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2023年01月02日22:38

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作品を読む 『超人ロック』を買い直す

 ブック〇フで、1〜4日まで本が全品20%オフだというので覗いてきた。そこで見たのが、『超人ロック』キングコミックス版の38巻セットである! 38冊で、3000円という価格であった。しかもそこから20%オフ!

 奥さんに「あの〜、ワガママ言っていい?」と、お伺いをたてると、「いいよ」と言ってくれたので、購入した。いや〜、なんというか感無量である。

 『超人ロック』は中学生の時に映画を観にいってから、コミックスを買ってずっとファンだった作品である。ちょうど、キングコミックスの37、8巻あたりで離れてしまい、その後、色々あってコミックスも手放してしまった。けど、「ああ、手放すんじゃなかったな」と思ってた作品だったのである。

 そんなわけで、去年、聖悠紀先生がお亡くなりになった時も、コミックスも持たぬ自分には語る資格はないと日記にも書かずじまいだった。けど、亡くなってから、さらに再評価せねばいけない、と痛切に思っていたのである。

 SF史的な流れで言うと、『超人ロック』は「銀河史」を創作する流れの作品だったとまず言える。『超人ロック』では、まず地球があり、その周囲に植民惑星がある。その植民惑星がその後、独立を果たし、やがて星間連盟としての「銀河連邦」が形成される。

 しかし長い歴史の中で銀河連邦は荒廃し、そこに新たな秩序をうちたてる「銀河帝国」が登場する。しかしこの銀河帝国は、やがて人ではなく銀河コンピューターが支配する政治体制となり、その硬直に対し反乱の動きが起こり、銀河帝国は消滅する。そしてその後、新銀河連邦が成立するのだ。

 こういう仮想銀河史というのは、それだけでSF少年の心をくすぐるギミックなのだ。そして、この原型はアシモフの『ファウンデーション・シリーズ』にある。これはハヤカワでは「銀河帝国興亡史」と銘打たれたシリーズで、そのスケール感だけでも当時はドキドキしたものだ。

 無論これは、歴史家ギボンの『ローマ帝国衰亡史」を踏襲したものなのだろうと思う。ギボンは18世紀に活動した歴史家で、全10巻にものぼる『ローマ帝国衰亡史』は、壮大な歴史書である。そのスケール感を、未来史、それも宇宙時代の『銀河帝国』になぞらえるところがロマンなのだ。

 この「銀河帝国」を引き継いだのが、『スターウォーズ』である。『スターウォーズ』は、皇帝の独裁体制にある銀河帝国に対し、反乱・独立を求める銀河同盟の戦いが舞台となっている。そしてこの銀河帝国は、元は銀河連邦の一議員でったパルパティーンが皇帝となることで成立した政権であった。

 『超人ロック』の世界観は、こういう仮想宇宙史の流れの中にあり、僕の知る限りでは小説・マンガ・アニメ等の媒体のなかで、最も細密にかつ壮大なスケールでその宇宙史を描いた作品だったのである。

 この『超人ロック』は、細部のSF的なギミックの描写にすぐれ、小道具が実に多彩である。エスパーだけに苦しみを与えるESPジャマーだとか、スーツ、ロボット、洗脳装置や催眠装置の小道具の一つ一つが、実に丁寧な描写で描かれている。SF入門者の僕らは、『超人ロック』によってSF的ギミックの教育を受けた、と言っても過言ではない。

 そして今、読み返すと、その政治的な描写だとか、ストーリ―構成の上手さに実に感心させられる。いや、入手できてよかった。遅まきながら、『超人ロック』の再ファンとなった次第なのである。
 
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