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2023年03月17日23:04

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アレルギー

 十年ちょっと前に、大好物だったキウイが食べられなくなった。美味しいのだが、その後頭痛がひどいし胃もねじれるのである。母が果樹園につてがあって毎年箱で取り寄せてくれていたのだが、断ることにした。嫌な予感があった。これがアレルギー「大当たり」である。
 この街に引っ越してきて、ご近所にアレルギー科の医院があるので行った。花粉症が「スギ・ヒノキ」だけとは思えない長引きっぷりになってきたのでアレルギー検査を受けてみたのだ。
 結果「各種花粉・ハウスダスト」今までの「化繊」「オウム・インコ」アレルギーの他、まったく自覚のない「ごま・バナナ」もひっかかってしまった。どちらも大好物なのだが「メチャ食い」は禁物だという。用心している。

いま「花粉症がこじれて果物アレルギー」というケースが激増しているらしい。各種花粉からそれぞれ可能性のある果物のリストがあるのだが、これがものすごい量なのである。
大好物なのにリンゴを食べたら「突然タラコくちびる」とか、バナナ1本食べたら「アナフィラキシー・ショック」とか、深刻なケースもあるらしい。
日本は四季を通じて各種果物の美味しい国なので、これは悲しい。

アレルギーは少しずつやって来るというよりも、堤防が決壊するように突然始まるケースが多い。
それまであたりまえに共存していた物、食物として体に取り入れていた物を「共存できない異物」として体が突然拒絶・攻撃し始めてしまうのだ。

 イギリスの、壮絶なケースを紹介する番組を見たことがある。
 若い娘さんである。
 突然ものすごいアレルギーになってしまった。食べられる野菜はじゃがいもとブロッコリーだけ。パンもだめでマカロニを食べている。
 なんと彼女は体操選手なのである。
必要なカロリーと栄養素を摂取するのはものすごく大変だ。
髪の毛も眉毛も、体が「異物」として攻撃するので抜けてしまった。
練習でかく汗も肌が受け付けないので、しょっちゅうシャワーを浴びなければならない。日光もダメなので移動は真夏でも長袖・手袋、日傘に帽子。
 しかし、体操が大好きな彼女は一生懸命練習に励むし、ものすごく楽しそうである。手持ちの駒は限られているけれど、そのなかで精一杯体操で自分を生かすこと。

 今現在の世界では「大金持ちで若くて健康」であれば何でも可能になりつつある。素人が金の力にモノを言わせて「大気圏を超えて宇宙旅行」できるのだ。すごい。金さえありゃ「青い地球」をナマで楽しめるのだ。
( しかし株に失敗するとかして貧乏になってしまえば栄華はそれきりだけど)

 日本には「一病息災」という言葉がある。
アレルギーの蔓延する現代は、これはもう「多病との共存」といえるだろう。
 しかし「あれも出来ない・これも出来ない」ではなく「あれも出来る・これも出来る」という自己実現の可能性を、体操選手の彼女は示してくれているように思える。
 コップに半分の水を見て「もう半分しかない」と思うか「まだ半分もある」と考えるかで道は分かれるのだ・と大企業の創業者は言った。そのコップの大きさも、多様性の今、財力だけで決められるものではない。(一律大衆食堂の「三ツ矢サイダー」とか「アサヒビール」とプリントされた一合コップを与えられる時代ではないのだ。)

 自分のコップ「精神の器」をいかに大きく育てるか、そして、限られてゆく素材の中で、いかに自己実現を見出してゆくか。

 アレルギーは困難な問題ではあるけれど、だからといって「アレルギー持ちは不幸せ」と烙印を押してしまうのもいかがなものか、と思う。
少なくとも、じゃがいもとブロッコリーを食べてクルクル回転している体操選手の彼女は、活き活きとして、とても幸せそうだ。

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