mixiユーザー(id:1506494)

2022年11月15日19:44

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ボリス・ゴドゥノフ@新国立劇場

いよいよ初日を迎えました
事前にオペラトークを拝聴したり、公式WSやThe Atre誌でコンセプトは確認済み
ですが、それらはあくまでもコンセプト、実際の公演内容は観てびっくり
まず公演パンフを読んで、え?そんなふうになっちゃうの
プロローグが付くのですが、これがよくわからない、これは誰なのという人物たち
がぞろぞろ出てきて、伏線なのかなとも思うけれど、元々のムソルグスキーのオペ
ラでもわかりにくいシーンで、特に後で解決することもありません
ボリスの息子フョードルは重度の脳性マヒ?という設定で黙役が演じ、そのセリフ
は姉のクセニアの友人という設定の女性に語られます
これは許婚者を失って失意のクセニアをボリスが慰めて「友達とおしゃべりでもし
たらどうだ」というセリフにヒントを得たのでしょうね

しかし細かいことは抜きにして、このオペラを政治劇とはせず、人間ボリスの苦悩
と悔恨の心理劇としていること、それがムソルグスキーの意図であると捉えています
であるがゆえに、リムスキー=コルサコフ編のディアギレフ制作パリヴァージョンを
用いず、ムソルグスキーの初稿にフィナーレを加えた構成にしています

読み替えではなく、深読みとでも言ったらいいのでしょうか
フィナーレを加えることによって、偽ドミートリーをとことん悪の権化に仕立て、
その戴冠式で終わるのですが、幕切れは聖愚者の嘆きの歌とする、ドミートリーに
も悲劇が待っていることを予感させます

キューブ状の構造物を使った装置は、ルービックキューブに触発されたのだそうです
整然とした盤面が数回の回転を加えることによって混沌となる、しかし正しい手続
きによって秩序への復帰も可能であるという意味でしょうか
これはワタシの深読みかもしれません
アフタートークではそこまで言及されませんでした

演奏面では本日久しぶりにピットに入ったマエストロ大野監督の手兵、都響の皆さん
東フィルさんには悪いけど、こんなにも安心して聴けるものなのね
声楽陣では老僧ピーメンをお歌いになったジョージア出身のジャネリーゼ氏、マエ
ストロがYouTubeで「発見」して直ちにエージェントにオファーをかけたとのこと、
幸いにもスケジュールが空いていて新国立劇場初登場、経歴にはありませんが、タイ
トルロールも行けるでしょう、まことに立派なバスであります
日本人キャストでは偽ドミートリーをお歌いになった工藤和真さん、日本人離れした
体格で、妙なヴィブラートのない素直なテノールですが、二期会会員とは書かれてい
ないのはフリーなのでしょうか、この方も新国立劇場初登場で将来が楽しみです

終演後はいつもの築地食堂源ちゃんで油淋鶏と旨辛ポーク定食にアサヒ生中を付けて
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