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2023年02月10日19:38
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ZARDの坂井泉水とバブル経済 3部作（後編）デビュー32周年記念！2023年第1回 1月29日（日）坂井泉水が育った神奈川県秦野市を中心に丹沢山麓を旅する〜Stray Love〜 カワアイサ 吾妻山公園菜の花、夜景
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2022年2月10日（金）は、1990年代に日本の音楽業界を引っ張ったZARDのデビュー32周年である。3部作の後編は、ヴォーカルの坂井泉水が育った神奈川県秦野市を中心とした旅の模様である。彼女が発表した歌詞「Stray Love」の内容と重ね合わせながら、振り返る。
第1部 https:/
第2部 https:/
本題 ZARDの坂井泉水とバブル経済 3部作（後編）バブル崩壊後CD売上
第9章 バブル時から崩壊後の坂井泉水
ZARDの坂井泉水は、バブル景気の恩恵を受ける不動産業界で1987年4月から1989年3月まで2年間働いた。89年4月から90年夏場までの1年間、歌声の良さを評価され、モデル活動をしながら、東邦カラオケクィーンとして、地方を巡業していたのである。バブル景気に支えられ、カラオケ店も活気を帯びていた。不動産会社でのOL勤務と歌手になる下積み生活をそれぞれ2年行い、91年景気後退期にデビューしたのである。
坂井泉水は、不況にも打ち勝つ戦後右肩上がりの経済成長期を知る昭和のたくましい女性像を確立したかった可能性がある。
写真 掲載元 https:/
景気の後退期にもあるにも関わらず、CD業界は活気を帯びていた。バブル崩壊から2年後、新聞記事に「不況」の文字が多用され始めた1993年は、年間シングルCDで17作のミリオンセラーを出した。ZARD自身は、1993年のCD総売上額で、全アーティストで最多となる136億円を記録している。平成の大不況に喘ぐ人々の救世主として現れた存在だった。
デビューから8年後、2枚のベストアルバムをリリースした。1999年5月3日に発売した第1弾「ZARD BEST The Single Collection 〜軌跡〜」は、売上303万枚、同年9月15日に発売された第2弾「ZARD BEST〜Request Memorial〜」は、売上149,6万枚になる。
日本経済界は、90年代後半黒い影を落としていた。日銀特融の対象となり、不良債権を抱え込みながら、持ちこたえていた証券会社が相次いで倒産した。97年には山一證券や拓殖銀行、98年には長銀と日債銀が相次いで経営破たんする。97年7月に、東南アジアの一国であるタイの通貨「タイ・バーツ」をきっかけに、周辺諸国の通貨が暴落した。相次いで金融機関が倒産した日本も信用を無くし、通貨「円」も下落した。1995年4月のドル円相場は79円、3年4ヵ月後の98年8月には、147円まで値下がりした。貿易国の東南アジアの不況のあおりを受けて、1998年に日本の経済成長率は、マイナス1パーセントを記録した。政府と日銀は足並みをそろえて、景気対策を練る。日銀はゼロ金利政策を打ち出して、企業に設備投資をうながす。政府は円滑な金融取引のために、法整備を行う。その一環として、４月に改正外為法が施行された。同年１２月からの株式売買の取引所集中義務の廃止、金融機関による投資信託の直接販売の解禁など日本版ビッグバン（金融制度改革）が本格化し、銀行、証券の垣根や国境を越えた合従連衡が進んだ。
詳細 JlJl.com 1998年重大ニュース https:/
バブルの後遺症により、企業は新規事業の開始に躊躇していた。銀行も貸し出し審査の方を厳格化した。従って、戦後の高度経済成長期のように、景気の次の波は起こらなかったのである。
前編の第1章に続き、ZARDのディレクターを勤めた寺尾進氏のインタビューに移る。寺尾進氏は、当時の時代背景と重ね合わせながら、坂井泉水に対する思いを語った。国民的応援歌となった「負けないで」について、歌詞の内容が印象的だったからこそ、シングル曲としてアピールすることに決めたと、打ち明けた。一般の人々の前にも公開された直筆ノートによると、坂井泉水自身、歌いながら、何度もノートに線を引いて、修正を重ねていたのである。冒頭の歌詞、ふとした瞬間に「視線がぶつかる」の箇所は、当初、目と目があったような、と書かれていた。さびの箇所は、最後まで諦めないでから「最後まで走り抜けて」に修正された。彼女は、自ら書いた歌詞と向き合い、納得できるまで、推敲を重ねていた。
寺尾氏は、メモをとる習慣があった坂井泉水は、ただ単に語呂が合えばいいのではなく、聴き手に思いが伝わるか、考えていたという。
歌詞と向き合った結果、テレビや雑誌の取材を断ったといえる。寺尾氏によると、負けないでのリリースから変わったことがあるという。デビュー当初は、透明感のある容姿から、男性ファンが圧倒していた。次第に歌詞に共感を抱いた女性ファンが急増したという。実際94年６月4日にリリースされた5th ALBUM「OH! MY LOVE」をCD屋で調査したところ、男性よりも女性の方が手にとっていたという。CD売上は、オリコン ウィークリー・チャートで初登場1位、第1週の売上枚数は58万枚、CDトータル売上は200万枚を突破した。
大ブレイクした頃も、都市郊外の神奈川県秦野市の実家から、小田急線に1時間以上乗り、六本木のスタジオまで足を運んだ。彼女自身ばったりとテレビの前から姿を消した影響からか、乗客は坂井泉水だと気付かず、騒動が起こることはなかった。
寺尾氏自身、負けないでのさびの歌詞「最後まで走り抜けて」の部分が、受験や就職試験を控えた団塊ジュニアの心に響いたのではないか、と分析している。
寺尾氏自身は、2007年6月27日に一般向けに行われた「音楽葬」にて、4万人のファンが一体となって「負けないで」を熱唱したシーンが心に焼き付いているという。
彼は取材の最後に「この曲は特別なことがわかりました」と結んだ。
ZARDの負けないでは、リリースから30年、広く運動会のBGMなどに起用されている。毎年恒例の日テレ系列24時間テレビのチャリティー・マラソンにおいて、ランナーがゴール地点へ向う際、出演者が「負けないで」を熱唱して、迎え入れていた。時を越えて、彼女の歌声は響き渡っている。
第10章 ZARD坂井泉水が育った丹沢山麓秦野市を旅する 2023年第1回 Stray love
今回の舞台は、ZARDの坂井泉水が育った神奈川県秦野市を中心に、海老名市、中郡二宮町、東隣の伊勢原市である。テーマは、6thシングル「負けないで」のC/Wとして収録されたStray Love、しっとりとしたミディアムバラードナンバーである。隠れた名曲として知られ、冬のベスト版といえる2001年11月21日にリリースされた「LEND II〜LEAF & SNOW〜」に収録された。同アルバムは、オリジナルアルバム未収録のC/Wが数多く含まれている。オリコン・ウィークリーチャートでは初週で4位、売上枚数は23,1万枚となった。
Stray Loveの歌詞を振り返りながら、冬本番を迎えている1月29日（日）の秦野市を中心に、海老名市、二宮町、伊勢原市の観光地を紹介する。
写真左＝Stray Loveのミュージックヴィデオ映像 2020年2月5日付け
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写真右＝Stray Loveのミュージックビデオ映像 クリックして視聴可能 bilibiliより
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1月29日（日）訪問地一覧
�� 海老名市 相模大堰 カワアイサ撮影 時刻午前7時代後半から8時25分頃
�� 中郡二宮町 吾妻山公園 菜の花を撮影 時刻午前10時代
�� 秦野市 震生湖畔 スイセンを撮影 時刻午後12時代から13時代
�� 秦野市 神奈川県立はだの戸川公園 スイセンと梅を撮影 午後13時代
�� 伊勢原市 標高700m付近大山阿夫利神社下社から夜景撮影
第1章 スポット� ´◆�Stray Love Aメロの歌詞 カワアイサとの出会い、菜の花撮影
2020年2月24日（月・祝）訪問時日記 https:/
（１）相模大堰 カワアイサとの出会い
写真左＝相模大堰周辺地図 Amebro 一進一退JOGと黒むつと 2020年10月15日付け https:/
写真右＝カワアイサのメスと雛鳥達 掲載元 バードリサーチニュース 2018年08月01日 著者：神山和夫 撮影：Arnstein Rønning アメリカミシガン州ミネソタ湖にて76羽の雛鳥を連れた個体
午前7時46分、JR相模線の社家駅を降りて、西へまっすぐ進み、相模大堰にたどり着いた。私がこの場所を訪れたのは、2020年2月24日（月・祝）、2022年3月13日（日）に次いで3回目、毎年冬場には、北海道やシベリアで繁殖したカモ目ウミアイサ属のカワアイサの飛来が確認されている。第1回目の2020年の訪問時、姿が見えたのは、複数羽のメスのみだった。2022年は、オスメス共越冬していたものの、相模大堰から上流の方へ移動していたのである。私自身は、堤防から降りて、葦原の中の小道を進み、相模川沿いの柵のそばから観察をした。浅い川面に、1羽のオスと複数羽のメスの姿があった。オスとメスの区別は、首から頭の部分の色で判別がつく。オスは鮮やかな緑色、対照的にメスは灰色である。体の色が地味なメスが、春先子育てを一手に引き受け、オスは度々様子をみにくる。いわゆる用心棒となっていた。
私がバックからカメラを撮り出した瞬間に、オスを筆頭に、メス達も上流方向へ飛び立っていった。低空飛行をしながら、カーブを描いて、中州を挟んで反対側へと降り立った。私は、対岸を結ぶ、相模大堰の真上に設置された人道橋を渡った。川を見下ろしたところ、確認できたのはホシハジロとコガモだった。カワアイサの集団は、すばやく移動することにより、追っ手である私を巻いていた。
相模線の厚木方面へ向う橋本行きの下り列車の到着時刻を気にしながら、川沿いに戻った。カワアイサは、カモ類切手のスピードを持つ。個人的に撮影を諦めかけていた矢先に、1羽のオスと5羽のメスが帰ってきていた。オスの左右に付く2羽の後ろに3羽が並ぶ。2羽のメスは、オスと横並びの状態だったものの、3羽は遅れがちだった。数分後には、私の到着時と同じく、中洲を挟んで反対側へと飛び去った。
私自身が、カワアイサのオスを撮影したのは、2016年1月2日（土）の滋賀県長浜の琵琶湖畔以来7年ぶりである。当時は被写体との距離が遠く、コンデジのズーム機能限界まで使ったことにより、撮影画像は荒かった。今回は、気象条件も良く、低感度で、比較的近い距離で撮影した。よりリアルに、体の色合いや、目元まで写すことができた。カワアイサとの出会いにより、今回の旅は、好スタートを切った。
（2）二宮町吾妻山公園
2番目の目的地は、中郡二宮町の吾妻山公園である。2017年2月11日（土・祝）以来、ほぼ6年振りの訪問となった。殺風景な冬場に、菜の花と富士山が競演するスポットとして、朝日新聞では毎年冬場に紹介されている。全国紙で宣伝されたことにより、年々訪問客が多くなっているという。私は、6年前と同じく、海沿いのJR東海道線二宮駅の程近くの梅沢口から登山した。山頂の標高は136m、登山道自体外灯はないものの、階段状に整備され、余分な石は取り除かれていた。
2017年2月11日（土・祝）の訪問時の日記 https:/
写真＝吾妻山公園の案内図 掲載元 ぶらりーうぉーかー 2021年1月30日付け
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当時は帰り道、尾羽の先端が青いルリビタキにであえった。この日確認したのは、茂みの中に潜むアオジだった。
木々に覆われた登山道を抜けると、一気に視界が開けた。真黄色の菜の花畑の先には、西に富士山が聳え立つ。南西側には相模湾の先に、伊豆半島が延びる。朝方相模大堰では、富士の頂がくっきりと見えていたものの、いつの間にか雲によって隠されていた。周囲の観光客からややため息交じりの声が聞こえてくる。風がなく、雲はとまっているように見えた。
足元に咲くスイセンは見頃を過ぎて、やや茎がお辞儀するように傾いていた。菜の花畑の反対側に設置されたローラー滑り台では、小さな子連れの家族が、列を作って、順番待ちをしている。背後に聳え立つ桜の木の奥から、相模湾を望める。南の空は澄み渡り、桜の木越しに見える真っ青な海と溶け合っていた。
Stray Loveの歌詞では、デート中の若者の心情を描いている。Strayを日本語で直訳すると、迷っているとなる。つまり、現代の若者らしく、自分の将来を決められず、恋人を前に、迷っている様子が浮かぶ。
冒頭の歌詞：月の光に揺れて 心に寄り添う影、体は近づいても、心は近づかない。
真昼間の吾妻山公園には、老年のグループから、若いカップル、子連れの家族まで幅広い世代が訪れている。互いに心を通わせ、手を繋ぎ、肩を寄せあった。どこか落ち着きがなく、心が離れているように感じた。
続くAメロの歌詞：二年前のままだったら上手く付き合えたわ、月日が私を大人にした Stray Love
その二年は、高校の1年時から受験や就職を控えた3年時を差しているのか、または当時成人を迎える大学2年時の20歳から、就職活動に励む4年時までの2年間を意味しているのか、見方は様々である。若い頃は、新しい人と出会い、サークル活動やバイトを通して、交友を深める。大学3年時は、将来の就職を見据えて、インターシップにも参加する例が多い。出会った当初は、互いに気があっても、その後の過ごし方によって、価値観が変わりやすい。
続くサビの歌詞：海辺で過ごしたあの夜、小さな明りを灯し、お互いを確かめ合ったよね。思い出は悲しくて
坂井泉水は、男性目線でも女性目線でも語ることが出来る。主人公は女性だろうか。2年の間に、将来を前向きに進む女性と、どこか進路に迷う男性との間ですれ違いがおきていた。女性は、びしっと物事を決める男性に惹かれる傾向がある。対照的に将来的に一家の大黒柱を担う男性は、若い頃進路の不安から、迷いやすい。2年前、不安もなく、過ごした日々を懐かしんでいた。Bメロの歌詞は、最終章に続く。
吾妻山公園では、若い男女が菜の花を背景に、スマホをかざして、仲良く2ショットを撮る。若いうちは、活力があり、行動を起こしやすい。和気藹々と恋人と語り合いながら、一足早い春を感じ取っていた。
第2章 スポット���ぁ／遡郢圈▲好ぅ札鵑版澆鮖１�
昼過ぎに向ったのは、中郡中井町との境目の秦野市標高155mの震生湖畔である。秋は湖畔沿いのモミジの木が真っ赤に染まるものの、冬場は枝がむき出しの状態である。
湖畔沿いの弁財天と尾根沿いの歩道との傾斜地に、スイセンが植えられていた。寒波と強風の影響により、多くの株は、倒れ気味だった。
寒い冬場、ハイキング客は少なく、老年の釣り人が中心だった。木々の葉が落ちて、すっかり殺風景になった湖だが、春先には湖畔沿いのソメイヨシノが開花する。桜の季節が終ると、一気に新芽が芽吹き、パステルカラーに染まる。春を心待ちにしながら、その場を後にした。
続く訪問地は、渋沢駅から北西へ4,1km離れた標高340mの神奈川県立はだの戸川公園である。昨2022年に８度も訪れた公園に、1月の訪問は初めてだった。小田急線の渋沢駅を結ぶ大倉バス停沿いのパークセンター側に植えられた河津桜の木は、蕾が膨らみかけていた。梅の方は、開花したばかりである。水無川へと続くヘアピンカーブの道脇に積み重ねられた石垣には、スイセンが咲いていた。
戸川公園は、丹沢登山の玄関口、秋の行楽シーズンは、朝方渋沢駅から臨時バスが出るほど、乗客で一杯になる。冬場の午後2時代、渋沢駅へ戻るバスの乗車率は100％未満、混雑は緩和されていた。バス通り沿いの脇に位置する坂井泉水が卒業した秦野市立西小学校の校庭では、野球少年たちが汗を流している。彼女が、平塚市から小学校へ転校したのは1976年である。2021年には、開校100周年を迎えた。1929年から現在の位置に移転し、渋沢地区で育った数多くの子供たちを、社会へ送り出してきた。21世紀、少子高齢化により、小中学校の統廃合が進んでいる。いかに、少子化を食い止め、働き手を増やすか、経済再生の鍵を握っている。
渋沢駅から、上り方面で隣の秦野駅で一端降りて、構内の観光案内所に立ち寄った。顔見知りの2人の係員が対応してくれた。休日の冬場、観光客の姿はなく、気にせず、話すことができた。はじめに、係員おすすめの観光スポットとして、七福神巡りの件から始まった。秦野観光協会が主催する「南はだの村七福神と鶴亀めぐり」では、由緒あるお寺を回り、朱印と共にスタンプを集める。南はだの村は、1955年の市制定前に存在した自治体である。周辺の町村と合併し、現在の秦野市になった。道中、渋沢丘陵に点在する畑の中の道を横切り、盆地内の湧き水スポットにも立ち寄る。観光協会は、古きよき旧南秦野村の文化を感じてもらうため、スタンプラリーの名称に使用したという。
旧南秦野町に位置する10箇所の神社のスタンプを集め、観光案内所に提示すると、記念のストラップをもらえるという。私は、続いて、何度も観光にくる目的を語った。「秦野市の人は、ご存知でしょうが、ZARDの坂井泉水さんの出陳地であることを意識して、旅をしているのです」
二人の係員のうち、男性側の方はスマホの着メロにZARDの曲を入れているという。女性係員の方は、娘の出身が坂井泉水さんと同じく、市立西中学校だと明かした。私は、秦野駅から震生湖へ至る道程の途中にある渋沢丘陵・今泉町の高台からの夜景が、名曲「遠い日のNostalgia」を髣髴とさせますと、申した。二人とも、曲については知らなかった。2015年に人口16万2千人の秦野市は、都市郊外の緑豊かで、のどかな田園風景が残る。昭和の里山が残る環境下で、数多くの有名人を輩出してきた。坂井泉水もその一人だった。
観光案内所の職員と別れた後、駅南側から徒歩5分未満の距離に位置する今泉名水桜公園を訪れた。11月下旬から12月上旬に水際で咲いていたカラーの花は、無くなっていた。当時と変わらず、オカヨシガモが羽を休めている。公園も、秦野湧水郡の一つ、桜の木は葉を落としても、水草は生い茂っていた。冬場わずかに緑が残る公園で、ひと時をすごすことができた。
第3章 スポット�Π棒�原市大山阿不利神社下社からの夜景撮影
午後4時代、最後の目的地は、標高696mの伊勢原市大山阿不利神社の下社である。大山バス停から、商店街が軒を連ねる階段を上り、ケーブルカーの「大山ケーブルカー駅」脇の登山道へと足を向けた。通常ケーブルカーの最終便は午後5時であるものの、1月14日（土）と15日（日）から、月末の土日に限り、午後7時までの夜景運転を行う。なお2月以降は行われていない。伊勢原観光協会が、ポスターを作製して、大々的に宣伝をしていた。
2020年11月22日（日）訪問時日記 https:/
写真＝ 掲載元 伊勢原市観光協会 こま参道〜大山山頂 https:/
登山道は、ところどころ雪が残っていた。時折下りの登山客とすれ違うものの、登り客は、私のみだった。入り口付近で、一人の男性が、忘れ物を取りにいくかのように、慌てて私を追い越していた。ところどころ雪が残っている登山道は、幅が広く、転落の危険は最小限にとどまった。夜間でも等間隔でLEDライトがついている分、心強い。秋の紅葉の季節、夜間のライトアップにより人だかりができる大山寺も、参拝客はいなかった。野鳥の声も聞こえず、静けさに包まれていた。大山寺から阿夫利神社下社までの道程は、岩場になり、斜度も一気に上がる。転落防止のため手すりが付けられたことにより、安全性は高まった。数人の下りの登山客と道を譲り合いながら、険しい道を登る麓の大山ケーブル駅から阿夫利神社下社まで、およそ40分で登り終えることができた。飲食店には、家族連れを含め夕食をとるグループの姿があった。見晴らしのよい下社付近にも、まばらに人が残っていた。阿夫利神社下社からは、小田急線の伊勢原駅、さらに南側の平塚市から、西側の江ノ島を望める。トワイライトタイムは、午後5時21分から始まるものの、撮影地の標高が高い場合、青みを帯びた空の影響により、遠くの町の輪郭がややぼやけてしまう。町がクリアに写る時間は、平地での撮影の指標になるトワイライトタイムから数分後ろ倒しになる。従って、標高約700mの大山・阿夫利神社下社の展望地からシャッターを切る時間は、午後5時25分以降になる。丁度町明かりと、青みを帯びた空が溶け合い、幻想的な写真になる。
登山客や夜景鑑賞目的のカップルが、夜景を見下ろせるコンクリートブロックの手すりの前に集った。カップルは、自撮り棒を使い、眼下の夜景をバックに撮影する。
ZARDのStray Love Bメロの歌詞では、行き違いにより別れる寸前の男女の行方について書いている。
冒頭の歌詞：未来予想図を写す、あなたの瞳に、不安のかげりが見えていた Stray Love
17時31分撮影
将来不安により、表情が乏しくなる。会話の最中にも、言葉につかえ、続かなくなる。くじけそうな彼を、いかにリードするか、女性自身の気持ち次第である。
Bメロのサビの歌詞：二人の記念日はもう、これが最後かもしれない、誰もが通り過ぎてゆくのね、飛び込むことにためらう。
17時33分
中学校から高校、その先の大学や専門学校、就職へとステップを踏むことに、誰しも抵抗がある。未来を切り開くのは、その人自身、義務教育の中学校を終えると、その人に与えられたレールは用意されていない。主人公の男性は、支えてくれる彼女により、自分自身が変わっていく。
夜景の方は、空が暗くなるにつれて、周辺の山々の峰々も影絵のように浮かび上がる。周囲一帯闇に包まれた中、麓の町から明かりがきらめく。遠くから、将来の成功を祈り、神社にお参りにきた男女に優しい光を投げかけていた。
17時37分
続くさびの歌詞：今愛しているだけで、すべては決められない、誰もが通り過ぎてゆく、明日が見えない季節
＜終わり＞
人生には、正解か不正解か、答えはない。先のことが分からず迷いながらも、共に励ましあう姿がある。バブル崩壊後、日本は終身雇用の崩壊、所得格差の拡大、子供の貧困問題を抱え、将来の希望を持ちにくい。現在の政治家が、長期的な目線に建てず、その場しのぎの国債を発行して、足りない予算を補う。国債の支払額の増加により、後の世代は大きな負担を背負うことになる。坂井泉水は、発表した作品の中に、不安定な世の中にありながら、未来への希望を託していた。
17時38分
私自身、帰り道多少心配はあったものの、登山道にLEDライトがついいたおかげで、懐中電灯やヘッドライトなしでも下山できた。途中階段が凍結している箇所があったものの、足を滑らさないように細心の注意を払い、ゆっくりと歩みを進めた。
夜景が綺麗とはいえ、夜間冬の山を昇り降りする人は限られていた。ケーブルカーを使わずに、自力で下山することにより、達成感を得られる。
坂井泉水は、丹沢山麓の秦野市に、小学校4年生からデビュー5年後まで20年に渡って過ごした。学生時代から、スポーツと共に絵の才能もあり、花をスケッチしていた。彼女が育った環境を訪れることにより、世界観を共有できる。彼女の歌声は、今なお故郷で響いている。
第1部 https:/
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本題 ZARDの坂井泉水とバブル経済 3部作（後編）バブル崩壊後CD売上
第9章 バブル時から崩壊後の坂井泉水
ZARDの坂井泉水は、バブル景気の恩恵を受ける不動産業界で1987年4月から1989年3月まで2年間働いた。89年4月から90年夏場までの1年間、歌声の良さを評価され、モデル活動をしながら、東邦カラオケクィーンとして、地方を巡業していたのである。バブル景気に支えられ、カラオケ店も活気を帯びていた。不動産会社でのOL勤務と歌手になる下積み生活をそれぞれ2年行い、91年景気後退期にデビューしたのである。
坂井泉水は、不況にも打ち勝つ戦後右肩上がりの経済成長期を知る昭和のたくましい女性像を確立したかった可能性がある。
写真 掲載元 https:/
景気の後退期にもあるにも関わらず、CD業界は活気を帯びていた。バブル崩壊から2年後、新聞記事に「不況」の文字が多用され始めた1993年は、年間シングルCDで17作のミリオンセラーを出した。ZARD自身は、1993年のCD総売上額で、全アーティストで最多となる136億円を記録している。平成の大不況に喘ぐ人々の救世主として現れた存在だった。
デビューから8年後、2枚のベストアルバムをリリースした。1999年5月3日に発売した第1弾「ZARD BEST The Single Collection 〜軌跡〜」は、売上303万枚、同年9月15日に発売された第2弾「ZARD BEST〜Request Memorial〜」は、売上149,6万枚になる。
日本経済界は、90年代後半黒い影を落としていた。日銀特融の対象となり、不良債権を抱え込みながら、持ちこたえていた証券会社が相次いで倒産した。97年には山一證券や拓殖銀行、98年には長銀と日債銀が相次いで経営破たんする。97年7月に、東南アジアの一国であるタイの通貨「タイ・バーツ」をきっかけに、周辺諸国の通貨が暴落した。相次いで金融機関が倒産した日本も信用を無くし、通貨「円」も下落した。1995年4月のドル円相場は79円、3年4ヵ月後の98年8月には、147円まで値下がりした。貿易国の東南アジアの不況のあおりを受けて、1998年に日本の経済成長率は、マイナス1パーセントを記録した。政府と日銀は足並みをそろえて、景気対策を練る。日銀はゼロ金利政策を打ち出して、企業に設備投資をうながす。政府は円滑な金融取引のために、法整備を行う。その一環として、４月に改正外為法が施行された。同年１２月からの株式売買の取引所集中義務の廃止、金融機関による投資信託の直接販売の解禁など日本版ビッグバン（金融制度改革）が本格化し、銀行、証券の垣根や国境を越えた合従連衡が進んだ。
詳細 JlJl.com 1998年重大ニュース https:/
バブルの後遺症により、企業は新規事業の開始に躊躇していた。銀行も貸し出し審査の方を厳格化した。従って、戦後の高度経済成長期のように、景気の次の波は起こらなかったのである。
前編の第1章に続き、ZARDのディレクターを勤めた寺尾進氏のインタビューに移る。寺尾進氏は、当時の時代背景と重ね合わせながら、坂井泉水に対する思いを語った。国民的応援歌となった「負けないで」について、歌詞の内容が印象的だったからこそ、シングル曲としてアピールすることに決めたと、打ち明けた。一般の人々の前にも公開された直筆ノートによると、坂井泉水自身、歌いながら、何度もノートに線を引いて、修正を重ねていたのである。冒頭の歌詞、ふとした瞬間に「視線がぶつかる」の箇所は、当初、目と目があったような、と書かれていた。さびの箇所は、最後まで諦めないでから「最後まで走り抜けて」に修正された。彼女は、自ら書いた歌詞と向き合い、納得できるまで、推敲を重ねていた。
寺尾氏は、メモをとる習慣があった坂井泉水は、ただ単に語呂が合えばいいのではなく、聴き手に思いが伝わるか、考えていたという。
歌詞と向き合った結果、テレビや雑誌の取材を断ったといえる。寺尾氏によると、負けないでのリリースから変わったことがあるという。デビュー当初は、透明感のある容姿から、男性ファンが圧倒していた。次第に歌詞に共感を抱いた女性ファンが急増したという。実際94年６月4日にリリースされた5th ALBUM「OH! MY LOVE」をCD屋で調査したところ、男性よりも女性の方が手にとっていたという。CD売上は、オリコン ウィークリー・チャートで初登場1位、第1週の売上枚数は58万枚、CDトータル売上は200万枚を突破した。
大ブレイクした頃も、都市郊外の神奈川県秦野市の実家から、小田急線に1時間以上乗り、六本木のスタジオまで足を運んだ。彼女自身ばったりとテレビの前から姿を消した影響からか、乗客は坂井泉水だと気付かず、騒動が起こることはなかった。
寺尾氏自身、負けないでのさびの歌詞「最後まで走り抜けて」の部分が、受験や就職試験を控えた団塊ジュニアの心に響いたのではないか、と分析している。
寺尾氏自身は、2007年6月27日に一般向けに行われた「音楽葬」にて、4万人のファンが一体となって「負けないで」を熱唱したシーンが心に焼き付いているという。
彼は取材の最後に「この曲は特別なことがわかりました」と結んだ。
ZARDの負けないでは、リリースから30年、広く運動会のBGMなどに起用されている。毎年恒例の日テレ系列24時間テレビのチャリティー・マラソンにおいて、ランナーがゴール地点へ向う際、出演者が「負けないで」を熱唱して、迎え入れていた。時を越えて、彼女の歌声は響き渡っている。
第10章 ZARD坂井泉水が育った丹沢山麓秦野市を旅する 2023年第1回 Stray love
今回の舞台は、ZARDの坂井泉水が育った神奈川県秦野市を中心に、海老名市、中郡二宮町、東隣の伊勢原市である。テーマは、6thシングル「負けないで」のC/Wとして収録されたStray Love、しっとりとしたミディアムバラードナンバーである。隠れた名曲として知られ、冬のベスト版といえる2001年11月21日にリリースされた「LEND II〜LEAF & SNOW〜」に収録された。同アルバムは、オリジナルアルバム未収録のC/Wが数多く含まれている。オリコン・ウィークリーチャートでは初週で4位、売上枚数は23,1万枚となった。
Stray Loveの歌詞を振り返りながら、冬本番を迎えている1月29日（日）の秦野市を中心に、海老名市、二宮町、伊勢原市の観光地を紹介する。
写真左＝Stray Loveのミュージックヴィデオ映像 2020年2月5日付け
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写真右＝Stray Loveのミュージックビデオ映像 クリックして視聴可能 bilibiliより
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1月29日（日）訪問地一覧
�� 海老名市 相模大堰 カワアイサ撮影 時刻午前7時代後半から8時25分頃
�� 中郡二宮町 吾妻山公園 菜の花を撮影 時刻午前10時代
�� 秦野市 震生湖畔 スイセンを撮影 時刻午後12時代から13時代
�� 秦野市 神奈川県立はだの戸川公園 スイセンと梅を撮影 午後13時代
�� 伊勢原市 標高700m付近大山阿夫利神社下社から夜景撮影
第1章 スポット� ´◆�Stray Love Aメロの歌詞 カワアイサとの出会い、菜の花撮影
2020年2月24日（月・祝）訪問時日記 https:/
（１）相模大堰 カワアイサとの出会い
写真左＝相模大堰周辺地図 Amebro 一進一退JOGと黒むつと 2020年10月15日付け https:/
写真右＝カワアイサのメスと雛鳥達 掲載元 バードリサーチニュース 2018年08月01日 著者：神山和夫 撮影：Arnstein Rønning アメリカミシガン州ミネソタ湖にて76羽の雛鳥を連れた個体
午前7時46分、JR相模線の社家駅を降りて、西へまっすぐ進み、相模大堰にたどり着いた。私がこの場所を訪れたのは、2020年2月24日（月・祝）、2022年3月13日（日）に次いで3回目、毎年冬場には、北海道やシベリアで繁殖したカモ目ウミアイサ属のカワアイサの飛来が確認されている。第1回目の2020年の訪問時、姿が見えたのは、複数羽のメスのみだった。2022年は、オスメス共越冬していたものの、相模大堰から上流の方へ移動していたのである。私自身は、堤防から降りて、葦原の中の小道を進み、相模川沿いの柵のそばから観察をした。浅い川面に、1羽のオスと複数羽のメスの姿があった。オスとメスの区別は、首から頭の部分の色で判別がつく。オスは鮮やかな緑色、対照的にメスは灰色である。体の色が地味なメスが、春先子育てを一手に引き受け、オスは度々様子をみにくる。いわゆる用心棒となっていた。
私がバックからカメラを撮り出した瞬間に、オスを筆頭に、メス達も上流方向へ飛び立っていった。低空飛行をしながら、カーブを描いて、中州を挟んで反対側へと降り立った。私は、対岸を結ぶ、相模大堰の真上に設置された人道橋を渡った。川を見下ろしたところ、確認できたのはホシハジロとコガモだった。カワアイサの集団は、すばやく移動することにより、追っ手である私を巻いていた。
相模線の厚木方面へ向う橋本行きの下り列車の到着時刻を気にしながら、川沿いに戻った。カワアイサは、カモ類切手のスピードを持つ。個人的に撮影を諦めかけていた矢先に、1羽のオスと5羽のメスが帰ってきていた。オスの左右に付く2羽の後ろに3羽が並ぶ。2羽のメスは、オスと横並びの状態だったものの、3羽は遅れがちだった。数分後には、私の到着時と同じく、中洲を挟んで反対側へと飛び去った。
私自身が、カワアイサのオスを撮影したのは、2016年1月2日（土）の滋賀県長浜の琵琶湖畔以来7年ぶりである。当時は被写体との距離が遠く、コンデジのズーム機能限界まで使ったことにより、撮影画像は荒かった。今回は、気象条件も良く、低感度で、比較的近い距離で撮影した。よりリアルに、体の色合いや、目元まで写すことができた。カワアイサとの出会いにより、今回の旅は、好スタートを切った。
（2）二宮町吾妻山公園
2番目の目的地は、中郡二宮町の吾妻山公園である。2017年2月11日（土・祝）以来、ほぼ6年振りの訪問となった。殺風景な冬場に、菜の花と富士山が競演するスポットとして、朝日新聞では毎年冬場に紹介されている。全国紙で宣伝されたことにより、年々訪問客が多くなっているという。私は、6年前と同じく、海沿いのJR東海道線二宮駅の程近くの梅沢口から登山した。山頂の標高は136m、登山道自体外灯はないものの、階段状に整備され、余分な石は取り除かれていた。
2017年2月11日（土・祝）の訪問時の日記 https:/
写真＝吾妻山公園の案内図 掲載元 ぶらりーうぉーかー 2021年1月30日付け
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当時は帰り道、尾羽の先端が青いルリビタキにであえった。この日確認したのは、茂みの中に潜むアオジだった。
木々に覆われた登山道を抜けると、一気に視界が開けた。真黄色の菜の花畑の先には、西に富士山が聳え立つ。南西側には相模湾の先に、伊豆半島が延びる。朝方相模大堰では、富士の頂がくっきりと見えていたものの、いつの間にか雲によって隠されていた。周囲の観光客からややため息交じりの声が聞こえてくる。風がなく、雲はとまっているように見えた。
足元に咲くスイセンは見頃を過ぎて、やや茎がお辞儀するように傾いていた。菜の花畑の反対側に設置されたローラー滑り台では、小さな子連れの家族が、列を作って、順番待ちをしている。背後に聳え立つ桜の木の奥から、相模湾を望める。南の空は澄み渡り、桜の木越しに見える真っ青な海と溶け合っていた。
Stray Loveの歌詞では、デート中の若者の心情を描いている。Strayを日本語で直訳すると、迷っているとなる。つまり、現代の若者らしく、自分の将来を決められず、恋人を前に、迷っている様子が浮かぶ。
冒頭の歌詞：月の光に揺れて 心に寄り添う影、体は近づいても、心は近づかない。
真昼間の吾妻山公園には、老年のグループから、若いカップル、子連れの家族まで幅広い世代が訪れている。互いに心を通わせ、手を繋ぎ、肩を寄せあった。どこか落ち着きがなく、心が離れているように感じた。
続くAメロの歌詞：二年前のままだったら上手く付き合えたわ、月日が私を大人にした Stray Love
その二年は、高校の1年時から受験や就職を控えた3年時を差しているのか、または当時成人を迎える大学2年時の20歳から、就職活動に励む4年時までの2年間を意味しているのか、見方は様々である。若い頃は、新しい人と出会い、サークル活動やバイトを通して、交友を深める。大学3年時は、将来の就職を見据えて、インターシップにも参加する例が多い。出会った当初は、互いに気があっても、その後の過ごし方によって、価値観が変わりやすい。
続くサビの歌詞：海辺で過ごしたあの夜、小さな明りを灯し、お互いを確かめ合ったよね。思い出は悲しくて
坂井泉水は、男性目線でも女性目線でも語ることが出来る。主人公は女性だろうか。2年の間に、将来を前向きに進む女性と、どこか進路に迷う男性との間ですれ違いがおきていた。女性は、びしっと物事を決める男性に惹かれる傾向がある。対照的に将来的に一家の大黒柱を担う男性は、若い頃進路の不安から、迷いやすい。2年前、不安もなく、過ごした日々を懐かしんでいた。Bメロの歌詞は、最終章に続く。
吾妻山公園では、若い男女が菜の花を背景に、スマホをかざして、仲良く2ショットを撮る。若いうちは、活力があり、行動を起こしやすい。和気藹々と恋人と語り合いながら、一足早い春を感じ取っていた。
第2章 スポット���ぁ／遡郢圈▲好ぅ札鵑版澆鮖１�
昼過ぎに向ったのは、中郡中井町との境目の秦野市標高155mの震生湖畔である。秋は湖畔沿いのモミジの木が真っ赤に染まるものの、冬場は枝がむき出しの状態である。
湖畔沿いの弁財天と尾根沿いの歩道との傾斜地に、スイセンが植えられていた。寒波と強風の影響により、多くの株は、倒れ気味だった。
寒い冬場、ハイキング客は少なく、老年の釣り人が中心だった。木々の葉が落ちて、すっかり殺風景になった湖だが、春先には湖畔沿いのソメイヨシノが開花する。桜の季節が終ると、一気に新芽が芽吹き、パステルカラーに染まる。春を心待ちにしながら、その場を後にした。
続く訪問地は、渋沢駅から北西へ4,1km離れた標高340mの神奈川県立はだの戸川公園である。昨2022年に８度も訪れた公園に、1月の訪問は初めてだった。小田急線の渋沢駅を結ぶ大倉バス停沿いのパークセンター側に植えられた河津桜の木は、蕾が膨らみかけていた。梅の方は、開花したばかりである。水無川へと続くヘアピンカーブの道脇に積み重ねられた石垣には、スイセンが咲いていた。
戸川公園は、丹沢登山の玄関口、秋の行楽シーズンは、朝方渋沢駅から臨時バスが出るほど、乗客で一杯になる。冬場の午後2時代、渋沢駅へ戻るバスの乗車率は100％未満、混雑は緩和されていた。バス通り沿いの脇に位置する坂井泉水が卒業した秦野市立西小学校の校庭では、野球少年たちが汗を流している。彼女が、平塚市から小学校へ転校したのは1976年である。2021年には、開校100周年を迎えた。1929年から現在の位置に移転し、渋沢地区で育った数多くの子供たちを、社会へ送り出してきた。21世紀、少子高齢化により、小中学校の統廃合が進んでいる。いかに、少子化を食い止め、働き手を増やすか、経済再生の鍵を握っている。
渋沢駅から、上り方面で隣の秦野駅で一端降りて、構内の観光案内所に立ち寄った。顔見知りの2人の係員が対応してくれた。休日の冬場、観光客の姿はなく、気にせず、話すことができた。はじめに、係員おすすめの観光スポットとして、七福神巡りの件から始まった。秦野観光協会が主催する「南はだの村七福神と鶴亀めぐり」では、由緒あるお寺を回り、朱印と共にスタンプを集める。南はだの村は、1955年の市制定前に存在した自治体である。周辺の町村と合併し、現在の秦野市になった。道中、渋沢丘陵に点在する畑の中の道を横切り、盆地内の湧き水スポットにも立ち寄る。観光協会は、古きよき旧南秦野村の文化を感じてもらうため、スタンプラリーの名称に使用したという。
旧南秦野町に位置する10箇所の神社のスタンプを集め、観光案内所に提示すると、記念のストラップをもらえるという。私は、続いて、何度も観光にくる目的を語った。「秦野市の人は、ご存知でしょうが、ZARDの坂井泉水さんの出陳地であることを意識して、旅をしているのです」
二人の係員のうち、男性側の方はスマホの着メロにZARDの曲を入れているという。女性係員の方は、娘の出身が坂井泉水さんと同じく、市立西中学校だと明かした。私は、秦野駅から震生湖へ至る道程の途中にある渋沢丘陵・今泉町の高台からの夜景が、名曲「遠い日のNostalgia」を髣髴とさせますと、申した。二人とも、曲については知らなかった。2015年に人口16万2千人の秦野市は、都市郊外の緑豊かで、のどかな田園風景が残る。昭和の里山が残る環境下で、数多くの有名人を輩出してきた。坂井泉水もその一人だった。
観光案内所の職員と別れた後、駅南側から徒歩5分未満の距離に位置する今泉名水桜公園を訪れた。11月下旬から12月上旬に水際で咲いていたカラーの花は、無くなっていた。当時と変わらず、オカヨシガモが羽を休めている。公園も、秦野湧水郡の一つ、桜の木は葉を落としても、水草は生い茂っていた。冬場わずかに緑が残る公園で、ひと時をすごすことができた。
第3章 スポット�Π棒�原市大山阿不利神社下社からの夜景撮影
午後4時代、最後の目的地は、標高696mの伊勢原市大山阿不利神社の下社である。大山バス停から、商店街が軒を連ねる階段を上り、ケーブルカーの「大山ケーブルカー駅」脇の登山道へと足を向けた。通常ケーブルカーの最終便は午後5時であるものの、1月14日（土）と15日（日）から、月末の土日に限り、午後7時までの夜景運転を行う。なお2月以降は行われていない。伊勢原観光協会が、ポスターを作製して、大々的に宣伝をしていた。
2020年11月22日（日）訪問時日記 https:/
写真＝ 掲載元 伊勢原市観光協会 こま参道〜大山山頂 https:/
登山道は、ところどころ雪が残っていた。時折下りの登山客とすれ違うものの、登り客は、私のみだった。入り口付近で、一人の男性が、忘れ物を取りにいくかのように、慌てて私を追い越していた。ところどころ雪が残っている登山道は、幅が広く、転落の危険は最小限にとどまった。夜間でも等間隔でLEDライトがついている分、心強い。秋の紅葉の季節、夜間のライトアップにより人だかりができる大山寺も、参拝客はいなかった。野鳥の声も聞こえず、静けさに包まれていた。大山寺から阿夫利神社下社までの道程は、岩場になり、斜度も一気に上がる。転落防止のため手すりが付けられたことにより、安全性は高まった。数人の下りの登山客と道を譲り合いながら、険しい道を登る麓の大山ケーブル駅から阿夫利神社下社まで、およそ40分で登り終えることができた。飲食店には、家族連れを含め夕食をとるグループの姿があった。見晴らしのよい下社付近にも、まばらに人が残っていた。阿夫利神社下社からは、小田急線の伊勢原駅、さらに南側の平塚市から、西側の江ノ島を望める。トワイライトタイムは、午後5時21分から始まるものの、撮影地の標高が高い場合、青みを帯びた空の影響により、遠くの町の輪郭がややぼやけてしまう。町がクリアに写る時間は、平地での撮影の指標になるトワイライトタイムから数分後ろ倒しになる。従って、標高約700mの大山・阿夫利神社下社の展望地からシャッターを切る時間は、午後5時25分以降になる。丁度町明かりと、青みを帯びた空が溶け合い、幻想的な写真になる。
登山客や夜景鑑賞目的のカップルが、夜景を見下ろせるコンクリートブロックの手すりの前に集った。カップルは、自撮り棒を使い、眼下の夜景をバックに撮影する。
ZARDのStray Love Bメロの歌詞では、行き違いにより別れる寸前の男女の行方について書いている。
冒頭の歌詞：未来予想図を写す、あなたの瞳に、不安のかげりが見えていた Stray Love
17時31分撮影
将来不安により、表情が乏しくなる。会話の最中にも、言葉につかえ、続かなくなる。くじけそうな彼を、いかにリードするか、女性自身の気持ち次第である。
Bメロのサビの歌詞：二人の記念日はもう、これが最後かもしれない、誰もが通り過ぎてゆくのね、飛び込むことにためらう。
17時33分
中学校から高校、その先の大学や専門学校、就職へとステップを踏むことに、誰しも抵抗がある。未来を切り開くのは、その人自身、義務教育の中学校を終えると、その人に与えられたレールは用意されていない。主人公の男性は、支えてくれる彼女により、自分自身が変わっていく。
夜景の方は、空が暗くなるにつれて、周辺の山々の峰々も影絵のように浮かび上がる。周囲一帯闇に包まれた中、麓の町から明かりがきらめく。遠くから、将来の成功を祈り、神社にお参りにきた男女に優しい光を投げかけていた。
17時37分
続くさびの歌詞：今愛しているだけで、すべては決められない、誰もが通り過ぎてゆく、明日が見えない季節
＜終わり＞
人生には、正解か不正解か、答えはない。先のことが分からず迷いながらも、共に励ましあう姿がある。バブル崩壊後、日本は終身雇用の崩壊、所得格差の拡大、子供の貧困問題を抱え、将来の希望を持ちにくい。現在の政治家が、長期的な目線に建てず、その場しのぎの国債を発行して、足りない予算を補う。国債の支払額の増加により、後の世代は大きな負担を背負うことになる。坂井泉水は、発表した作品の中に、不安定な世の中にありながら、未来への希望を託していた。
17時38分
私自身、帰り道多少心配はあったものの、登山道にLEDライトがついいたおかげで、懐中電灯やヘッドライトなしでも下山できた。途中階段が凍結している箇所があったものの、足を滑らさないように細心の注意を払い、ゆっくりと歩みを進めた。
夜景が綺麗とはいえ、夜間冬の山を昇り降りする人は限られていた。ケーブルカーを使わずに、自力で下山することにより、達成感を得られる。
坂井泉水は、丹沢山麓の秦野市に、小学校4年生からデビュー5年後まで20年に渡って過ごした。学生時代から、スポーツと共に絵の才能もあり、花をスケッチしていた。彼女が育った環境を訪れることにより、世界観を共有できる。彼女の歌声は、今なお故郷で響いている。
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