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2023年02月16日23:06

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「瀬戸際の一手 棋士 米長邦雄 54歳の闘い」

1998年に放映されたドキュメントの再放送。米長のA級の地位が危うくなった
秋ごろからの密着取材である。この年の棋界のことはよく覚えていて、週刊将棋の
記事で一喜一憂していたものだ。A級は、羽生、森内、森下、佐藤康光、島、
中原、加藤一二三、米長、高橋、井上というメンバーで、前期名人戦では谷川が
羽生を破って永世名人の資格を得ていた。米長は1993年に名人位に就いたが、
翌年からは羽生世代の台頭で挑戦に絡めなくなっていた。とはいえ「現在の
実力でもトップ10のつもりでいる」との自負はあり、毎年の残留争いは
不本意だったに違いない。
NHKは7回戦の勝負手をクローズアップして番組のタイトルにも採用しているが、
ドラマならばここで残留が決まるところである。対戦相手は羽生だったし、
非勢の将棋を引っくり返し底力を見せつけたのである。結果を知って私も
安堵した。残る対戦相手を考えれば、執念の男米長が負ける筈はないと思ったものだ。

だが、勝負に絶対はない。8回戦、格下の井上八段に負けたのは全くの予想外。
ここで逆に勝っていれば残留決定だったのだ。最終戦では井上は自力で残留の
チャンスがあり、米長は他力。井上の相手は島八段で、これも島に分がありそうと
思っていた。この期の井上は冴えており、島にも勝って残留。米長の最終成績は
4勝5敗で、順位が悪いとはいえ降級するような星ではない。井上の好調と
合わせ、この年は巡り合わせが良くなかった。
陥落した米長の去就が注目され、結局フリークラス転出に落ち着いたのだが、
名人の可能性のなくなった米長にとって以後の棋士人生はおまけのようなものだ。
大棋士米長の転機となった順位戦の映像記録が残ったのは幸運だった。
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