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2022年10月08日22:15

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ジュリオ・チェーザレ@新国立劇場

2年半前に上演予定のところコロナ禍により無念の休演となったプロダクションのリヴェ
ンジ、満を持して(でしょうね)の公演です
パリオペラ座のレンタルらしく、装置はむだにはなっていません
また当初予定されていた邦人キャストは全員そのままということで、プローベもそのま
ま生かせたということはラッキーでした

すでに東条さんがコンサート日記にお書きになっている、その通りでした
ワタシは初観ではなく、1980年にベルリン国立歌劇場の来日公演で経験済みです
このときはドイツ語上演で、また男性は男性が、女性は女性が演じていました
だからタイトルロールはテオ・アダムで、本来カストラートが歌う(現代ではカウンタ
ーテノールかメゾ・ソプラノ)ところをバスバリトンがコロラトゥーラで行うという
ブル先生が「こんなの初めてよ」と仰っていました

それでもワタシはそもそもが初めてでしたから何の違和感もなく、そういう意味では
今回も初観のようなものです
男性が男声で男性を歌うのは、チェーザレの部下のクリオとトロメーオ(これがプトレ
マイオスなんですね)の部下アキッラだけ、また女性が女声で女性を歌うのは前回と
同じくクレオパトラとコルネリアだけ、後は男性が女声で男性を歌う、あるいは女性が
女声で男性を歌う、さらにはクレオパトラの部下のニレーノに至っては男性が女声で
トランスジェンダーを歌うという、視覚と聴覚が混乱してしまいます

それでも音楽的にはヘンデルのスタイリッシュな音楽が耳に心地よく、正味3時間半の
長丁場でしたが思ったほど退屈もせず楽しめました(これは前回も同じでした)
東条さんの文章で「テオルボも加わった」と書いてあり、なんのことかと思ったのです
が、マンドリンの大きなのみたいな楽器でした(写真に撮ったものの、ボケました)

演出は舞台を(多分現代の)博物館の収蔵庫に設定し、しかしストーリーは現代に
読み替えとせず、博物館の所蔵品が動き出して(ということなんでしょうな)演じる
というやり方で、だから特に拒否反応を起こすというものではありません
また、このオペラをセリアとはみなさず、いわば大衆演劇的歴史のパロディのように
扱っている、そのためギャグも(小技ではありますが)積極的に取り入れています

クレオパトラが自身の侍女のリディアと身を偽ってチェーザレに色仕掛けで迫るところ
は、勇敢にも片パイを惜しげもなく晒してドキリとさせます
ワタシはあわててオペラグラスで確認しましたが、どうも肉襦袢を付けているようには
見えませんでした(特殊メイクなのかな)
トロメーオもガウンを脱ぎ捨てて半裸となるのですが、この方はちょっとムチムチして
筋骨隆々とはいきません(上演延期になっている間に筋トレしておけば良かったのに)

オケは東フィルで東条さんはべた褒めでしたが、うーんどうかな、都響や読響ばかり
聴いているものですからやはり弦がざらつくのは、ある意味ピリオド楽器のようにも
聞こえないこともないけど、褒めるほどでもないような
第一幕チェーザレのアリアのホルンによるオブリガートはなかなか良かったのですが、
最終幕大詰めのシンフォニア祝祭的舞曲ではホルンが4本になるので、ここは精鋭メン
バーとはいかずコケまくり、やはり東フィルね、となったのはどうしようもありませ
ん(東条さんがお聴きになったときはどうだったのかしら)

とはいえ、全体として上出来だったのではありますまいか
ベルリン国立歌劇場公演の時、帰り道ご一緒させていただいた音楽評論家で作曲家の
菅野浩和氏が「もう一度観たくなっちゃった」と無邪気に仰ってましたが、そんな
感じですね

カーテンコールもキャストが手をつなぐおなじみのスタイルでしたが、Bravo Brava
Braviが掛けられなかったのはやはりまだまだなのでしょうか

時差退場を終えたのは18時45分、時分時となっておりましたので夕食は築地食堂源
ちゃんで、真鯛の胡麻ダレ丼に松竹梅を冷やでいただきました
ポットでお出汁が添えられて鯛茶漬けにできるのはうれしいのですが、ちっちゃな
刺身5切れではちょっと茶漬けのウエイトが大きすぎるかな
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