多き画家、東映京都の時代考証家、趣味人、レオナルドの面影
http://mediterranean.cocolog-nifty.com/blog/2023/07/post-6cb36a.html
速水御舟『炎舞』『粧蛾舞戯』『名樹散椿』、山種美術館・・・舞う生命と炎と闇
https://bit.ly/2KCbOrW
「没後50年 横山大観」国立新美術館・・・天心と憂愁の詩人、『屈原』悲愴美
http://mediterranean.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/50_9647.html
細川家の至宝、珠玉の永青文庫コレクション・・・織田信長「天下布武」と菱田春草「黒き猫」
https://bit.ly/2Pjv8Kx
特別展 日本画に挑んだ精鋭たち ―菱田春草、上村松園、川端龍子から松尾敏男へ―

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明治時代に入り、西洋文化を取り入れつつ社会の近代化が進む中、画家たちは西洋画に匹敵、あるいは凌駕する日本の絵画を生み出そうと努めました。創設された日本美術院(院展)では、実験的な表現に取り組む画家たちがいました。大正・昭和時代を迎えると、政府主導の官展や画壇の中心にいた院展に対抗する画家が、青龍社(東京)、国画創作協会(京都)など美術団体を立ち上げ、画壇に大きな旋風を巻起こしました。
本展では、輪郭線を使わない技法「朦朧体」で空気の表現を試みた横山大観の《波上群鶴》(個人蔵)、菱田春草の《雨後》、女性が画家として生きる道を切り開いた上村松園の《牡丹雪》、希少な岩絵具の群青を大量に用いて記念すべき展覧会(第1回青龍展)へ出品した川端龍子の《鳴門》、10代で「日本画滅亡論」に直面するも後に日本を代表する画家となった松尾敏男の《翔》(山種美術館賞受賞作)などをご紹介いたします。明治時代から現代にいたる多彩な作品を通し、新たな日本画の創造に挑んだ精鋭たちの軌跡をご覧ください。
https://www.yamatane-museum.jp/exh/2023/elites.html
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特別展 日本画に挑んだ精鋭たち ―菱田春草、上村松園、川端龍子から松尾敏男へ、山種美術館、2023年7月29日(土)〜2023年9月24日(日);

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