「本意に非ず」（上田秀人著 文藝春秋 2019年11月10日第1刷発行）を読みました。
この本は、タイトルが「本意に非ず」となっており、一種類の内容の本のように思えますが、実際の内容は、
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という独立した五つの中編を集めて一冊としたものでした。
「� ゝ嫂叩 廚蓮∨槐住�の変に関するもので、次のような内容のものでした。
天下統一が近ずくにしたがって、織田信長は、これまで自分に逆らったことのある者を次々と粛清するようになってきました。
明智光秀の配下には美濃衆が多く存在していたわけですが、その美濃衆が、近く、今度は我々が粛正されると思うようになってきます。それで、美濃衆は、粛清される前に、信長を亡き者とせざるをえないと思い詰めるようになってきます。
光秀がそのことに気付いた時には時既に遅しで、美濃衆は、光秀の命を受け入れないような状況になっていて、結局は、光秀は、美濃衆の言うなりにならざるをえず、光秀は、美濃衆のなりゆきを黙認しているしか手はなかったとしています。それが、本能寺の変の真実だとしています。
「�◆…品蕁 廚蓮⊆腓法�居城信貴山城で三好長慶からいただいた「平蜘蛛の茶釜」と共に爆死した松永久秀について書かれたものでした。
松永久秀と弟の松永長頼の二人が、主君三好長慶を追慕して語り合うという形式で書かれたもので、織田信長が京に上洛する頃の京周辺の勢力関係が詳しく書かれていました。
「�� 重荷 」は、伊達政宗について書かれたものでした。
正宗の初陣の頃から、大坂の陣までを扱ったものでした。
正宗は、結局は、戦国最後の戦いと言われる豊臣秀頼を滅ぼす大坂の陣でもさほどの活躍が出来ず、伊達家は往時の半分以下、62万石の外様大名で終わったというところで終わっています。
「�ぁ〜位襦 廚蓮�火付盗賊改方長谷川平蔵について書かれたものです。
旗本の長谷川平蔵が出仕してから、どんどんと出世していく様が詳しく書かれていました。
火付盗賊改方にまで出世したのですが、現実には、実質的には、火付盗賊改方というのはそれ以上の出世が望めないことを知ります。
そこで、平蔵は、出世を捨て、名前を江戸市中に広めることを新たな夢とし、職務に挑みますが、病に倒れてしまいます。しかし、将軍からの病床見舞いを受けるという、旗本にとっては名誉な出来事がおこります。
しかしながら、その直後に急逝してしまい、結局は、父を越える地位までには至らずに生涯を終えたという内容でした。
「�ァ”埃臓覆澆里蕕此法廚蓮⊂ヽそ�、西郷隆盛、坂本龍馬の三人について書かれたものでした。
ストーリーの展開としては、明治になってからのことですが、勝海舟の住まいの一隅に徳富蘇峰が住み着き、そうした関係から、よく、徳富蘇峰が勝海舟の所に赴いては、いろいろと、幕末維新のことを聞き出すという形をとっています。
勝海舟、西郷隆盛、坂本龍馬の三人の間には、かなりの接点があったわけで、その三人を絡めた幕末維新のいろんな出来事について書かれていました。
その中の大きな出来事の一つとして坂本龍馬暗殺事件がありますが、龍馬を襲ったその本当の人物を、著者なりに特定していました。
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