mixiユーザー(id:9051319)

2023年08月04日23:32

174 view

時を戻し、受け入れ、前に走れ 『ザ・フラッシュ』

DCスタジオの再編、主演俳優のスキャンダル、様々な紆余曲折を経験した本作は、新旧DC体制の境目に立つ作品だ。*1

フラッシュ/バリー・アレンの目的は、時空を巻き戻し、死亡した母親と、母親殺害の冤罪でおった父親を救う事。

本作はつまり時間をまたぐタイムリープ作品だ。

だが、このジャンルの常か? 現在のバリーと過去のバリーは時間改変で複数のバットマンと出会い、スーパーマンのヴィランであるゾット将軍復活を引き起す。そうしてスーパーマンではなくスーパーガールと共に戦う。

バリーは母親を救い、かつ父親の冤罪をはらせるのか?

現在と過去のバリーを導くベン・アフレックバットマン。そうして約25年振りにこのヒーローを再演したマイケル・キートンバットマン。活躍はどちらもたっぷり。*2

新生サッシャ・ガジェのスーパーガール――中世的な容貌の美少女も強く凛々しく、かつ、可愛く、魅力十分。とにかくヒーローのかっこよい見せ場をつるべうちに展開する。

何度、時空を巻き戻しても回避できない最悪の悲劇。歴代バットマンたちが「時間の交差点」と呼ぶ「不可逆性のパラドックス」。*3

この「時空の混沌」をめぐる物語の解決に、バリーが選択する最後の行動はDC特有の「せつなさ」にみちる。そしてバリーは前に走る。「かなしみ」と一緒に。*4

この選択が物語をグッとひきしめ人間的ドラマの強度をあげている。タイムリープ作品としても、とてもおもしろい。


※1 「DCスタジオの再編によって本作が継続シリーズとして続くのか?」「エズラ・ミラーの数々のスキャンダルの影響」はやはり回避できなかった。これらはキャンセル・カルチャーではない。どの国の人もシリーズの将来や当り前の道徳観念を重視しているのだ。作品がおもしろいだけに、こういう“ケチ”の付け方はかなしい。

※2 くわえてもう1人のバットマンも登場する。

※3 不可逆性問題(https://w.wiki/7B$U)。はたして繰り返す円環はどうやって収束するのか? このオチの付け方は「なるほど」と感心した。またクロノボウル(様々な時間的集合点)で展開する企画頓挫したDC映画の映像や、イースターエッグ、サプライズゲストの登場は本当に驚く。

※4 やっぱりDC映画は「ある選択のために」「ある選択をすてる」の「せつなさ」や「かなしさ」がないとダメだな。それでもDCヒーローは前に進む。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年08月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031