映画「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」

「パンズラビリンス」「シェイプ　オブ　ウォーター」と新しい視点と言うか、独特の表現をするダークファンタジーの巨匠ギレルモ・デル・トロの最新作。
大好きな監督なので見に行ってきました。

ピノキオは知っていたつもりだけど、改めて見ると知らない所が多かった。
原作はピノキオでなくピノッキオ（原作タイトル「ピノッキオの大冒険」）なのね。大分ディズニーの影響が強いね。

ストーリーは書くまでもないが、時代背景はムッソリーニがいるファシズム時代のイタリアで戦争が背景にあるのが面白い。この時代にすることにより、デル・トロが得意とする、明るい話なのに、なんとなく鬱屈を感じる暗さを表現しやすくなり、見事にスクリーン化している。
ピノッキオに命を与える精霊も、ゼペット爺さんとピノッキオが吸い込まれるクジラ（今作では怪魚）の造形も明るいものではなく、なんともおぞましいものに仕上がっている。

そしてストップモーションのアニメだけど、最新技術で動きは滑らか。

永遠の命と限りある命、親子愛、子供の自立、友情なんかがバランスよくちりばめられ、なんていい作品なんだろう。
長年愛され続ける原作の底力もあるが脚本も素晴らしく、ミュージカル調でもあるので、歌のシーンのアクセントもいい。

早く吹き替え版を作って、日本中の親子ともどもに見てほしい。

やっぱデル・トロはすごい。この人の頭の中には、どんな世界が創造されているのだろう。


昔「樫の木モック」ってあったけど、これは松の木なのね。原作はどうなんだろう？話の大筋には関係ないけど気になった。