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2023年07月25日20:55

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東京ヴォードヴィルショー公演 その場しのぎの男たち@紀伊國屋サザンシアター

去年のいつごろだったでしょうか、仮のちらしを受け取って鵜山さんが東京ヴォード
ヴィルショーの創立50周年記念公演の演出をされるという、その後劇団の公式WSで
正式発表になりましたが、日にちと場所とキャストのみでどういう芝居なのかは皆目
わからない(三谷幸喜さんの作で再演らしい)

それが、初演の時からゲスト出演されている伊東四朗さんが公演直前にコロナに罹って
しかし5類移行になったたため謹慎期間は短くて済み、無事初日を迎えたとネットニュー
スになっていました、そのニュースで芝居の内容にも触れており、大津事件に題材を採っ
た作品らしい(でも大津事件ってなんだか実はよく知らない)

なにしろ歴史にはからっきし弱いもんで、こういうときは安易にWikipediaに頼ります
要するに日本訪問中のロシア皇太子ニコライが、こともあろうに護衛の巡査に切りつけ
られるという、そもそもロシア皇太子の外遊も日本の国情視察ではないかと思われてい
る中の不祥事に、報復を恐れる開国間もない日本の運命やいかに

関連作品として、本日の戯曲の他にもいくつもの小説(実録やら異聞やら)が挙げられ
ていて、その中で吉村昭氏の「ニコライ遭難」というのがAmazonで検索してみたら
在庫はあるし、プレミアム会員の特典でその日のうちに配達してくれると
早速(といっても、もう日曜の朝になっていました)注文しました

それを、その日のうちに読み始めようと思ったのですが、寝落ちしてしまい、翌日早朝
から途中週課のスイミングを挟んで、夜の8時までかかって読破しました

Wikipediaにもあったとおり、この事件のキーは襲撃犯の処罰であって、ロシア側は当
然死刑を要求して来るであろうが、日本の当時の刑法では未遂の場合は最高でも無期懲
役、但し皇族の場合は未遂であっても死罪となる、この皇族にロシア皇太子が該当する
かというのが焦点となっております

ロシアの報復を恐れる時の内閣は、この刑法第百十六条の援用を司法に迫りますが、司
法は日本の法治国家であるべき論から政府の介入を認めません、吉村氏の小説もそれが
主題となっておりました

しかるに本日拝観いたしますと、まずいきなりニコライ皇太子は襲撃後さるホテル(史
実では常磐ホテル)治療中、そこに松方総理、青木外務相、西郷内務相、後藤逓信相、
陸奥農商務相の5人も集まり別室で善後策を練るのですが、芝居のタイトル通り場当た
り的な策ばかりで悉く裏目に出るという、司法の独立を論ずるまでもなく、ポリシーの
ない政治家への風刺となっています

ここに有能な秘書官を伴った伊藤博文伯が加わり(伊東四朗さんの登場に客席から拍手
が起こる)、それに阿るもの、かつての怨恨を露わにするもの、吉村氏の小説が国を挙
げての接待記録や裁判記録を詳細に採り入れたルポルタージュになっているのに対し、
三谷氏の戯曲は史実に基づいたフィクションとでもいいましょうか、エンタメの要素を
盛り込んだ、まさしくヴォードヴィルの精神に満ちた舞台になっていました

どこまでが鵜山さんの演出かわかりませんが、元くノ一のメイド亀山乙女がでんぐり返
しをしながら登場するのは鵜山風ですね
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