第1作目から40数年あまり。様々な文化やエンタメに、古代の浪漫を追う探検家と冒険者のイメージを刻み付けた作品が終る。
舞台は44年のノルマンディー上陸作戦と、アメリカが月面着陸に成功した69年。アルキメデスが発明した「アンティキティラのダイヤル」 *1 をめぐる冒険だ。
作中のインディは70歳。大学を定年。旧友で故人の娘ヘレナ・ショーが彼の前にあらわれ、44年に父とインディが手に入れた、ダイアルの調査を依頼。老冒険家が旅立つ。
本作は80代となったハリソン・フォードがインディをつとめる最後の作品だ。
インディに当時の面影はない。息子はベトナム戦争で戦死。 *2 これによって妻マリオンとは別居。身体能力は落ち込み「自分は老人だ」が口癖だ。人生の喪失へ後悔する。
作品はインディを年齢以上のスーパーマンにはしない。*3
老冒険家はヘレナや、旅で知り合う少年テディの力を借り、なんとか冒険を乗り越える。それでも旅の中で冒険を愛して止まない不敵なインディがかえってくる。
シリーズ最後の仇敵はやはりナチスドイツ。44年と69年――両方の時代で渡り合うユルゲン・フォラーは魅力的で理知的なヴィランだ。
第1作目から作品最後のトリを飾る要素はオカルトだ。このオカルトはきっとシリーズ最大のものだ。様々な時代で古代の浪漫を求め冒険を繰り広げた世界一の冒険家。彼が行き着く開始点で到達点。その荒唐無稽を自分は許容する。*4
※1
https://w.wiki/3pPn。モデルになったのは実在する古代ギリシャの装置で、現在も研究が続くアンティキティラ島の機械だ。おそらく高度な天文観測装置だったと予想をされている機械は、実際、作中で関連がしめされるアルキメデスとも、現実にむすびついている。
※2 「4」――『インディ・ジョーンズ/クリスタルスカルの王国』の最後でインディの後釜はマット・ウィリアムズ(シャイア・ラブーフ)が引き継ぐ事が示唆されたが、この計画はお蔵入りとなった。そうして「5」におけるマットはベトナム戦争に従軍して死亡したことになった。
※3 このあたりが海外で賛否を呼ぶ最大の理由だったのかもしれない。でも、実際、70歳の老人インディが、30代の頃の様に、飛んだり、跳ねたりするのもどうか?
※4 今回で最後ですしね。演出が上手な部分は最初はオカルトが「正確」に機能したようにみせて、実際は「大きく違った」とわかる場面展開。
ログインしてコメントを確認・投稿する