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2022年11月30日22:05

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Wカップ企画(3)グループG 第2節 セルビア 対 カメルーン戦レポート EUとロシアの狭間で揺れるセルビアの政治(1)他日本対コスタリカ戦の試合結果 

Wカップカタール大会の国際映像に写った日本人サポーターが、一躍有名になった。ドイツ戦での逆転勝利後、女神として紹介されたのは、28歳のSHONOさん、職業はミュージシャン、ガールズバンド「PARADOXX」のドラマーである。インスタフォロワ−は、10万人に達した。WカップやEURO(欧州選手権)では、常に場外の女性サポーターが話題になる。彼女は、音楽の世界でも活躍するのか、2023年は勝負の年である。
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=128&from=diary&id=7206947


 企画1 日本 対 ドイツ戦レポート    https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1983782925&owner_id=32437106

 企画2 セルビア 対 ブラジル戦レポート https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1983798418&owner_id=32437106

Wカップ企画3回目は、グループG 第2節 セルビア 対 カメルーン戦のレポート、また4月27日に社会主義体制崩壊30年を迎えた旧ユーゴスラヴィアの中心的存在だったセルビア共和国の政治について考察する。グループE 第2節 日本 対 コスタリカ戦の結果や細かいデーターも記している。

・第1章 日本 対 コスタリカ戦の結果
・第2章 EUとロシアの狭間で揺れるセルビアの政治(1)
・第3章 セルビア 対 カメルーン戦レポート

        第1章 日本 対 コスタリカ戦の結果

  11月27日(日)日本時間午後7時に グループE 第2節 日本対コスタリカ戦が行われた。90分のゲームを支配したのは日本だった。森保監督は、初戦から5人のメンバーを入れ替え、フレッシュな選手を投入し、ボールポジェッションを高めた。対して初戦のスペイン戦に0対7で敗れたコスタリカは、5バックでのぞみ、カウンターで応酬する。

 後半右から左に攻める日本は、開始早々初先発の2ボランチの1角森田がドリブルでボールを持ち込み、シュートを放った。正確に枠をとらえたとはいえ、重心を左に傾けながら横飛びしたナバスが、右手でボールにさわり、クロスバーの上を越えた。選手達は、コスタリカ戦で勝ち点3を獲り、2連勝で最終スペイン戦に望む予定だった。0対0のまま進んだ試合は、終盤に動いた。後半36分に、日本のちぐはぐなクリアから、フジェルが左足でシュートを放った。横飛びした権田の左手の指先を超えていくボールは、鮮やかにネットを揺らした。1対0.

写真=先制ゴールシーン 提供 ロイター通信
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 コスタリカは、90分の試合で唯一の枠内シュートを得点につなげた。スペイン戦から通じて2試合でも初めて枠内シュートである。

 試合は、コスタリカが最小スコアで勝利した。90分間のボールスタッツは、日本の47%に対して、コスタリカは38%、残り15パーセントは、球際の攻防、またはルーズボールの割合を含む。シュート数は日本が14本(枠内3本)、コスタリカは4本(枠内1本)だった。初戦に勝利しながら、先発メンバーを5人代えたことについて、森保監督は、「後悔はない」という。グループ内のもう一つのカードとなる、スペイン対ドイツ戦は1対1のドローだった。日本は、最終スペイン戦で勝利を誓って、調整を重ねている。

      第2章 EUとロシアの狭間で揺れるセルビアの政治(1)

 セルビア共和国は、2020年時点で人口693万人、面積は北海道と同等の77,474平方キロメートルになる。首都ベオグラードには160万人が暮らす。民族の83%はセルビア人、宗教は正教徒である。北部のヴォイヴォディナ自治州に暮らすハンガリー人は、国内で4パーセント、主にカトリックを信仰する。

 写真=セルビア共和国の地図 掲載元 より道日記 2020年2月1日 https://broaderworld.jp/blog/b2020-02-01a.php
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 国は2003年に他5つの西バルカン諸国と共にEUの潜在的EU加盟国と認定を受けた。2009年に加盟申請書を提出し、2013年に正式に加盟候補国と認められた。

 詳細 EU MAG https://eumag.jp/news/h020514/

民族紛争を抱えた同国は、西側諸国を中心に結成されたEUとNATOから遠い存在だった。近隣諸国と政治的に問題を抱えていることにより、サッカーの世界では、FIFA(国際サッカー連盟)とUEFA(欧州サッカー連盟)から特別な配慮がなされている。ホーム&アウェー方式が原則のWカップやEURO(欧州選手権)の出場権をかけた予選において、セルビアとコソヴォは、同組にならないように設定された。対戦を避けられるカードは以下の通りである。

・コソヴォとボスニア・ヘルツェコヴィナ 理由 ボスニアにはコソヴォの主要民族アルバニア人と対立するセルビア人が多く暮らす

・コソヴォとセルビア 97年から99年にかけて紛争が起こり、いまだに和平を結んでいない
・コソヴォとロシア ロシアは、セルビアの意向を聞き入れ、コソヴォを国家承認していない。国連では常任理事国の特権として、コソヴォの加盟を阻止した。

・ロシアとウクライナ 2014年クリミア政変により、両国は敵対関係にある。

・アゼルバイジャンとアルメニア 1988年の旧ソ連時代から続くナゴルノ・カラバフの帰属権を巡り、2度に渡り戦争をする。

・ジブラルタルとスペイン スペインは、ジブラルタルを自国領と考える傾向がある。

なおロシアは、2022年2月21日以降、ウクライナへ軍事侵攻したことにより、FIFAとUEFAから国際試合出場停止処分が下された。従って、3月下旬に行われる予定だったWカップの出場権をかけた欧州プレーオフにも不戦敗扱いにされたのである。11月27日付けで、ロシアサッカー連合(サッカー協会)は、UEFAからAFC(アジアサッカー連盟)への移籍を検討していると表明した。加盟実現に向けて、手続きは踏んでいない。AFCに転籍すれば、次回2026年のWカップ予選で日本と対戦する可能性がある。クラブレベルでは、毎年国内リーグと平行して行われるAFCチャンピオンズリーグへの参加資格も得る。長距離移動を避けるため、準決勝まで東西別々のブロックで行う。東西に幅広いロシアは、ウラル山脈の西側にサッカークラブが集中する。クラブ間では、東西のどちらに属するか、注目される。

さて政治に話を戻すと、セルビアは、伝統的にロシアと共に中国とも外交関係を築いている。4月14日には、中国から地滞空ミサイルを納入したことが明らかになり、近隣のNATO諸国と一時的に緊張関係に陥った。同国は2020年にも中国製の攻撃力のある無人機の供与を受けていた。EU入りへ向けて、武力による威嚇は否定した。大統領職に就くのは、アレクサンドル・ブチッチ氏(1970年3月5日生まれ)である。2008年10月21日に結党されたセルビア進歩党に属する。同党は、大セルビア主義を掲げる急進党から離党した穏健派のメンバーで結成された。古い慣習を捨てて、党の綱領にEU加盟を掲げている。2022年4月4日に投開票が行われた第2回大統領選挙で当選し、2期目に入った。大統領の任期は5年になる。ロシア連邦のプーチン大統領が属する政党統一ロシアとの良好な関係を保ち、西側諸国とのパイプ役を築く狙いを持つ。

 2022年3月2日、ロシア軍によるウクライナ侵攻に関する国連の非難決議において、セルビアの対応にも注目されていた。当初は中国やインドと同じく、棄権に回ると予想されていたのである。EU加盟入りに向けて、西側諸国と協調して「賛成」に回っていた。結果的に賛成141カ国、反対5カ国の結果だった。

 写真左 掲載元 読売オンライン 2022年3月4日付 https://www.yomiuri.co.jp/world/20220304-OYT1T50038/
 写真右 掲載元 ブチッチ大統領 2022年4月3日 解散総選挙での支持者集会にて
掲載元 JlJl.co, 2022年4月4日https://www.jiji.com/jc/article?k=2022040400260&g=int
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セルビアが賛成票に投じたことにより、新口派国民から大きな非難を浴びる。現に総会後の4日、セルビア国内ではプーチン氏を称え、軍事作戦に対する支持集会が開かれていた。非難決議で賛成に回ったブチッチ氏に対して、3月5日にフランスのマクロン大統領が、電話にて、賞賛の声を送ったことを明かした。セルビアが一転して、ロシアの軍事侵攻に対して反対を表明したことにより、西欧諸国から外交の誘いを受ける。ロシアから西欧へ路線を転換したとの見方もあった。
 ブチッチ大統領は、ロシアと同類とみられることは避けたかったものの、伝統的に築いていた外交関係を維持する選択をした。同国は、ロシアから石油を輸入している立場にある。EU加盟が遠のく可能性がありながら、経済制裁については拒否する考えを示した。6月10日に、ドイツのショルツ首相とのベオグラードでの会談にて、ブチッチ大統領自身が、制裁に関する立場は異なることを明確に伝えたのである。現に5月29日に、ブチッチ大統領は、プーチン大統領と電話会談し、同月末日で切れる10年に渡るロシア産のガス供給期限を3年間延長することで合意に達していた。ブチッチ氏は、記者団に対して、次のように述べた。「プーチン大統領に、出来るだけ早く平和が訪れるように望むと伝えた」

 また新たなガス取引の契約について記者団に問われると、「セルビアにとって有益な契約になるでしょう」と語った。

 日本と同じく人口減に直面する同国は、平均月収が7万円程度、2021年度の一人当たりGDPは、世界79位となる9178USドルである。日本は27位で3万9000ドル、1位はルクセンブルクの13万6000ドルである。

 詳細 REUTERS https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-serbia-russia-idJPKBN2NG02L

 詳細 KWP NEWS 2022年5月30日付 https://kagonma-info.com/c0019/serbia_russian_friend_gas/

 一人当たりGDPのランキング記事 世界経済のネタ帳 2022年10月12日
https://ecodb.net/ranking/imf_ngdpdpc.html

 天然資源に乏しい同国は、直接ロシアから石油を輸入する。ロシア国営ガスプロム社は、ポーランド、ブルガリア、フィンランドへのガスの輸送を停止していた。石油を安定的に確保することにより、悪い物価上昇を避けることができる。ブチッチ大統領は、西欧から強権的と批判されながら、概ね国民から支持を得ていた。次回、日本と同じく、少子化に直面する経済事情と共にコソヴォ問題について取り上げる。

        ・第3章 セルビア 対 カメルーン戦レポート

 11月28日、日本時間午後7時 グループG 第2節 第1試合 セルビア 対 カメルーン戦が、アルジャノブスタジアムで行われる。緒戦は両チームとも、勝ち点3を逃がす結果となった。セルビアは、堅守はもちろん、足元のテクニックに優れたチームである。対照的にカメルーは、個々のスピードやパワーを含め、身体能力が高い。Wカップ8連敗の不名誉な記録のストップを図る。

 写真=スタメン表 掲載元 https://vovlive.vn/truc-tiep-serbia-0-1-cameroon-mitrovic-vo-duyen-truoc-khung-go-438039.html
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右エンドにカメルーン、左エンドにセルビアが付き、セルビアボールで始まった。立ち上がり、スピードのあるカメルーンに対し、セルビアがフィジカルで勝負にいく。10分、セルビアは、左サイドに流れたトップのミトロヴィッチが、ダディッチに一端ボールを預けて、走りながらボールをもらった。相手を切り返して、左足を振りぬいた。ライナー性のボールは、横とびしたGKエパシの両手の指先をぬけたものの、左ポストに阻まれた。

 写真左=ミリンコヴィッチのシュート 掲載元 https://vovlive.vn/truc-tiep-serbia-0-1-cameroon-mitrovic-vo-duyen-truoc-khung-go-438039.html
写真右=Ahram Online https://english.ahram.org.eg/NewsContentMulti/480625/Multimedia.aspx
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 セルビアは、本来のフィジカルを生かしたサッカーを発揮する。一方カメルーンは、個々のスピードで相手を上回り、随所に個性を発揮する。15分、初先発のクンデが、マクシモヴィッチとせりながら、ヘッドでボールを前に出して、突破をする。マクシモヴィッチがスライディングすると、角度がやや厳しいながら、右足でシュートした。二アサイドをカバーしたミリンコヴィッチが両手ではじき出した。ボールはゴールラインを割り、コーナーキックに変わった。ゲームは互いに持ち味を出す展開である。セルビアはトップのミトロヴィッチがポスト役になり、トップ下のセルゲイ・ミリンコヴィッチとダディッチとパス交換する。カメルーンは、リスクを犯さず、ディフェンスラインを下げたままだった。22分、ハーフウェー・ライン付近まで下がってボールを受けたミリンコヴィッチ・サヴィッチに、ザンヴォアンがファウルを覚悟で肩をぶつけて足を伸ばした。結果的にザンヴォアンはファウルをとられたとはいえ、ミリンコヴィッチ・サヴィッチが基点のカウンターを阻止した。

28分、セルビアのパスミスから、カメルーンは左サイドからコーナーキックを得た。キッカーをつとめるクンデが右足でゴール前にクロスを送った。ニアサイドでセンターバックのエングルが頭でボールを反らすと、セルビアのミリンコヴィッチ・サヴィッチの頭にも当たって、低い軌道に変わる。ファーサイドの同じくセンターバックのカステレットが右膝に当てて、押し込んだ。GKミリンコヴィッチは全く反応できず、ネットを揺らした。1対0。カメルーンが、高さで勝るセルビアから、ハイボールにより、得点を奪った。得点を上げたカステレットは、足元に来たボールを、態勢を微妙に変えて、右足で合わせていた。

 写真=カステレットの先制ゴール 掲載元 Retures https://www.reuters.com/lifestyle/sports/serbia-strike-late-take-2-1-halftime-lead-against-cameroon-2022-11-28/
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先制したカメルーンは、ショートパスが繋がり、2点目を狙う。自らのミスでコーナーキックを与え、失点したセルビアは、後手に回っている。先制点をあげたカメルーンの指揮をとる1976年産まれのソング監督は、声をあげて、指示を出した。彼自身は、2002年の日韓ワールドカップのメンバーでもある。当時2節目のサウジアラビア戦で勝利をあげて以降、8連敗を喫している。対して1955年生まれのセルビアのストイコヴィッチ監督は、腕を組んだまま、戦況を見つめていた。トップのミリンコヴィッチはどっしりとゴール前に構える。彼は、センターバックのカステレットとエングルにマークされている。
 42分、カメルーンは、グンテが、マクシモヴィッチに肩を当てて、ボールを奪い、そのまま持ち込む。エリア内から右足でシュートを打った。狙いが決まらず、GKミリンコヴィッチ・サヴィッチの右足にボールが当たって、右ゴールラインを超えていった。インターセプトからドリブル突破を図り、個人の力で打開したものの、シュートの勢いを欠いていた。失点から勢いを失ったセルビアは45分、得意のセットプレーからチャンスを掴んだ。ゴールから約30m付近の中央からのフリーキックポジションにダディッチがつく。キッカーのダディッチは、助走をつけて、左足でゴール前に柔らかいクロスを送った。カーブを描いていくボールを、小さく飛び上がったパヴロヴィッチがヘディングで合わせた。GKエパシはほとんど動けず、左サイドネットに吸い込まれた。1対1.パヴロヴィッチは、しっかりと高さをいかし、首を強く振って、ヘディングした。GKエパシは、球の出所を予測できず、動けなかったのである。

 写真=パヴロヴィッチのヘディングゴール 掲載元 https://www.the-sun.com/sport/6763724/world-cup-cameroon-vs-serbia-live-result/
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再びリズムを取り戻したセルビアは47分、右サイドのジブコヴィッチがエリアに入ると、左斜め後ろのミリンコヴィッチ・サヴィッチにボールを預ける。エリアのライン上からミリンコヴィッチ・サヴィッチは、左足でボールを受けて、そのままシュートした。ワンバウンドしたボールは、左に体を倒したエパシの左指に触れて、右ゴールネットを揺らした。2対1.競り合いの強さと、テクニックを兼ね備えるミリンコヴィッチ・サヴィッチは、セカンドボールのフォローが早く、ルーズボールを物にする。攻撃のキーマンの彼が、ようやくゴールを決めた。

写真=逆転ゴールのシーン ミリンコヴィッチ 掲載元 Retures -https://www.reuters.com/lifestyle/sports/aboubakar-inspires-cameroon-rally-3-3-draw-with-serbia-2022-11-28/
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 前半は、一進一退の攻防が続いたものの、セルビアが2対1で逆転をしてハーフタイムを迎えた。両チーム合わせて、3得点のうち、2点はセットプレーからだった。勝ち点3が必要な立場に立たされながら、失点を警戒して、互いにリスクを犯さずに戦っていた。終盤、攻守の切り替えが激しくなり、スリリングな展開へと変わってきた。

 エンドが変わり、後半もセルビアの勢いはとまらない。7分、ハーフウェー・ラインより、手前でマクシモヴィッチが、スライディングで、ザンポアンからボールをかきだした。ルーズボールをトップのミトロヴィッチが拾いドリブル突破した。エリアすぐ外で、左サイドを上がったコスティッチに出す。エリアに入ったコスティッチは、腰を捻って、左足で折りかかえす。エリアのライン上でセルゲイ・ミリンコヴィッチは、
中盤の右サイドに入るジブコヴィッチに、右足でダイレクトパスを送る。ジブコヴィッチは、前に飛び出たGKエパシを切り返し、ミトロヴィッチにパスを出す。ゴール正面からミトロヴィッチは、右足の一振りで、ゴールネットに向ってボールを蹴りこんだ。3対1.ゴールを上げたミトロヴィッチは、フィジカルの強さと、正確なシュート力を発揮した。

 写真=ミトロヴィッチの3点目のゴール 掲載元 RTE https://www.rte.ie/video/id/4032/
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2点ビハインドを負ったカメルーンのソング監督は、状況を代えるべく、手をうった。ボランチを一枚削り、ホングラに代えて、右サイドの攻撃的なアブバカルを投入した。対してセルビアのストイコヴィッチ監督は、足を痛めていた先制ゴールのパヴロヴィッチを下げて、ステファン・ミトロヴィッチをピッチに送った。2試合連続先発したエースのアレクサンダル・ミトロヴィッチと苗字が同じでも、血縁関係はない。1997年2月20日産まれのGKバンヤ・ミリンコヴィッチ・サヴィッチと前線の1995年2月27日産まれのセルゲイ・ミリンコヴィッチ・サヴィッチは兄弟である。

 攻撃的な布陣を組んだカメルーンは14分、右サイドからスピードを生かしてアブバカルが突破する。コスティッチをかわし、左足でシュートした。スライディングしたベリコヴィッチにあたり、枠内に飛ばなかった。交代で入ったアブバカルは、1992年1月22日産まれの30歳、18歳にして2010年南アフリカ大会の代表に選ばれると、続く2014年ブラジル大会にも出場した。現在、代表歴代3位の得点記録を持つ。投入して、早速自慢のスピードで、セルビアDFを崩しにかかっていた。

後半17分、サイドからのスピードを生かすカメルーンは、右サイドバックのフアイが、高いディフェンスラインの裏を狙って、ロングボールを送った。オフサイドラインを意識しながら、中央から右サイドへアブバカルが飛び出していく。フリーでボールを受けて、エリア内に入ると、スライディングしたマクシモヴィッチを切り返して、ボールをキープする。前に飛び出るGKミリンコヴィッチの位置を見て、ループシュートを打った。両手を広げてプレッシャーをかけたミリンコヴィッチは、全く動けない。孤を描いたボールは、ネットに吸い込まれた。2対3.セルビアのメンバーは、いっせいに手を上げて、オフサイドをアピールする。ラインズマンの旗は上がっていた。今大会から、誤審によるゴール機会を防ぐため、オフサイドの判定を遅らせる。いわゆる「オフサイドディレイ」という。ゴールに直接関わるプレーは、ビデオ判定が行われる。ビオアシスタントレフェリーは、映像を検証した末に、主審に合図を送った。判定が間違っていれば、主審を呼ぶことができるのである。最終的に決定権のある主審は、速やかに映像を確認し、笛を吹きながら、左手を伸ばした。ゴールを認めたのである。2対3.

写真=アブバカルとGKミリンコヴィッチ 掲載元 REUTERS https://www.reuters.com/lifestyle/sports/aboubakar-inspires-cameroon-rally-3-3-draw-with-serbia-2022-11-28/
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 勢いに乗ったカメルーンは、再度アブバカルが、高いディフェンスラインの裏を飛び出していく。オフサイドの旗は上がらず、右サイドにボールを持ち込み、キーパーの位置を見ながら、反対サイドのシュポモティングを狙って、グラウダーのクロスを送る。キーパーのミリンコヴィッチは反対サイドに移動する。シュポモティングは、左足のインサイドで狙い済ましたシュートを放った。ミリンコヴィッチの手はボールに届かず、左ネットを揺らした。3対3.

 1ゴール1アシストのアブバカルは、屈強なディフェンスを前にして、一点目と同じく、常にオフサイドラインを意識しながら、前線へと飛び出していた。スピードに乗った状態でボールをキープし、反対サイドのシュポモティングの足元にパスを出した。アブバカルのゴールといえるほど、絶妙なアシストだった。

 写真=シュポモティングのゴールシーン 掲載元 CNN.com 提供元 Getty Images
https://edition.cnn.com/2022/11/28/football/world-cup-november-28-spt-intl/index.html

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 セルビアは30分、3点目のゴールを決めたワントップのミトロヴィッチがボールを持ち込み、前に飛び出るGKエパシを見て、右足でシュートした。滑り込んだエパシの体に当たって、勝ち越しゴールを奪えなかった。ミトロヴィッチは、高さと足元の技術を兼ね備えるものの、前線で孤立気味である。引き出し役をトップ下のミリンコヴィッチサヴィッチが担う。

 39分、途中出場ながら1ゴール1アシストのアブバカルが再度右サイドを突破する。セルビアは、交代出場のバビッチが対応する。アブバカルは、ボールを跨いでフェイントを入れる。バビッチは動じない。左へボールをもちだすアブバカルは、バビッチは体を当てて、ブロックした。バビッチは、アブバカルのドリブルコースを予測し、肩を当てて阻止した。

 41分に、アブバカルは左サイドに流れて、右足でシュートを打った。態勢を整えたミリンコヴィッチが両手でボールを叩き落してキャッチした。

高い守備陣の裏を狙われたセルビアは、カウンターを警戒して、ボランチの2枚の攻撃参加を控える。カメルーンは、一本のパスから、速攻を狙っている。

6分のロスタイムが経過し、主審から試合終了のホイッスルが鳴らされた。フィジカルに強いセルビア、個々のスピード感を持ち味とするカメルーン、対照的な2チームの個性が発揮された。時間帯によって、主導権が移り変わる激しいゲーム展開だったものの、両チーム共守備陣に隙があり、3失点をした。セルビアは、競り合いに強い選手をそろえるとはいえ、ディフェンスラインの統率に失敗した。後半にアブバカルにスペースを狙われ、3対1から3対3へイーブンに戻された。カメルーンの方は、ボールへの出足が遅く、幾度も決定機を作られる。後半途中から経験豊かな右サイドのアブバカルの投入により、ディフェンスラインの裏を狙い、大きくゲームの流れを変えた。ラインコントロールに失敗したセルビアは、攻撃の人数をかけられず、終盤勝ち越しゴールには程遠かった。
両チーム共課題を残したまま、グループリーグ突破を目指して、最終節を戦う。

 写真=マンオブザマッチに選ばれたアブバカル掲載元https://247newsagency.com/sports/241561.html
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